第1話 挑戦状
美咲が鬼神オーラを放ったあの日以来、毎日のように拓海は美咲のところにやってくる。そのせいか、祐輔と駿、雅樹もやってくるようになった。最初は少々気にしていた美咲だったが、3日ほどで慣れたようで特に気にしてないようだ。
「そういえば、君たちは部活入ってたっけ?」
雅樹が美咲たち4人に聞くと、美奈が答えた。
「入ってなよ」
「なんで?」
美咲たち4人のことはこの学校の運動部に所属している生徒は全員それなりに知っている。そのため、帰宅部なのが不思議なのだ。
「私たち4人とも高校では部活をやらないって決めてたから」
「勿体ない!」
「そういうあなたたち4人は部活入っての?」
今度は美帆が逆に質問した。
「俺と雅樹は中学の時と同じ部活に入ってるけど、拓海と祐輔は入ってない」
2人に理由を尋ねると2人とも面倒だから。と、答えた。
こんなことをいつも話し、時々他のクラスメイトとも雑談していた。だが、雑談していると美咲は視線を感じ、そっちの方を見たが誰も見てなく気のせいかと思った。だが、日に日に視線を感じることが増え始め、美咲は視線を感じる方をずっと観察し始めた。実は拓海も視線に気付き、美咲と同じことをしていた。
そして、ついに美咲は誰の視線なのかを突き止めた。視線の主は、4月から拓海たちを取り囲んでいた1年から3年までの女子生徒50人のものだった。
「(この視線は、もしかして……嫉妬……?)」
美咲が思った通り、その視線は全て美咲たち4人に対する嫉妬なのだ。
美咲が視線の主を突き止めた2日後、ついに彼女たちが動き出た。
5人の女子が美咲たちに近づき話しかけてきた。
「上条さん、北村さん、斎藤さん、美島さん。あなた方にお話があります」
「何でしょうか?」
「私たちと勝負して下さい」
「「「勝負?」」」
この一言で美咲たち4人は大事になるとは知る由もなかった。