26. 相合傘!?
26. 相合傘!?
そして月日は流れ6月。外はどんよりとした曇り空。今にも雨が降ってきそうな天気だ。梅雨入りの時期……ボクは今憂鬱な気分だ。いつにもまして髪がボサボサになるし、湿気がすごくてジメジメするから嫌い。
女装してるときはウィッグだからかくせるんだけど。そんなことを思いながら、ボクは放課後の教室で日直の日誌を書いている。
そして……実は……
「白瀬君終わった?」
「あ。えっと……あと少し」
そう!葵ちゃんと日直になんだ!これはボクにとっては嬉しいこと。日誌を書きながらチラッと葵ちゃんの方を見ると、葵ちゃんは窓の外を見ている。その横顔がまた綺麗で……思わず見惚れてしまう。
すると視線に気づいたのか、こっちを見てくるので慌てて視線を逸らす。そして少しの沈黙の後、再び葵ちゃんが口を開く。
「今、私のこと見てたでしょ?」
「えっ!?あの……その……」
「ふふ。白瀬君は面白いねwでも恥ずかしいかなw」
葵ちゃんは笑って言う。その笑顔も可愛いし……この時間がとても幸せに感じる。そう思っていると、葵ちゃんは少し照れくさそうに話し始める。
「あのさ白瀬君。聞いてもいい?」
「え?」
「なんか偏見だったらごめんね。白瀬君ってさ、アニメとかボカロとか詳しいの?」
「え?あ……うん……一応……好きだし、少しだけなら詳しいよ」
葵ちゃんからアニメやボカロの話題が出るなんて思わなかったから少し驚いた。でも、なんで急にそんなことを聞いてきたんだろう?
「本当?ならさ、私に教えて欲しいんだよね」
「教える?」
「うん。実はさ……最近いいなって思っている子がアニメとかボカロが好きなんだよね。私さ、あまり詳しくないから勉強しようかなって。あ……その子は女の子ね!男じゃないから」
それって……もしかして……そう考えて、思わず顔が熱くなるのを感じる。
『真剣に恋に向き合ってる』そう昨日の真凛の言葉を思いだす。葵ちゃんも真剣なんだ。だからボクはその葵ちゃんに向き合わないといけないんだ。
「うん……ボクでよければ教えるよ」
「ありがとう!白瀬君!」
そう言って葵ちゃんは満面の笑みを浮かべる。その笑顔にまたドキッとしてしまう。でも……今はまだこの気持ちは隠さないといけないんだ。まだ『白瀬優輝』として……そこまでの勇気はないから。
それから葵ちゃんにボクの好きなアニメやボカロ曲などを色々教えることにした。ボクの話を葵ちゃんは真剣に聞いてくれて、時には自分の知ってることを話したりもしてくれた。
その時間は本当に幸せででこのままずっと一緒にいたいとさえ思ってしまうほどだった。
「色々ありがとう白瀬君。ごめんね遅くなっちゃって」
「ううん……大丈夫……」
日誌を書き終わり、先生に提出すると、そのまま帰ろうとする。しかし、教室を出ようとしたときだった。
「あ~雨だ……」
「え?」
外を見ると雨が降り始めている。しかも結構強く降ってきたみたいだ。
「ねぇ白瀬君。傘ある?」
「あるけど……」
「……もし良かったらだけど……その……一緒に駅まで帰らない?今日傘忘れちゃってさw出来れば送って欲しいんだけどな?」
「え?」
まさかのお誘いに思わず固まってしまう。さすがにそれは……2人が入るには、かなり密着しないといけないし……それにこれって……アニメとかラノベとかの展開によくある相合傘ってやつだよね!?
「その……」
「あ。ごめん。いきなりこんなこと言っても迷惑だよね?」
「そんなことない!……です」
「じゃあいい?一緒に帰ってくれる?」
ボクは思わず首を縦にふる。すると葵ちゃんは嬉しそうに笑って言う。
「ありがとう!じゃあ帰ろっか」
「う……うん……」
こうしてボクは葵ちゃんと駅まで相合傘で帰ることになった。
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