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【本編完結】乙女ゲームの世界に召喚された悪役聖女ですが、元彼は攻略したくないので全力で逃げたいと思います  作者: 兎束作哉
第二章 面白ぇ女枠にはなりたくない!

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03 それ噂になってます!?




「まずは、基本属性からですね」

「はい!よろしくお願いします!」




 ブライトを魔法の先生としてゲットした後、神官は若い二人でどうぞ。と庭を出て行ってしまった。

 この状況で二人きりとか心臓が……!と思ったが、乙女ゲームだということを思い出しまあそうか。と自分を納得させた。




「光魔法の魔力を持つ者は、当たり前ですが光属性の魔法を皆使えます。そして、その光魔法という大きな組み分けの中に、火、水、木、風、土の五つが存在するのです」

「成る程」




 ここに、ノートがあればしっかりメモを取っていただろう。何せ、私は優等生なのだから!

 そんな事はさておき、この間神官が説明してくれた魔法の原理よりも詳しく丁寧にブライトは教えてくれた。


 光魔法の中に、固定で光、それから得意属性で火、水、木、風、土の五つがあると。光ともう五つのうちどれかを使うのだという。稀に三つ四つと使えるものもいるらしいが、光以外の五つは向き不向きが激しいため、最底辺の魔法しか使えないという。


 それに、極めた方が便利であるとブライトは付け加えた。




「その向き不向きってどうやって分かるの?」

「そうですね……その人が、イメージしやすいもの興味が惹かれるものなどで、個人の判断に任せる……という感じですかね。ああ、でも属性判断装置なるものもあります」




 ここにはないですけどね。とブライトは微笑んだ。


 やはり、この世界の魔法はイメージに大きく左右されるようだ。

 それはそれで面白そうだなと思いながら、私は話を聞いていた。


 回復、防御の魔法はどの魔道士でも使える固有魔法らしい。光、闇問わず。


 何は、ともあれ知識を入れるより実践である。




「ブライトの属性?は何なの?得意魔法とかは」

「僕ですか……?僕は……、そうですね。水属性の魔法は得意です」




 へえ~。そうなんだ。と相槌を打ちながら、ブライトをじっと見つめていると、彼は少し照れたように頬を掻いた。

 そんな顔もするんだと、彼の好感度を確認すると12に上がっていた。確か、この間最後にあったときは7だったから……




(徐々に上がってる……グランツと一緒で、魔法教えて貰いながらこの調子で好感度あげよう!)




 私はそう考え心の中でガッツポーズを決めた。

 しかし、それが表に出ていたようでブライトは不思議そうな顔をして私を見ていた。




「それじゃあ、早速やってみましょうか」

「はい!よろしくお願いします!」




 私は、元気よく返事をした。


 まず、最初に覚えるべき魔法は【光の盾】だ。これは初歩の初歩であり、一番簡単な魔法だという。固有魔法の一つでもあり、防御魔法と呼ばれるものである。

 ブライトは、呪文を唱えて右手を前に出した。すると、彼の前に小さな丸い鏡のようなものが現れた。

 どうやら、これが【光の盾】らしい。




「【光の盾】の防御面はその人の魔力量や、イメージで自由自在に形を変えることが出来ます。例えば、ドーム型に展開したり、風属性の魔法が使えない人はこれで足場を作ったりしますね」

「凄い……!」




 私の目には、キラキラとした光が溢れていてまるでお星様みたいだと思った。


 こんなにも綺麗なものを私は見たことがない。


 私が感動している間に、ブライトは呪文を唱えると、目の前には先程の倍くらいの大きさの【光の盾】が展開されていた。




「さあ、エトワール様もやってみてください」



と、ブライトは私に促した。

 しかし、突然やれと言われた私の頭はショートしかけていた。理由は簡単だ。彼が魔法を発動する際、呪文を唱えていたからだ。


 此の世界の魔法は詠唱が必要なのかと。


 この間魔法を発動したときは、祈ったというか願ったというかで発動したため、詠唱は必要ないものだと思っていた。けれど、ブライトが呪文を口にしたことで、詠唱は必要なものだと言うことが明らかになる。




(てっきり、祈れば出来るものだと思ってたから呪文なんて覚えてないわよ……!)




 そう思いながらも、私はブライトが展開した【光の盾】を眺めた。すると、ブライトと目が合いどうしましたか?と首を傾げられた。




「すみません!その、呪文聞いてなくて!」

「え、あ……そのことで、悩んでいたのですか?」

「はい……」




 不味い……、教えて欲しいと言いながら聞いてませんでしたとかシャレにならない。


 彼の好感度が下がらないかと、びくびくしているとブライトはふっと笑みを浮かべると優しく頭を撫でてくれた。

 驚いて見上げると、彼は優しい表情をしていた。

 ブライトの好感度を見ると12から13になっていた。




(良かった……下がってなかった……)




 ホッと安堵する。上がる要素があったかは不明だけど。




「詠唱は必ず無くてはならないものではないんです。ただ、一般的な魔道士はイメージを固めるために唱えるんです。その方が、魔法の成功率も上がりますし」




 ですので、呪文は覚えなくても大丈夫ですよ。とブライトは付け加えた。


 その言葉を聞いて胸をなで下ろした。しかし、ブライトの言うように呪文を唱えることでイメージが固まるのであれば覚えておいた方がいいと思い、一応ブライトに呪文を聞いてみた。




「シャイン……シールド……ですね!覚えました!」




 ブライトは、私の大声に一瞬驚いたような顔をしたがすぐに微笑んでくれた。

 そして、私は気持ちを落ち着かせ。さっきブライトがやったことを真似するようにして、同じように両手を出す。




「シャインシールド……ッ!」




 私が叫ぶのと同時に、まばゆい光が両手から放たれそこからホタルのように光の粒子がふわふわと舞う。

 そうして、次に目を開けた瞬間私の目の前に菱形の【光の盾】が出来ていた。




「わあ!本当に出来た!出来きたよ!ブライト……!」

「お見事です。エトワール様」



 ブライトは私に拍手を送りながらにこりと微笑んでいた。



 そんな彼を見て、私は嬉しくなり目の前の【光の盾】を見た。半透明なその菱形の壁は叩くとコンコンと乾いた音がし、まるでガラスのようだった。

 私が考えていたのは、ブライトのような円形のシールドだったのだが、この間魔法を発動したときよりも感動が大きく、自ら作ったシールドをじっくりと観察した。


 スマホやハイテクな機械はこの世界では発達していないものの、魔法という便利な存在があればいらないのではないかとすら思った。


にしてもまさか、自分が魔法を使う日が来るとは……夢の中では何十、何百回と魔法をぶっぱなしていた記憶がある。小さい頃は魔法少女になれるのでは?とも思っていた。




「……トワール様……エトワール様!」

「はい!ごめんなさい!」




 私は思わず声を上げて、勢いよく頭を下げた。


 魔法に感動していたあまり、ブライトに名前を呼ばれていることに気づかなかったのだ。

 ブライトは、大丈夫ですから、顔を上げてください。と優しく声をかけてくれる。


 彼や、此の世界にとっては魔法は一般的(貴族と少数の人間しか使えないが)なもので、珍しいものではないのだろうが、私にとっては珍しいだけに留まらず、憧れていたものであった。

 この間は、魔力測定やらグランツ、ブライトとの出会いもあり魔法への興味関心が薄かったのだが、こうして習い自分のイメージを固めながら使ってみるとやはり心に来るものがあった。




「魔法に感動してしまって……!」




と、私が慌てて言うとブライトは聖女様ですよね?みたいな顔を私に向けた。


 そうだった。私は、聖女。女神の化身。此の世界の想像主だ。魔法なんて、彼女が作った二等しいだろう……と言うことを思い出し、どうにか誤魔化そうと言葉を探すが、見つからず私は俯いた。



 仕方ないじゃん。私はその……外面は聖女だけど中身は庶民でオタクなんだし。



 そんなこと言えるはずもなく、私はブライトを見つめた。


 相変わらず、綺麗な顔をしている……と。攻略キャラの中で一番の美形である彼は、綺麗という言葉で洗わずには勿体ないほどの美青年である。こんな美青年、私の住んでいた世界にいない!顔面偏差値高すぎるのよ!と思いつつ、元の世界のことを思い出し、パッと浮かんだ顔に私は首を振った。

綺麗とは違うけど、イケメンならいたからだ。




(此の世界ではもっとイケメンに……いや、それは私の推しだからさらに美化されているのかも知れないけれど)




 元彼の、遥輝の顔がふと浮かんでしまったのである。


 彼は、いい意味でクラスから浮いていた。あまりにもイケメンだったのである。親が俳優だったのではないかと噂されるぐらい。どの遺伝子を掛け合わせたらあんなイケメンが生れるのだと言うぐらい。

 そんなことを思っていると、ブライトは特訓を続けようと言ってきたので、私は気持ちを入れ替えてはい。と返事をした。




「それでは、あの木に向かって魔法をうってみましょうか」




と、ブライトが指さした木は、以前私が魔法を発動させ折ってしまった大木だった。ここは、女神の力によりすぐに蘇生するのだが、あの時の記憶が鮮明に蘇ってきて、私は眉をひそめた。


 その様子に、ブライトは気づいていないようで話を続ける。




「初めは、水の弾を出すことから教えようと思ったのですが、聖女様は魔力が有り余っていますし、神官に聞いた話だと滝を出現させるほどの力を持っているので……」

「は、はい……」




 あのおじいちゃん神官余計なことを!と思いつつ、ブライトは私に期待してくれているのだと思い、ギュッと拳を握った。




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