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さあ、やるわよ

頼んでいた時間通りに起こされたアドリシアは、大きく伸びをして立ち上がると、ベットから飛び降りた。


よく寝たらスッキリしたわ。

もう夕方ね。パーティーの準備は進んでるかしら?

まあ、食事は頼んでおいたから、それが今頃わんさか運びこまれているんだろうけど。

結構な量を50店舗くらいに頼んだから、みんな驚いてるでしょうね。

使ってやるならインパクト!!ビバ散財!!金持ち最高っ!!


現実世界じゃ、こんな金の使い方なんてできないからね。この機会に、贅沢を味わい尽くしてやるわ。


それから、待機していたメイドに着替えを命じる。


「アドリシア様、頼まれていたドレスに貴金属が続々と届いております。どのドレスにいたしましょうか?」

「あなたのセンスにお任せするわ。私の期待に応えてみせなさい」


なーんて、ドレスなんて着ないから全然分からないからなんだけどさー。

家着なんてジャージでいいのにね。まっ、スーツは鎧、な感じでドレスも武装。初めからジャージじゃ侮られるから、第一印象はバシンとキメとかないとね。


「はっ、お任せください!」


あらあら、張り切ってるわね。

一般市民だった私が、偉そうに命令なんかしちゃって気分はもうお嬢様、いや社長だわ。いーねー、いーねー、みんな頑張って働いてちょーだい。



そうして、すぐに他のいく人ものメイドが集まり、私の盛りつけが始まった。


「ふぅーん、まぁいいんじゃない。私に相応しく贅の限りを尽くしなさい」


なんつって。正直シンプルのが好みなんだけど、これは武装だからね。ゴッテゴテでお願いします。


「他にもアドリシア様が頼まれた家具なども続々と届いておりますよ。街中の店が全部来てるんじゃないかというくらい、ごった返していて皆対応に追われています」


思いつく限りいろいろ頼んだからねー。

これぞ本当の爆爆爆買い。


「私って半端な贅沢嫌いなの」


嘘でーす。割引き、クーポン、ポイント、お得情報大好きでーす。


そうして、盛りに盛られた私は、いざ決戦の舞台、パーティー会場へと向かう事となった。



記憶では見たんたけど、初対面のルドウィクには面食らってしまったわ。

あんな美男初めて見たし、学校、職場、周囲にもあんなレベルの男いたことなかったし、固まってしまうのも無理はない。

最初こそビビりまくってしまったけど、どんなに神々しかろうが所詮は小説の中の男よ。それに24歳の若造だわ。おまけに嫌悪の眼差しを向けてくる相手に、37歳の私がたじろぎ卑屈になる必要なんて全くない。歳上のお姉さんを舐めるなよ。


いっそ嫌われてるから、気楽なもんだわ。清々しい気持ちでやりたいように出来るもの。

これがヒロインなんかなって優しくされたら、もう見るも哀れなくらい慌てふためいて、挙動不審になって、愛なんか囁かれたら心停止もんよ。


私は見て満足するのが丁度いいの。

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