2、呪い
何故私は子どもになっているのか分かりませんでした。
母はエルフと呼ばれる種族で、エルフの里に住んでいます。
父は魔族と呼ばれるカテゴリーに入れられ、忌み嫌われていたため、離れた所でひっそりとしていました。でも、時々会ってくれます。
私はこの世界を満喫しようと思います。
─────そう……思っていました。
私には何かが憑いている、という確信がありました。それを察したのか、父は私にペンダントをくれました。
普通の使い方は魔力と呼ばれるものを籠めたりするそうですが、私には「その憑いているモノを籠めなさい」と言ってくれました。
少し気が楽になり、毎日それに頼るようになりました。
それがいけなかったのでしょう。
ある日、里に商人のような格好をした、薄気味悪い笑みを浮かべたヒトがやって来ました。
黒い大きいヒトを連れて。
皆それらから逃げ惑いました。
ヒト達はエルフの皆を捕まえると、麻袋に入れ始めました。
──助けたい
私はあんな惨状を引き起こすなんて考えもしなかったのでしょう。
ペンダントを壊しました。
「助けて、お願い」と願いをこめて。
そのペンダントから出てきたのは黒い霧のようなヒトの形をしたモノでした。
自殺した母に似ていました。
そして……殺戮を始めました。
皆を助けたかっただけなのに……
母を助けたかっただけなのに………
あろうことか、初めに死んでしまったのは──
─────母でした。