✒ 番外編:手品師 8
「 敢えて仕込みに “ 白い粉 ” を選んだのには理由があります 」
「 どんな理由があるのよ! 」
「 奥沢先生の持ち物から “ 白い粉 ” が見付かれば、間違いなく “ 白い粉 ” の事も警察へ上がります。
奥沢先生の自宅に警察が赴き、家宅捜査が始まります。
奥沢先生が未成年の時、万引きの常習犯だった事も発覚し、逮捕されるでしょう 」
「 そりゃ、万引きの現行犯と白い粉を所持してたら逮捕はされると思うけど、未成年の頃にした万引きに関しては時効なんじゃないの?
お咎めは無しでしょ? 」
「 ところがそうならないのが人の縁の面白い所です 」
「 面白い??
どゆことよ? 」
「 奥沢先生は未成年の時、万引きを1人でしていた事もありますけど、共通の友人と組んで万引きもしてました。
誰と組んで、どの様な方法を用いて万引きを成功させたのか万引き日記には詳細に書き記してます 」
「 アンタ──、徹底的にやってるわね…… 」
「 奥沢先生と組んで万引きをした相手の殆んどは、少なくても3回は警察の御世話になってます。
中には万引きからは足を洗いはしましたけど、他の犯罪に関わっている者も何名か居ます。
その中でも奥沢先生が初めての万引きを共にして成功させた少女は現在、麻薬の売人となってます。
麻薬とは無縁の学生や主婦をターゲットにして荒稼ぎしてます。
どうですか、お母さん。
人の縁は面白いでしょう? 」
「 何処に面白い要素があるのかアタシには分からないんだけど…… 」
「 ワタシが用意したコレクション棚の下段には、白い粉を入れてます。
麻薬の売人をしている彼女が売買している麻薬と同じ “ 白い粉 ” です。
彼女の指紋と奥沢先生の指紋をベットリと付けてます。
感動的な再会を警察署内で出来るかも知れません♪ 」
「 酷い話ね……。
だけど、その麻薬の売人に成り下がって荒稼ぎしてる女が捕まったら、麻薬の出所が分かって、関わってる麻薬の組織も摘発が出来るかも知れない?? 」
「 さて、それはどうでしょう。
それは警察の仕事であって、ワタシが関与する必要の無い事です。
ワタシの目的はあくまで、奥沢先生が万引きの常習犯である事を幼稚園の先生達に知ってもらい、薬物所持者へ下手上げ、警察に逮捕させる事です 」
「 やり過ぎだっての!
だけどさ、何で其処迄する必要があるのよ? 」
「 お母さんの為です 」
「 はぁ?
アタシの為ぇ??
何でよ? 」
「 お母さんに犯罪者となってほしくない息子心です。
奥沢先生の戦利品の中には、お母さんが贔屓にしていた行き着けの本屋から万引きされた漫画が30冊ほど有りました。
1人の万引き犯に30冊も書籍を盗まれていたら──、本屋の倒産に貢献していた事になりません? 」
「 ……………………それ、マジなの?? 」
「 ワタシはお母さんに嘘は吐きません。
お母さんに万引き犯を刺し殺してほしくないです。
お母さんが犯罪者とならない様、ワタシが片付ける事にしました 」
「 セロ…… 」
「 手品の依頼を受けた幼稚園で、お母さんが好きだった本屋を倒産に追い込んだ関係者と知らず知らずに会っていたなんて──、人の縁は面白いでしょう? 」
「 セロが何もしなかったら、アタシは奥沢先生が万引きの常習犯だった事なんて微塵も知らずに暮らしてたわよ!
ねぇ、本当にこれで良かったの?? 」
「 さて、どうでしょう?
未成年の時に犯した数々の万引き対しての刑罰は受ける事は無いでしょうけど、万引きの現行犯の罪と薬物所持の罪での刑罰は受ける事になります。
幼稚園も辞める事になるでしょうし、以後は子供に関わる真っ当な職業には就けないかも知れませんね?
お母さんは奥沢先生を “ 可哀想 ” だと思います? 」
「 …………気の毒とは思うけど……、身から出た錆ってヤツなのかしらね??
これが奥沢先生に与えられた報いって事?
今迄のツケが一気に戻って来たって感じ?? 」
「 薬物所持に関してはワタシが仕込んだ事ですから、完全に奥沢先生とは無関係ですけどね。
鞄から出て来る “ 白い粉 ” の袋にも奥沢先生と麻薬の売人の指紋が付いてますから、無罪にはなれません。
無実の犯罪者も嘘の証拠品も簡単に作れます♪ 」
「 恐ろしい息子! 」
「 褒め言葉です、お母さん♪
お母さんが “ 殺したい ” と思っている40人を犯罪者に下手上げて逮捕させましょう♪ 」
「 えっ!?
マジで言ってんの?? 」
「 はい♪
ワタシは何時でも、お母さんの味方です♥️ 」
◎ 「 番外編:手品師 」を完結させる事が出来ました。
最後まで頑張れました。
次回の投稿にも乞う御期待?




