始まり
自由と権力。そして非現実世界。
それすなわち、好きに生きろということである。
by恵梨香
目の前の椅子に座るのは、極上の男。
すらりと高い身長に、長い手足、引き締まった肉体に、煌めく金髪、切れ長の瞳には宝石のような碧眼、そしてこの上なく整った顔。
小説の通りだけれど、実物は想像を軽く越えてきた。
誰かライトでも当ててるの?というくらい輝いていて、直視もできないくらい眩し過ぎた。
これまでの人生、男友達を作るようなフレンドリーな性格でもなく、関わる男は仕事上の男性だけ、おまけに陰で〝融通もきかない鋼鉄の女〟と称されていた喪女が、突然芸能人と2人きりにされたような現状に、汗という汗がもう半端なく溢れていて、椅子に腰かけた尻がじっとりしていた。
おしっこを漏らしたと思われたらどうしよう………。
そんな事を考えながら、チラッと彼を盗み見ると、眉間にシワをよせて、不機嫌そうにこちらをジッと見ていた。
ヒッ……!その顔もいい!ムスッとした表情もそれはそれでおつなものだわ!
いい男はどんな表情しても様になるを頂きました!
なんて喜んでもいられない。
とりあえずこの状況をどうにかしなければ。
一体私の身に何があってこんな状況になっているのかというと、あれは4ヶ月前にさかのぼる。
週末更新します。