第10話 初めての会話 (3)
美奈たちは背後から発せられている殺気とオーラに体が震え出し、そーっと後ろを向くと『鬼神』となった美咲がいた。
「み、美咲……」
「お、落ち着いて……」
「て、手を出しちゃダメだよ……」
美奈たちは震えが止まらない。しかも3人だけでなく、拓海を除く教室にいる生徒全員が震えている。そしてついに美咲が口を開いた。
「おい、お前! 何、人の弁当食べてるんだ?(怒)」
「お、お腹がすいたからです……」
「腹が減ったら人の弁当でも無断で食べていいのか?(怒)」
「い、いえ。いけません……」
美咲の殺気に雅樹は敬語になっている。
「だったら、さっさと弁償して私の前から姿を消せ! でないと、どうなるか……教えようか?(怒)」
「いいいい、いえ、結構です! すいませんでした! 直ちに最高級のお弁当を持ってまいります!」
雅樹は猛スピードで教室を飛び出した。5分後、雅樹が弁当を持って戻ってきた。
「お弁当をお持ちしました! そして、こちらはお詫びのお金です! それでは失礼します!」
弁当とお金を美咲に渡すと、雅樹は再び教室を出ていった。
美咲の機嫌はまだ悪い。みんな、どうやって怒りを鎮めてもらう考えるが、何一ついい案が出ない。すると、唐突に拓海が自分の財布を出し、何かを取り出して美咲の下に近づいた。
「これ、あげるよ」
拓海が持っていたのは美咲が美咲がよく行くスーパーの商品券1万円分だった。
「い、いいの?」
「別にいいよ」
「ありがとう」
これで出費が減るため美咲は笑みを浮かべ、先程までの鬼神オーラは収まり、美奈たちや教室内の生徒はホッとした。
「美奈、美琴、美帆。お弁当食べよう」
「そうだね」
「食べよう食べよう」
「どうせなら由佳も一緒に食べない」
「それじゃあ、ご一緒させていただきまーす!」
美咲たちはお弁当を広げ食べ始め、拓海と祐輔と駿は食堂へ向かっていった。
因みに、雅樹が美咲に買ってきたお弁当は、今日の美咲のお弁当の中身と同じものを食堂の人に頼んで高級食材で作ってもらったものだった。
美咲の鬼神オーラから逃げ出した雅樹はというと、屋上で未だに震えていたのだが、このことは誰も知らない。