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部屋とTシャツとわたしとあいつ

作者: こばゆう

お題「気に入ってないのに捨てられないTシャツ」

「うーわ、懐かし......」


世界を席巻しまくっている迷惑ウイルスの影響で家から出られず暇を持て余していたわたしは、突如夜中に部屋の断捨離を敢行していた。

そしてタンスの奥底から目の前に現れた、でかでかと頭蓋骨がプリントされた、ダサすぎるTシャツ。


もう四年も前になる。

初めて彼の家に泊まり、着替えを持ってきていなかったわたしに彼が渡してくれたTシャツ。

死ぬほどだっせえデザインだなあコレ、とも思ったけれど、当時は単純にTシャツを用意してくれたことが嬉しくて、それ以来彼の家に泊まるときは必ずこのTシャツを寝巻き代わりにしていたんだった。

彼が一番好きな洋楽のバンドTシャツ。なんだっけ。フレーミングリップス?とかいうやつ。彼の勧めでいちど聴いてみたけど、流行りものが好きなわたしには良さが全然わからなかった。

いつの間にかこんなところに居やがったのね。おまえは。


どうしよっかな。今見てもだっさいし、捨てちゃおうかな。

寝巻きにするにも、三十歳を目前にしたわたしにはいささか恥ずかしいデザインだ。


いや、でも試しに着てみよう。

明日の朝になってあいつがどんな顔するのか、楽しみだ。

恥ずかしいけど、たまには恥ずかしい思いをしてみよう。

ついでに、いつもよりくっついて寝てやろうかな。

いつの間にかお腹も出てきて、今日も尋常じゃないいびきをかく彼の横で、とびきりダサいTシャツを着たわたしは眠りにつくのだった。

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