第20話 無視!
2限目が終わり、休み時間。突然、4人の女子生徒が美咲たちの前に現れた。4人の顔を見た美咲は、4人が例のファンクラブにいたのを思い出す。
「(しつこいわね!)」
「上条! 北村! 斎藤! 美島! 勝負だ!」
「またですか? 四天王ファンクラブとやらの先輩方!」
「球技や水泳は負けたけど、武道なら私たちに勝てるはずがないわ!」
今度はぶどうで勝負しろと言っているようだ。
「私、一条穂花と島津葵は柔道二段です」
「私、安田英理子と藤原真央は空手二段です」
「だからなんですか?」
「つまり、あなた方に負けるはずがないというわけです」
美咲たちはくだらない心の中で呟き小さく溜息をついた。
「だから今日の放課後、柔道場でお待ちしてます」
「は?」
「果たし状としてあなた方に柔道と空手の勝負を挑みます!」
そう言って立ち去っていった。
この勝負を受けるか、受けないか。相談する4人。
「どうする?」
「無視する!」
「美咲、即答!」
「私、今日バイトがあるから」
「そっか。それじゃあ無視!」
その様子を見ていた1年2組の生徒は全員こう思った。
「(なんて大物なんだ)」
放課後、美咲たちは有言実行して柔道場へ向かわず、下校した。
無視されたことを知らずに柔道場で待っていた一条、島津、安田、藤原の4人がどうしていたかは誰も知らない。