酔っちゃった
なんて気合いをいれたものの、気がつけば朝になっていてベットの上だった。
あっれ〜?セディはどうしたんだっけ?
うあー……頭ボーっとする。え〜?どうなってんの?
何か楽しくなって、セディと話しながら酒をガバガバ飲んでたとこまでは覚えてるんだけど…………。
ヤバい。思い出せない。セディの心に変なトラウマ残してなきゃいいけど。
アドリシアはのそのそとベットから降りると、大きく伸びをした。
けどさすがは20代の健康体。酒を飲み過ぎたって元気元気。
私自身は運動なんて全くしてなかったけど、アドリシアは体術、剣術に励んでおり、自慢のプロポーションを保っていた。
若くて体力はあるし、体がよく動くものだから、記憶を頼りに毎朝の日課のトレーニングをしてみたところ、体を動かすのって気持ちいいな〜と実はハマっている。
今更だけど、体の為には日々の継続が大切なんだなと思い知らされた。元に戻れたら、ウォーキングから頑張ってみようかな。
アドリシアは軽い食事を自室に運んでもらうと、それをペロリと平らげ、訓練着を着ると外に出た。
まずは走り込みで体を慣らすのだ。
そりゃ走ってれば息は切れるけど、運動不足の体が重くなってゼェゼェ苦しいのとは違って、なんていうか程よい疲れ?負荷?全身を使う清々しい感じさえあって、運動してるぞ〜ととても感じられる動ける自分がとても好きだ。
こんなちょいダルの時だって胃腸も健康で食欲もあるし、走る持久力もある。いや〜若くて健康って素晴らしい。
邸宅を出て庭園をぐるっと回って走っていくと、庭園を抜けた先にルドウィクの姿を見つけた。
朝から鍛錬をしていたのだろうか。
したたる汗…………。
そしてむき出しの上半身!!はだかっ!!
アドリシアはダッシュでルドウィクの前へと行き止まる。
いきなり全速力で現れたアドリシアに、ルドウィクは驚いたものの、すぐに平静を保つ。
「おはようございます。昨日のご様子からもっと寝てられると思ったのに早いんですね」
「ええ、毎日鍛えてるんで。昨日は………ええと、その、私どんなだったかしら?全く覚えていなくて、オホホ」
あんまり聞きたくないけど、実態を把握しておかないとね。
「覚えてない方がいいでしょうね。今夜は無礼講じゃーっと酒を強要したり、お母さ〜んと泣き出したりといろいろ騒いでました」
「あらっ。嫌だわ、お恥ずかしい。お酒は飲んでも呑まれるなってね。セディは大丈夫だったかしら?」
ひえ〜!酔っ払いすぎ!お母さ〜んだなんて!
「ドン引きでしたよ。アドリシア嬢が手をつかんだまま離さないから、逃げられずに怯えていました。なので、途中私が引き離しましたけど」
「そ…そう。あとでフォローをいれとかないと。たまにハメを外しちゃうけど、いつもは優しく頼れるお姉さんだってね」
アドリシアは困ったようにハーッと息をついた。
そんなアドリシアをルドウィクはじっと見る。
「ところで先程からどこを見て話してるんですか?」
視線が合わない、胸もとばかりを見ているアドリシアにルドウィクは眉をひそめた。
「どこって、あなたの立派な胸板よ」
「な、なに堂々と言ってるんですか。ちょっと見過ぎですよ。って言ってるのにまだ見るんですか?」
腕を組んでマジマジと見てくるアドリシアに、さすがのルドウィクもその視線から逃れるように背を向けた。
「ちょっと!減るもんじゃないでしょ!」
「減ってる気がします!」
「嘘おっしゃい!いい体してんじゃないの!そんな鍛えといて見せなくてどうすんのよ!?」
「は?人に見せる為に鍛えてるんじゃありません」
「じゃあ、どうして脱いでるのよ!?顔だけじゃなく、汗をかいて日の光でツヤッツヤに輝く肉体美をあらわにしたかったんでしょ!?」
「阿保かーっ!汗かいたからに決まってるだろ!」
つい怒鳴り返し、すぐにハッとしたルドウィクはしまったというように口ともを手でおさえる。
だが、アドリシアは再び向き直ったルドウィクの肉体を真剣な顔で、またガン見していた。
「すっご。乳首の色まで完璧、ちょうどいい。形も。ここまでくると芸術ね。フルヌードの銅像立てられるんじゃないの」
「なっ……………アドリシア嬢は、変態ですか?」
「んなわけないでしょ」
そう言いながらもなおも食い入るように見てくるアドリシアに、堪らずにルドウィクは胸もとを手で隠した。
「あっ!女の子みたいな隠し方して!」
「そっちがいやらしい目で見るからでしょう!」
「見てるだけでしょーが!ノータッチよ!触らずの誓いを守ってるんだから、大の男がグチグチ言わないで、勿体ぶらずに見せなさいよ!」
190センチはありそうな大きな体して、女の子みたいに隠しちゃって。漫画でよくあるサービスショットの場面じゃないの、ここは?
裸を堂々と晒していて、こっちが照れちゃう場面なのに、どうしてルドウィクが照れて女の子隠ししてんのよ。
「ほら!男でしょ!鍛えあげられた筋肉を披露する大チャンスよ!惚れさてやるぜ、くらいの意気込み持ちなさいよ!」
「そんなん言われて見せられるかっ!!」
言ってから、またもやルドウィクはハッと青ざめる。
色々と忙しい男だな。
「す…すみません……。失礼します!」
言い逃げのように言いながらルドウィクはダッシュでこの場から走っていってしまった。
ああ………行ってしまった。
貴重なサービスショットだったのに。見過ぎた?だって見るでしょ、見てくれとばかりに披露してるんだから。これ見ていい場面でしょ。男だし、向こうが脱いでたんだから、見せ場なんでしょ。むしろ見てくれの場面なんでしょ。
ハッ!こうしちゃいられない!
今の鮮明な記憶があるうちに、あの見事な肉体を形に残しておかなけば!
アドリシアは邸宅に向かって一気に走り始めたのだった。




