vol.6 選択
智樹は久々に関西に帰省していた。麻央と付き合い出してからは初めての帰省で彼女である沙希に会うのも久々だ。二股かけるのは初めてだったが、自分の気持ちを確かめてみようという考えだ。展開によっては沙希と別れる覚悟はあった。
「智樹、久しぶり!会いたかった。何で何ヶ月も帰ってこなかったのよー!?」
沙希は明るく、テンションが高かった。
「ごめん、昇格して仕事が忙しかったんだ。沙希は元気してた?」
沙希は明るく目をキラキラさせてうなづいた。
'こりゃあ、別れ話なんて出来る雰囲気じゃないな。でもちょっとだけ探ってみるか'と真面目な顔して切り出した。
「今日は大事な話があるんだ。それはね・・・・・」
と言いかけたところで沙希は泣き出した。
「やっと決心してくれたのね!嬉しい!昇格もしたし身を固める決心してくれたんだ!ありがとう!」
智樹は余りの予想外のリアクションに返事できないまま固まってしまった。
'そうだよな、こういうおっちょこちょいな所も可愛くて5年も付き合ったんだよな。麻央とはまだ数ヶ月だもんな'と現実に引き戻された。
「ねえ、そうと決まったらお互いの親を引き合わせなきゃ。正月休みは帰ってくるでしょ。その時にしよう」
話は智樹の予期したのとは逆方向へどんどん進んでいき、結局流れを止める事が出来なかった。
一方で麻央も智樹が里帰りしているのを知って不安を抱えていた。
'憧れていた初恋は出来たものの智樹には彼女がいる。それは同期の中では周知の事実で私が知っている事も智樹は知っている。お互い浮気だという事を承知でここまで来てしまったんだ。私とした事が!'
そこで例の夢の続きを思い出した。
3)恋愛が成立した後で何か不都合が生じた時は自分で赤い糸を切る事によって別れられる。相手は赤い糸を切る事が出来ない。
4)恋が不成立な場合を除いて人生で3回発射する事ができる。つまり2回は振る事が出来る。でも3回振ったら赤い糸操作能力は消える。
麻央は誰かを不幸にする事によって自分が幸せになる事は出来ないとと思った。
「糸を切るなら今のうちよね。これ以上ひきずると本当に別れられなくなるわ。次に智樹と会った時に決着をつけるわ」
-続く-




