3、暴れモノ
助けたかっただけ
守りたかっただけ
なのに───────────────どうして殺しちゃったの?
笑顔が素敵なヒトでした。
明るいヒトでした。
指が綺麗なヒトでした。
魔法がエルフ一番の凄いヒトでした。
思考がクルクル回って楽しいヒトでした。
他とは違う私の髪色を個性だと言って褒めてくれました。
あんなに大切にしてきたのに………モノはあっさり壊れるのです。
私はエルフの里を追い出されました。
処刑されなかっただけましですがエルフの子供が外で生きていくのは無理です。
そういったことでは処刑に近いでしょう。
追い出されてから、私はある街の近くの森に住み始めました。
ちゃんと領主の許可は取りましたよ。
そして前世の母のようなモノを調べました。
未練があって私の中にいるようなので呪いと名付けました。
呪いを研究しました。
もう二度とアレを引き起こさない為に。
冒険者になりました。
時々襲ってくる盗賊達を引き渡すのにちょうど良いからです。
たまに依頼のある魔物を倒しました。
家の周りに魔物寄せを撒いていたらあら不思議、魔物が罠に掛かっているではありませんか。
まぁこんな風に研究の合間に休憩のように冒険者をしていたら、受け入れられました。
事情があり、それを話せない冒険者という認識です。
私はどう呼ばれようとどうでも良いですけどね。
受け入れてくれれば。
祭りのような市場で素材を買っていると膨大な負の感情を検知しました。
呪われている身ですから、感情なんて簡単に読み取れます。
随分遠くからな気がしました。
その方向に目を向け、じっ……と見ました。
発生源は─────────城でした────
走りました。屋根の上を。
呪い関連に呪式と私が呼ぶモノがあることは知っていましたが研究不足だったので呪いを身に纏う位に留めました。
まぁそれだけでも身体能力は大幅に上がるのですが。
城に着きました。
場所は地下のようです。
そういえばさっき市場のおじさんが言っていました。勇者召喚をしているらしい、と……
まぁ十中八九原因はそれですね。
魔法で姿を隠し、気配を消しました。
これでもエルフ一の魔法使いだった女性の血を引いていますから。フフン♪
そんなこんなで地下にたどり着きました。迷子になりかけましたが壁を壊して進みました。テヘッ
見てみると、少年が暴れ、宮廷魔道師(母よりは弱いヒト)達が倒れていました。
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