*俺の家には猫又が住み着いている。*
BLです!
*俺の家には猫又が住み着いている。*
猫又、それは猫が長生き過ぎて尻尾が二本になって、更に人間に化ける妖怪ってやつだ。
勿論こんな事ナチュラルに他人に話したりはしないが、俺の家で普通に猫として暮らしてる。
時々五月蝿いのが玉に瑕だがな…
まぁ、いろんな経緯があって。
今では化け猫の恋人が俺の傍で笑ってる。
何故か、まぁ、絆された、って言った方が妥当だな、これは。
俺は元々動物、泣く子にはかなり弱い。
というか、寧ろ動物が好きすぎて、ペットショップなんかもやっていたりする。
親戚にはからかわれた。厳つい顔をして人間相手に商売が勤まるのかと。
商売のほうは繁盛とまで行かないが、中々いい売り上げだ。
本業の方は他の者に任せてるから心配はない。自由な生活だ。
まぁ、それもこれも。俺の恋人のお陰だがな。
あ、そうそう。動物と泣く子に関しては、コイツはドンピシャ(死語)だった。
容姿、性格共に俺には好みに当て嵌まり過ぎた。
奇麗過ぎる容姿に群がる虫ドモを駆除するのは、実に骨が折れた思い出がある。今思い返しても、苦虫を噛み潰すような感覚だ。
「…あの。この子、近くの公園で拾ったのですけど…」
「またか」
「ご、ごめんなさい…」
そして恋人は、子猫やら子犬やら、傷ついた雛を持ってきては世話をして、新しい飼い主を探したりなんかもする。
あれ?今何匹居るんだっけ?
六匹くらいいたなぁ…
「まぁ、一匹増えた所で変わんないけどな」
「え!それじゃ!」
今飼っている動物は、犬二匹に猫四匹。
不思議とこいつらは喧嘩しない。この恋人のお陰なのだろうか…
「まぁこんな雪の中。放って置くわけにもいかないしな」
「ありがとうございます!」
そして、よかったねぇと子犬に笑い掛ける柔らかい笑顔。
俺はコイツのこの顔が、堪らなく好きだ。
一度だけこの恋人を悲しみに泣かせてしまった事があるが、今でも胸が引き裂かれそうになる。今でこそ俺達は幸せだが、それは期限付き。
今ではないが、必ず別れが訪れる。
あの世にまでこの恋人を連れて行くことはできないから。
俺が生きていける限り、この恋人を幸せに、この恋人に幸せな思い出を…
そう言ったら、泣かせてしまった。
俺が人以外のものになれたら、とは思うが。
とても俺には出来そうも無い。
だから、あなたに精一杯の。
俺からの幸せ。
思い出を、あげたいと思う。
END