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23. 何を考えているの?

 23. 何を考えているの?




 その週の日曜日。葵ちゃんとのデートの日だ。待ち合わせは駅近くの公園で、ボクと真凛はその前で待っていた。


「真凛……本当に大丈夫?」


「しつこい!大丈夫だよ。おにぃは『白井雪姫』。雪姫姉。アタシは白井真凛。オッケー?」


「うっうん……」


 ふと我にかえると、なぜ真凛が一緒にいるのかわからない状況だけど……しかも女装した姿で実の妹と一緒にいるのもなんか……恥ずかしくなってくる。


 そりゃ好きでこの格好をしているのだから自分が悪いんだけど。それにしても真凛のやつもバッチリお洒落に決めてるしさ……


 それよりも真凛は何のためにわざわざ来たんだろう?そんなボクの感情を読み取ったのか、真凛がボクに向かって言う。


「なに?別におにぃのことバラそうなんて思ってないよ」


「いや……それは思ってないけど、何で一緒に来たの?」


「……ナイショ。アタシのことはいいじゃん!ほら!もう葵ちゃん来るんじゃない?」


「うっうん……そうだね。葵ちゃん来ちゃうし……」


 そんなことを話していると、向こうの方から葵ちゃんが歩いてくるのが見える。そしてボク達の姿を見つけたのか手を振っている。


「おはよう雪姫ちゃん!」


「葵ちゃん」


 それを見た真凛がボクの背中を強く押す。


「ほらっ!行ってきなよ」


「うわっ!」


 不意打ちだったので上手く踏ん張れず、ボクはそのまま葵ちゃんの方向へよろけながら向かってしまう。なんとか地面にぶつからないように体を支えようとしたけど無理だった。


 そんなボクを受け止めたのは葵ちゃん。すごく柔らかいし、いい匂いもする。思わずこのままずっとこのままでいたくなるような……ってダメだ!葵ちゃんに変態だと思われて嫌われちゃう!ボクは勢いよく葵ちゃんから離れる。


「ビックリした……あはは。大丈夫雪姫ちゃん?」


「ごっごめん葵ちゃん!もう!真凛!」


 真凛は知らん顔でそっぽを向いている。コイツ絶対わざとだろ……


 でも……ボクの身体には葵ちゃんの温もりが微かに残っている。手を握るだけでも緊張しているのに、葵ちゃんにくっついちゃった……嬉しい気持ちと罪悪感が同時に込み上げて、心臓がドキドキしている。


「雪姫姉。アタシのこと紹介くらいしてよ」


「え?あっ。葵ちゃん。この子は妹の真凛」


「白……井真凛です。今日は無理言ってすいません」


「あ。藤咲葵です。私も楽しみにしてたから気にしないで大丈夫。真凛ちゃんって呼んでいいかな?私の事は好きに呼んでいいよ」


「はい。じゃあ葵さんで。葵さんは雪姫姉のこと『雪姫ちゃん』って呼ぶんですね?」


「え?うん。なんか……変だったかな?」


「いえ?別に変じゃないですよ」


 真凛がそう言うと、葵ちゃんは少し不思議そうにしている。なんで変なこと言うんだ!葵ちゃん困ってるじゃないか! そんなことを心の中で叫んでいると、真凛はニヤリと不適な笑みを浮かべている。


 真凛は本当に一体何を考えているんだろう?


 まさか……本当にボクのことバラそうとしてたり!?そんなことになったら……


「ん?雪姫姉!」


「え?」


「なにボーッとしてるの?置いてくよ?」


「あっごめん」


 そんなことを思いながら、ボク達はそのまま街に繰り出すことになった。葵ちゃんと真凛と3人でデート……なんでこうなったんだろう?いや、それはボクが真凛に相談したのが悪いんだけど……

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