今日の隠れんぼ・・・「座敷童子」
日本の有名な妖怪の一つに「座敷童子」がいる。主に東北地方に伝わる伝説のようだが、座敷童子のいる家は繫栄し、座敷童子に去られると、その家は没落すると言われている。目には見えず、ちょっとしたいたずらなどをして笑っているのだそうだ。我が家にもそんな座敷童子が存在する。
母は記憶力が極端に衰えたせいか、よく物がなくなる。それも何気ない日用品や、さっきまで手に持っていた物がなくなるのだ。財布はもちろんのこと、さっき自分が洗ったペットボトルのフタ、手に持っていたテレビのリモコンなど、実につまらないものがよくなくなる。そして認知症の人が決まっていう言葉を言う。 「誰かに取られたんやろか?」
誰がペットボトルのフタやテレビのリモコンを盗みにくるものか…。それも一瞬目を離した隙に堂々と…。
「こんな不思議な事ってある?」と、真剣な顔をしている。
そこで私は周りを見渡し、思いがけないところに置いてあるそれらを見つけ
るのだ。
「ほら、ここにあったよ。誰も取ってないやろ」というのだが、「誰がそんなところに置いたんやろうね」と知らん顔をするのが常である。その時はここに置こうと思っておくのだろうが、置いたことをすっかり忘れてしまってなくなったと思うようなのだ。認知症に関するどの本を読んでも、こうした症状が書いてある。
寝る前になって「明日の朝のパンがない。明日の朝コンビニまで買いに行ってくるわ」と、言葉は勇ましいが、行かせたらどんなことになるかわからないので 私が夜中に用意する。朝、何の疑問もなくそれらを出して「こんなものしかないけど食べてね」と言ってくれる。まさか小人の靴屋が用意してくれたとは思っていないだろうが、昨夜までなかったものが目の前にあっても何ら不思議に思わないのが少し悲しい。
しかしそうこう言って笑っていられるのはありがたい。
やはり我が家には幸運の座敷童子がいるのだろう。
これからもよろしくね。