第4話 最強の4人VSファンクラブ 第1戦 (2)
遥のサーブで試合は再開した。Bがレシーブし、ボールはCの方へ。
「(ここは、トスじゃなくスパイク!)」
Cがトスは2段攻撃でCがアタックした。
「「「「「(しまった!)」」」」」
意表を突かれ、美奈たちは動くことができず、決まりそうになった。しかし、間一髪のところで美咲が拾った。
「ナイス、美咲!」
美咲が繋いだボールを真帆が左側にトスを上げ、それを美琴がエンドラインぎりぎりにバックアタックを決めた。
「ナイス美琴!」
18−0
この試合展開にギャラリーは大騒ぎ。
「ファンクラブの方って全員女子バレー部員でしょ」
「そうそう。それに6人の内3人はレギュラーで残りの3人もベンチ入れメンバーなんだって」
「マジかよ!? そんなメンバーでやってるのに負けてるのかよ」
試合前は笑顔だったファンクラブ会長や会員たちだったが、今はその顔に笑みはなく、冷や汗を掻いていて焦りが見える。
「なんで負けてるのよ! 相手は素人でしょ!」
ギャラリーを集めたファンクラブ側としては、負けるわけにはいかない。負けたら、ただでさえ恥をかくのに、素人相手に女子バレー部レギュラーとベンチ入れメンバーのチームが負けたとなるともっと恥だ。しかも、このままだと0点ゲームで負けそうで途轍もないくらい恥をかくことになるのだから。
「今の上条さんのバックアタックは強烈だったな」
「そうだな。しかもあのコースに決められたら何も言えないな」
美琴のバックアタックに思わず感心している祐輔と駿。それを聞きながら雅樹は誰が何本決めたかを数えていた。
「森川さんが5本、伊藤さんが3本、美島さんが4本、北村さんが5本、今ので上条さんが1本。斎藤さん以外の5人はスパイクを打ってるね」
「………そろそろ打ってくるだろ(きっと途轍もなく強烈なバックアタックが炸裂するんだろうから)」
拓海だけがこのあと起こることを予測していた。
今度の遥のジャンプサーブは強烈でAが当てるだけで精一杯で、ボールはそのままネットを越えてきた。
「「「「「「(チャンス!)」」」」」」
それを美琴がレシーブして真帆の方へ飛ばし、真帆はそのボールを今まであげていたトスよりも高く上げた。そして、そのトスの最高到達地点にボールがきたとき、女子高生とは思えないジャンプをした美咲の手にボールが触れ、美咲はそのまま思いっきり腕を振り下ろしてエンドラインぎりぎりに強烈なバックアタックを叩き込んだ。
19−0
美咲のバックアタックの威力は一般男子の選手の威力と同等かそれ以上だ。その威力に体育館にいる生徒全員が棒立ち状態。
「美咲、また威力上がってない!?」
「少し上がったと思うけど」
「「「やっぱりね」」」
「「ハハハ………」」
その会話に思わず苦笑いする遥と真帆。