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最強美少女と最強男子  作者: キシゲ イシン シヨウ
第3章
36/52

第4話 修学旅行前

 7月――――――――――――


 期末テスト期間中も美咲はバイトをしていたが、拓海も毎回訪れてきたにも拘わらず、2人ともまたしてもオール満点で学年1位だった。


(何なんだよ、あいつ。テスト期間中も来てたくせに、私と同じ点数で1位……。余裕を見せられたようで悔しい!)

 負けず嫌いな美咲は、密かに拓海をライバル視し始めた。




 千歳台中の3年生は毎年期末テストが終わると、京都・奈良へ2泊3日の修学旅行に行く。青城大付属と千歳台中の期末テストの日程が同じだったので、美咲はテストが終わると美鈴の修学旅行準備を手伝っていた。

「着替えを入れるバッグは決まった?」

「決まったよ。このバッグでいいよね?」

 バッグの大きさは40cm×80cm×35cm。

「そうだね。圧縮袋に入れていけば、買ったお土産が入るくらいの余裕ができるでしょ」

「うん」

 衣服などの荷物は修学旅行前日に学校に持っていって、そこから宅配業者に宿まで持っていってもらう。






 修学旅行前日――――――――――――


「美咲ちゃん。お土産代ちょうだい」

「いくらまでだったけ?」

「5万円まで」

 みんなは5万円持っていくと言っていたのだが、美鈴はそのことは言わなかった。美鈴もそんなお金がないことはわかっているからだ。美幸の給料は月収50万円(税抜き)。でも、家賃や税金や保険料、光熱費や携帯電話や固定電話の通話料などの支払いがあり、修学旅行などの積立金まであるので、家計に入る金額は、去年までは10万円程度だったが、美咲が高校に進学してから新たな出費(交通費や教材費など)が増えたため、現在は7、8万円程。斎藤家の1ヶ月の食費が5万円程なのだ。

(1万から2万貰えれば、十分だよね)

 美鈴は家族や親戚、いつもお世話になっている隣に住んでいる真由美へのお土産が買えるだけの金額で良かった。

「はい」

 ところが、美咲から受け取ったお札は一万円札が2枚、五千円札が3枚、千円札が8枚、500円玉が2枚、100円玉が10枚。合計で4万5000円だった。

「え!? 美咲ちゃん、こんなにいいの?」

「いいのよ。心配しなくても、ちゃんとお金はあるから」

「……ありがとう!」

 とびっきりの笑顔の美鈴に美咲はホッとする。

(バイトしてて正解だったなぁ。京都・奈良の修学旅行のお土産代は大体2、3万円だから、これで足りるけど……。美鈴も受験生だし、やっぱり夏休みから塾に通っったほうがいいのかな。そうなるとちょっと厳しいなぁ……)

 先程の4万5000円の出どころは美咲のバイト代からだった。美咲がバイトを始めた理由はこのためだった。

 普通なら、バイトをしなくても問題ないのだが、美咲は中学3年の時から先のことを考えていたのだ。斎藤家は全員年子で美咲の受験が終わっても、翌年は美鈴の受験、その翌年は美月と美春の受験、その翌年は美咲の大学受験、その翌年は美鈴の大学受験、さらにその翌年は美月と美春の大学受験がある。つまり少なくとも6年間は毎年誰かしら受験なのだ。だから美咲は公立高校を受験せず、特待生制度があり、内部進学で大学に行ける青城大付属に入学したのだ。



 翌朝、美鈴は駅に7時集合のため、美咲はいつもより早く起きて美鈴の朝食を作って、送り出した。

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