プロローグ
「部外者は引っ込んでいろ!」
1人の男がそう叫んだ。
男の前には1人の美少女と1人の女性が立っている。その美少女は男をものすごい形相で睨んでいて、女性は震えながら美少女の後ろに隠れている。
美少女が口を開いた。
「黙れ! この最低男! この人をお前みたいな男に付き合わせるわけにはいかない! このDV男! お前がやったことは暴力だ! お前は警察行きだ、この犯罪者!」
「なんだと!(怒)」
男は美少女の言葉に我慢できなくなり、足もとに転がっていた鉄パイプを拾い上げて美少女に向かって走り出した。
「黙れこの尼!」
ところが、その美少女はその場から逃げようとせず、男から目を離さない。
そして、男が美少女の目の前まで来て、鉄パイプ振り下ろした。その瞬間、美少女は男が振り下ろした鉄パイプに向けて左足の上段回し蹴りで放つ。左足は鉄パイプを捕らえ、鉄パイプは真っ二つにへし折り、左足下さずそのまま男へ後ろ蹴りを放った。美少女の蹴りのスピードが尋常じゃなく速く、男は正面から全速力で走り込んできたので避けることもできずに直撃した。
「ウエッ」
後ろに飛んだ男は懐から刃渡り20cmほどのサバイバルナイフを取り出した。
「死ねぇー!!」
ナイフで刺そうと美少女に向かって走り出した。今度は、美少女は左足から1歩前に出て男と距離が縮まり、ナイフとの距離が30cmほどになった瞬間、美少女はナイフを避けながら右足を大きく男の懐に踏み込んで男の右腕を掴みながら体を回転させ、男を背負い、そのまま美少女はなんとも綺麗な一本背負いで男を投げたのだ。
その後、美少女は掴んでいる男の右腕を捻り上げた。
「銃刀法違反だ! この犯罪者!」
偶然通りかかってその様子を見ていた高校生くらい1人のイケメンは思わずこう言った。
「怖っ………」
数分して警察が来て男を連行していった。
この男を投げた美少女、名前は斎藤美咲。15歳の中学生、といってもつい先日、中学校を卒業したばかりだ。様子を見ていた高校生くらいイケメンの名前は、黒田拓海。美咲と同じでつい先日中学を卒業したばかりだ。
何度か顔を合わせたことがあるが卒業した中学が違う2人。この2人が再び顔を合わせたとき、歯車が動き出す。