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遥か、ミライ地図  作者: もりたろう


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38/45

[ミライ] 遥か、遠くから ①

――体を、お借りします。


 女の人の声がする。


 私は、朦朧とする意識の中、声の主を探した。


――この場所は危険です。心を落ち着けて、どうか


 この声は、そうだ。

 いつも寝ようとした時、頭の中に勝手に聞こえてくるときに似ている。

 でも、その声よりも優しくて幼い。


――ミライさん、ですね?


 名前が呼ばれた。

 頭の中で返事をしてみる。


 はい、そうです。


――あなたのお陰で、私の友の願いは叶えられました


 願い?


――私の友は、大切な事を誰かに伝えることを強く望んでいました


 大切な事……?


――友に変わって、お礼を申し上げます


 どういう意味か解らないけど、お役に立てたならよかった。


――ミライさん、ここでの生活は、どうでしたか?


 ここ。水ヶ谷村での生活。

 長かったようで、とても短かった日々に思いを馳せる。


 水ヶ谷村での生活は夢のような時間だった。

 毎日が楽しくて、色々なことにわくわくして、皆で1つの目標を持っていた。

 それに向けて、皆で頑張る日々。


 素敵な友達もできた。

 楽しい事を沢山考えてくれる、ムードメーカーのカイ。

 楽しい事に夢中になれて、でも冷静で頼りになる千夏。

 そして、不器用だけど、不安で一杯の時にいつも心配して、声をかけてくれたハル。

 そんな3人の友達と、温かい村の人たちと一緒に、沢山の楽しい思い出ができた。


 最高な日々だった。


――ふふふ、そうでしたか


 女の人の声が、楽しそうに笑う。

 私の記憶をのぞき見されているような感じかも?

 やだなぁ?


――すみません。でも、ミライさんが良い思い出を作れたようで良かったです


 そう?


――えぇ



 そして、女の人が真面目な感じで話し始めた。


――ミライさん、もうしばらくしたら、あなたは現実へと戻ることになります


 現実?


――はい。水ヶ谷村での生活も、現実のこと。でも、ミライさんにとっての日常、ミライさんにとっての現実に戻らなければなりません


 どういうこと?


――すぐにわかる事です



 ふと、覚えのある匂いがした。

 消毒液の匂い。独特の香り。


 それがきっかけとなって、いくつかの記憶が戻り始める。

 その記憶が、更に他の記憶に繋がっていくように、私の記憶が手を広げ始めた。

 頭の中に、本当の私が広がっていく。


――ミライさん、1つ願うなら、どんなことを願いますか?


 頭の中が記憶で満たされるにつれて、薄れていく声が私に問いかけた。


 今の私が願う事。

 水ヶ谷村での思い出が浮かぶ。


 叶うなら……


――ふふふ、その願いは、あなたならきっと1人で叶えられますよ


 その人が笑う。


――すでに、キッカケは掴んでいるはず


 薄れていく声が、最後に私に言葉を残していった。


――あとはちょっと、勇気を出すだけ。大切な事は、前に踏み出すその第一歩なのです


 そんな声が聞こえた後、私の意識は落ちていった。

 深い、深い眠りに落ちていく。

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