V
レビュー執筆日:2021/3/30
●「ロックバンド」であると同時に分かりやすく「J-POP」を体現。
【収録曲】
1.V
2.アンダーグラウンド
3.無告
4.plastic
5.Starting Over
6.証
7.あいことば
8.moonlight
9.ハイエナ
10.大迷惑
11.1,000,000 TIMES
12.猿真似ドロップアウト
13.アンダードッグ Feat. JESSE
4人組バンド・MY FIRST STORYのアルバム。私が彼らのアルバムを聴くのは今作が初めてで、聴く前はアップテンポな楽曲がメインのバンドだと勝手に思っているところがあったのですが、実際に聴いてみたところ、ミディアムテンポで歌謡曲的なメロディを聴かせる『アンダーグラウンド』やバラードナンバーの『あいことば』、悲しげな雰囲気から次第に盛り上がっていく『ハイエナ』のようにじっくりとメロディを綴る曲も結構多いように感じられました。アップテンポな曲に関しても、「答えてよ 僕の問いに 答えてよ」というフレーズがキャッチーな『無告』やネットミュージシャンからの影響を感じられる『大迷惑』、JESSEをゲストボーカルに迎えた『アンダードッグ』等、色々と印象的な要素を取り入れており、飽きが来ないように工夫している様子がうかがえます。
歌詞に関しては、日本語をメインとしながらも楽曲によっては時折英語を交ぜるというスタイルで、ボーカル・Hiroの歌い方は非常に端正。これらの要素や先程挙げた雑食性から、彼らは「ロックバンド」であると同時にある意味「J-POP」を分かりやすく体現しているように思えました。ただ、彼らのようにロックサウンドを軸としながら様々な楽曲を聴かせるバンド自体は別段珍しいわけではなく、それゆえに彼らならではの「個性」がやや薄めに感じられるところもあります。
ボーカル・Hiroが有名歌手の息子であることやTaka(ONE OK ROCK)の弟であることから、音楽以外の面からも注目されることの多いバンドですが、そういう点を抜きにしても、分かりやすい楽曲群と幅広い音楽性を楽しめるアルバムになっているのではないでしょうか。
評価:★★★★