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オキナグサの恋  作者: 嶋恭作ニ
第一話 赤い糸を操る女
10/13

vol.10 SL

慰安旅行の翌週は例のトラブル対処で忙しく、宮崎部長の件は特に何も起きなかった。麻央は

'なあんだ、あんなのただの夢よね。別に赤い糸なんて見えないし、切るにも切れないし'

とわざと何でもないと思い込もうとしていた。


一方、宮崎はあの旅行以来、何か変だと感じていた。新幹線の中で麻央と話した事は楽しい思い出だったけど、その後宴会で何かあった訳じゃない。でも何か麻央の事が気になる。とりあえず今週は品川の顧客に挽回案をプレゼンに行って信用を取り戻し契約を続行しなくちゃならない。

「麻央、例の挽回案のプレゼンはいつ出来る?遅くとも今週末にM社に行かないと」


「大丈夫です。今日中に完成させますので部長は明日チェック入れてください。訪問は明後日で申し込みましょうか。部長も行っていただけますよね?」


「当たり前だ。重要案件だから俺が行かないでどうする」



2日後の夜、麻央と宮崎部長は池袋の居酒屋にいた。


「かんぱーい‼︎ 挽回案全面的に受け入れてもらえましたね、部長!」


「良くやった麻央。先週の火消しは俺の顔とハッタリだけの効果だったが、今日のプレゼンは麻央が素晴らしかった。」


「そんなに誉めないでくださいよ、調子に乗っちゃいますよ」


「そこでご褒美をあげたいんだけど、こんなのどうだ?」


宮崎は一枚の封筒を麻央に渡した。中身は2週間後の週末のSL乗車指定券だった。SL磐梯会津路号 という切符が2枚入っている。


「わー!!嬉しい!私がSL乗りたいっていうの覚えてたんですね。新幹線の中でちょっと話しただけなのに。でも2枚入ってますよ」


「友達とか恋人とかと行けば良いんじゃないかと。ちょうど紅葉の季節だから2週間後にしたんだけど、日にちはみどりの窓口で変更できるよ」


「恋人なんていないし、SL乗りたいなんて女友達いないですよ」


ちょっと無言が続いて同時に2人が口を開いた。


「部長どうですか?」  「俺行っても良いかな?」


2人とも心の中でガッツポーズをした。「ヨッシャー!!!」

その日は大盛り上がりして2人で飲み過ぎて終電ギリギリになってしまった。


2週間後、2人は大宮駅にいた。

郡山までは新幹線で約1時間、そこで会津若松行きのSLに乗るという切符だったが、紅葉も見たいので猪苗代で降りて猪苗代湖か五色沼に行って夕方普通列車と新幹線で帰って来ようというプランだ。


「2人で新幹線乗るのはあの時以来ですね、部長」


「今日は部長って呼ばないでくれよ、気分壊れるから。みーさんとかミヤさんとかにしてくれる?」


「じゃあ『みーさん』にするね。会社で言っちゃいそうで怖いけど。SL楽しみだなあ」


宮崎はそんな麻央を見てなんか子供を旅行に連れて来たみたいで可愛いと思ってしまった。

郡山に着くとSLが丁度準備をしていた。なんと憧れのD51機関車だった。一度乗ってみたいと密かに思っていたやつだ。麻央はそこまで鉄オタで無く、とにかくSLに乗ってみたいというだけだった。

郡山から猪苗代まではSLを堪能し、そこでちょうど五色沼行きのバスが来たので五色沼で紅葉を楽しむ事にした。


五色沼は本当に水面が五色有り、かつ紅葉の真っ盛りでとてもロマンチックだった。

人が全くいないある沼のほとりで水面と紅葉を見つめていた時、宮崎は感情を抑えきれず麻央を抱き寄せた。


二人は無言で見つめ合って、自然に唇を重ねた。麻央も全く抵抗しなかった。ただお互いあまりの久々のキスだったので前歯がカチカチの当たってしまった。ヘタクソ!と宮崎は自身を責めたが麻央はそんな宮崎のウブっぽい所にすら感動してしまった。


-続く-

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