19. だからダメなんだ
19. だからダメなんだ
ボクはそのままベッドに横たわりながらスマホの写真を見る。これはボクであってボクじゃない……『白井雪姫』だから……
「はぁ……」
思わずため息が出てしまう。ボクはその写真を見ながら考えてしまう。この2人……恋してるって顔してるわよ?莉桜姉さんに言われた言葉を思い出すと胸が締め付けられるように痛い。
葵ちゃんは真剣に恋をしようとしているのにボクは……そんなことを考えながらも、ボクは『白瀬優輝』で葵ちゃんと会ったり話したりする勇気がない。
でも、葵ちゃんとは週末会いたいし、それに『白井雪姫』が『白瀬優輝』だとバレてしまったら葵ちゃんはどうなってしまうのだろう?それが怖くて仕方ない。でもその反面……もっと葵ちゃんのことを知りたいって思ってしまっている自分もいる。
じゃあボクはどうしたいんだ?……そんなの分からないよ!だって今までこんな気持ちになったことないし!でも……それでもボクは……
「おにぃ。入るよ」
するとノックもせずに真凛が部屋に入ってくる。そのおかげでボクは我に返ることが出来た。
「ノックぐらいしてよ」
「いいじゃん。別に減るもんじゃないし」
真凛はそのままボクの机の椅子に座る。ボクは真凛の方に視線を向けずにスマホの写真を見ていると真凛が言う。
「おにぃさぁ……めっちゃ恋してるよね?」
「……え?」
一瞬ドキッとしたけど、ボクは冷静を装って言う。すると真凛はわざとらしくため息をつく。
「はぁ……よくこんな可愛い子とデート出来たね?お世辞抜きにして、アタシでも惚れちゃいそうだよ」
「……そういう関係だから。それに……」
「それに?」
「……なんでもない」
葵ちゃんとデートしているのは『白井雪姫』であって、『白瀬優輝』じゃない。
それに……この写真だってそうだ。確かにこの写真はすごく可愛いし幸せそうな笑顔だけど、それはあくまでも『白井雪姫』に向けられたものであって、『白瀬優輝』に向けられたものじゃない。
「はぁ……ダサッ」
「なんだよ」
「どうせ『でもこれは自分じゃないし』みたいなこと思ってんでしょ?」
「うるさいな!真凛には関係ないだろ!」
「はぁ?マジで言ってんの?本当にキモッ」
真凛の言葉にボクは思わず口ごもってしまう。なんでそこまで言われなきゃいけないんだよ……そんなことを考えている間にも、真凛は続ける。
「……おにぃじゃん」
「え?」
「そこに写ってるのは女装したおにぃでしょ!そんな楽しそうな顔しちゃってさ!キモッ」
「ちょ、ちょっと!」
真凛はそのままボクのスマホを取り上げる。そしてそのまま写真を見るなりボクの方に画面を向ける。
「ほら見てよ?葵ちゃんだっけ?この笑顔はおにぃと一緒にいて楽しいからの笑顔でしょ?それにこの優しい眼差し!」
「……でも、これは『白井雪姫』に向けて……」
「はぁ……相変わらずダサいねおにぃ。そんなんだからモテないんだよ」
「……うるさいな」
「外見は違っても中身はおにぃじゃん。葵ちゃんは外見で人を判断するような子なの?だいたい、いつも学校でも一緒なんだから話せばいいだけじゃん。ただ逃げてるだけでしょ。そんなんだからダサいことしか考えられないんだよ!それが嫌ならもう会わなきゃいいでしょ!見ててイライラする!」
そう言って真凛はスマホを投げて渡すとそのまま部屋を出ていく。
……本当にボクってダメだな。真凛の言う通りだ。
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