第2話 ファンクラブ
彼女たちは4人に勝負を挑んできた。
「なぜ勝負をしないといけないの?」
4人が一番気になることを美奈が尋ねる。すると、返ってきた言葉が衝撃的だった。
「あなた方4人はここ最近、私たちの許可なく“青城の四天王”に近づきすぎているからです!」
「「「青城の四天王!?」」」
「(……青城の四天王……か……。あいつ等のことね)」
初めて聞く言葉に誰のことかわかるはずもなく、考え出す美奈と美琴と美帆。美咲だけ誰のことか想像がついた。
「そうです。大迫駿様、黒田拓海様、椎名雅樹様、高橋祐輔様の4人のことです」
「“私たちの許可”って、あんたたち何なのよ?」
「「「「「私たちは“四天王ファンクラブ”の代表です!!」」」」」
「「「「……ファンクラブ……」」」」
この言葉にはさすがの美咲も美奈たちと一緒に呟いてしまった。その後、休み時間が残り5分になるまで長々といろんな事を語られた。
「勝負は明後日の水曜から始めたいと思います」
「始めるって、一体何の勝負よ!?」
「スポーツの勝負です。今週の水曜から土曜の4日間の放課後にやりたいと思います」
四天王ファンクラブは4人に挑んできた勝負は、バレー、バドミントン、バスケ、水泳、柔道、ハンドボール、テニス、野球、サッカーの9種目のスポーツだった。
「当然人数が足りないため、サッカーとハンドボールは3人、バスケは1人、バレーは2人の助っ人をクラス内からのみ認めます」
「では、明後日の放課後、バレーとバドミントンを行いますので、第三体育館でお待ちしてます」
そう言ってファンクラブの代表は教室を出ていった。
当然、ファンクラブのメンバーは勝てると思っているため、強気で挑戦状を叩きつけてきた。しかし、勝負する前から既に勝敗がわかっていた者がいた。それは、拓海と祐輔の2人だった。
「この勝負、あたまから結果が見えるよな、拓海」
「あぁ。斎藤たちにあいつ等が勝てるわけがない」
「ってか、この学校に斎藤さんたちに勝てる女子自体いないよな。ところで、“四天王ファンクラブ”なんてものがあるって知ってたか?」
「いや、知らん」
「俺も」
どうやら本人たちもファンクラブの存在を知らなかったようだ。
美咲は溜め息をつかずにはいられなかった。なぜなら、男嫌いの美咲にとって拓海たちは関わりたくないため、どうでもいい話なのに勝手に巻き込まれたのだから。
「どうする?」
「仕方ないな。この勝負、受けて立つ!」
「美咲がそう言うなら、私も」
「売られた喧嘩は買うのが私たちだもんね!」
「そうと決まったら、誰を助っ人にする?」
4人はやる気になり、助っ人を誰にするのか相談し始めるのだった。




