第9話 買い物
制服に着替え終わった4人はいつも通り帰路につく。
「明日は野球、水泳、バスケの順になったけど。これって公平なのかしら?」
「公平なんじゃない。水泳って結構、体力消耗するけど短時間で終わるし」
「そうだね。野球は美咲が得意だし」
「普通だけど」
「「「いやいやいや。普通じゃないから」」」
作戦を練ってるわけではなく、雑談をしながら電車に乗る。普通ならバスケの作戦を立ててもおかしくないのだが、小学生の時から区のバスケ大会に出場していて全勝していたため作戦は何通りもあるが、全ての作戦に名前があり名前ですぐに動けるため余裕なのだ。
「美咲、このあと練習する?」
「ごめん。今日は買い物に行かないといけないから」
「そっか。それじゃあ仕方ないか」
「練習しなくてもアップの時に確認すれば大丈夫でしょ」
「そうそう。私はバスケなら問題なしよ!」
余裕の笑みを浮かべながら答える美琴と美帆。その2人に美咲は「でも、油断しちゃダメだからね」と言うが、3人のことを信頼しているため油断しないことはわかっている。それは3人も同じだから笑顔で頷いた。
駅で美奈たちと別れた美咲は行き付けのスーパーに向かった。美咲は大体、日水土の週3回スーパーに行く。母の美幸は忙しく帰宅が遅く、美鈴と美月と美春は部活があるため美咲が行くしかないのだ。美咲が部活に入らなかった理由の1つがこれだ。
美咲は肉と魚と野菜と冷凍食品、そして10kgの米2袋購入。女子高生が1人でこれだけの量を買っていくのを見ると普通は驚くが、美咲は常連のため美咲の行く時間に来ている人やスーパーの店員は慣れている。
美咲が買ったものを袋に入れていると、美咲の横で袋に入れていた女性が「あら、美咲ちゃん」と、声をかけてきた。美咲の住んでいる部屋の隣に住んでいる美幸の親友の橋本真由美だ。彼女も買い物に来ていたようだ。
「こんにちは、真由美さん」
「今日も大量に買ったわね」
「そうなんですよ。美鈴たちの食べる量が増えたので、お米のなくなるのが早くて安い時に買っとかないと大変なんですよ」
「そっかー、大変だね。だけどそれだけの荷物を持って帰るの大変じゃない? 今日は自転車?」
美咲の買った量は尋常じゃない。まず米10kgを2つ、スーパーで貰える一番大きいサイズの袋4つの計6袋だ。
「いえ、今日は歩きです。大変ですけどなんとか運んで帰れますよ」
そう言って全ての袋を両手で持つ美咲。成人男性でも持つのが大変な量を女子高生である美咲は平気で持つ。しかし自宅マンションまでは2kmあるため、いくら美咲でも大変だ。
「いくらなんでも歩いて帰るの無茶よ。私、今日は車だから乗っていって!」
「いいんですか?」
「いいわよ!」
「いつもすいません。気を遣わせてしまって」
「そんなこと気にしなくていいわよ。美幸の娘なんだから!」
美咲と真由美は駐車場に向かった。2人は車に乗るとスーパーを後にした。