18. 勘違いしてた
18. 勘違いしてた
無事に葵ちゃんとの2回目のデートを終えて家に帰るとそのまま自分の部屋のベッドに倒れ込む。今日は本当に色々あったなぁ……
ボクはそのまま天井を見つめる。そして今日あったことを思い出す。葵ちゃんとのデートは楽しかったけど、それ以上にドキドキしすぎて大変だったな……それに間接とはいえキスもしちゃったし……でもそのことを考えると顔が熱くなるのが分かる。
だってボクにとって初めてのキスだったから……もちろん女の子となんて初めてだし!しかも相手はあの葵ちゃんだ!緊張しない方がおかしいよ!……間接だけどさ。
そしてスマホを取り出し、あの時の写真をもう一度見る。その写真には満面の笑みを浮かべる葵ちゃんと、ボクが写っている。
これを見ただけで幸せな気分になれるのだから不思議だ。でもやっぱり恥ずかしいな……だってこの写真は……まるで本当の恋人みたいじゃないか!ボクは思わず枕に顔を埋めてしまう。
本当にこんな素敵な子と友達……いや2人だけの秘密の関係でいられるなんて夢みたいだと思う反面、いつかこの関係が終わってしまうんじゃないかと不安にもなる。
「あら?すごく可愛い子じゃない」
「うわっ!だから部屋に入る時はノックしろって真凛……え……莉桜姉さん?」
「ふふ。何度もノックしたわよ?でも優輝が集中して気付かなかっただけでしょ?」
そう言って笑う莉桜姉さん。……全然気付かなかったんだけど。というか、そんなことよりも!ボクは慌てて飛び起きてベッドの上に座ると、そのままスマホを隠そうとするけど遅かったみたいだ。
だって莉桜姉さんの表情がそれを物語っている。
「ねぇ。その子はお友達?」
「いや……その……」
どうしよう……まさか莉桜姉さんに見られるなんて思わなかったし、それにまだデートの余韻が残っているせいか上手く説明できない。
というかそもそも葵ちゃんのことをなんて言うかで悩む。ただの友達、クラスメートとは言えないし、かといって恋人でもないし……ボクは必死に言葉を探すけど思いつかない。するとそんなボクを見た莉桜姉さんが口を開く。
「ふふ。優輝は分かりやすいわね。その女の子がデートのお相手なのね?」
「え?あ!その……えっと……そうだけど、友達っていうか……その……」
「優輝」
「なに?」
「その写真の2人……恋してるって顔してるわよ?私まで恥ずかしくなっちゃうわ……ご飯出来てるから、着替えて降りてらっしゃい。今日は優輝の好きな唐揚げよ」
そう言って莉桜姉さんは部屋を出ていく。
……『恋してる顔』。
確かに葵ちゃんはボクの大切な人で……この写真の笑顔を見ると幸せな気持ちになるし、一緒にいると落ち着く。この気持ちは恋なのかな……
リビングに降りて夕飯を食べながらも色々な事を考えてしまう。
「……キモッ」
「え?」
「なんでニヤニヤしてんのおにぃ?キモイ!」
「ニヤニヤなんかしてないよ!」
そう言いながらも自然と口元が緩んでしまう。そんなボクを見て莉桜姉さんはニヤニヤしている。
「いいじゃない嬉しかったんだもんね優輝?写真上手く撮れてたもんね」
「莉桜姉さん!?」
「え?写真見せて見せて!」
「なんで真凛に見せなきゃいけないんだよ!」
「はぁ?今日の映画館デート、誰のおかげで出来たのか忘れた?」
確かに真凛のおかげで葵ちゃんをデートに誘えたのは事実だよね……でも、だからと言って真凛に見せるのは……そんな感じで躊躇していると、真凛はボクからスマホを奪い取ると、そのまま写真を見る。
「えぇ!?めっちゃ可愛いじゃん!なんでおにぃなの?あ。違うか」
「え?」
真凛の予想外の言葉に少し驚いてしまう。そうだ……ボクは勘違いをしていた。葵ちゃんは『白瀬優輝』とデートしてるんじゃない。『白井雪姫』とデートしてるんだ……
その事実に急に寂しさを覚える。でも、それを悟られないようにしながらボクは真凛からスマホを奪い返す。そしてそのまま食事を済ませると足早に部屋に戻った。
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