表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
偶像の証明  作者: 川村尋之


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

7/24

陰謀論

警視庁の廊下を歩く玲子。

 寺田の顔が思い出される。まためんどくさい問題を起こしてくれたものだ。どうして、こう次から次へと…。

       

 議員会館で電話している玲子。

 電話の声は切羽詰まっていた。

「玲子さん、全額とは言わない、何割かでもいいんだ。お願いだから寄付した金を返してほしい」

「そんなこと言われましても、そのお金はもう別の団体に寄付してしまって」

「なんでそんなことするんだ?俺はあんたのために、あんたの政治資金の足しになるように寄付したんだ」


 うんざりした表情を浮かべる玲子。

 本当にバカばかりだ。

 勝手に金を振り込んで、いい気になっておきながら、金に困ると返せだって?後先考えずに金を使うところが犬猫野菜らしい。


 でも、犬猫野菜にしては五百万円もの金をよく貯められたものだ。犬猫が無駄に五百万円貯め込むくらいなら、私が使ったほうがはるかに価値がある。


「あなたからの寄付を別の団体に寄付することも政治活動の一環です!」

「とにかく、今はそんなことより、少しでもいいから金を返してほしい。あんたに寄付した五百万全額とは言わない、三百万、いや、二百万でいい!工場の経営が悪化して、早急に振り込まないとヤバいんだ!」

「一度、寄付したものを返せなんて聞いたことないですよ。そんな無茶なこと言わないでください」


 かなり追い詰められているのだろう。誰もいない工場の片隅で必死にすがるようにスマホを握りしめる寺田。


「じゃあ百万でいい!百万だけでも……もしもし?もしもし!」

 スマホを見ると電話を切られている。頭を抱える寺田。

 

 警視庁の廊下を前から歩いてくる人影が見える。

 葵だった。

 葵に少し頭を下げて通り過ぎていく玲子。

 立ち止まり、振り返って玲子を見つめる葵。

 

 

       ◆

       

       

 今日の佐原玲子襲撃事件が早速、テレビのニュースで取り上げられている。犯人死亡と報道され、寺田の名前も発表されてはいるが、その動機については不明とされている。


 ネット上でもこの事件が取り上げられており、案の定、陰謀論を唱えるアカウントが大量に出てくる始末だ。

 

《不正がバレるのを恐れた都が殺し屋を雇った可能性が高いな》

 

《玲子さんの口封じが目的の犯行》


《警察も現場にいたらしいけど、なんで逮捕しないんだよ、わざと逃がしたんじゃないだろうな?》


《警察もグルだと思うよ。警察庁のお偉いさんの中に都議と癒着してる人物がいるらしい》

 

《警察は玲子さんを守る気なんてないのかも》

 

 寺田がナイフを振り回す数枚の写真とともに投稿された玲子の呟きがバズっている。

 

《あやうく刃物で殺されかけました。幸いケガはありませんが、犯人は明らかに私に刃物を振り回してきました。私が死んだら、誰も都の不正を追求する人間がいなくなってしまう》

 

 トレンドが更新される。

 

《#佐原議員襲撃事件》

 

《#犯人死亡》

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ