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俺たちは急いでドラゴン亭にやって来た。
「すみません。ここで4人で1泊したいと考えているのですが、1泊いくらでしょうか。」
「男女別にされるなら1泊銅貨50枚です。4名様1室なら1人銅貨45枚です。」
…嫌な予感が的中してしまった。
他のメンバーも言葉が出ないようだ。
「すみません。正直手持ちが少ないので宿泊は難しいようです。ユースケと言う方は宿泊していますか?」
「えぇ、宿泊されてますよ。」
「お手数ですが、呼んで頂くことはできますか?」
「構いませんが、部屋におられるかはわかりませんよ?」
「はい。不在でしたらまた来ます。」
受付スタッフの人がおじさんを呼びに行った。
おじさんはどうやって銅貨50枚も稼いだのだろうか。
俺たちと違ってスキルは戦闘向きではないし、すぐに街へ向かったからお金を稼ぐ暇なんてなかったと思うんだが…
だけど、ここに宿泊できているということは、何かしらの方法でお金を稼ぐ手段があったという事だ。
教えてもらうのは…難しいだろうな。
色々考えているうちに受付の人が戻ってきた。
「何度かノックしましたがお返事がありませんでした。」
「…そうですか。」
「伝言を承りましょうか? お伝えするのは明日の朝になるかもしれませんが…」
「……いえ、結構です。また改めます。ありがとうございました。みんな、行こう。」
俺たちが休憩する場所すら決められていないのに、伝言しても無駄だろう。
俺は受付の人に礼を言ってその場を離れる。
他のメンバーも意気消沈しているようで、俺の後をトボトボと着いてくるのがやっとのようだ。
ドラゴン亭のドアを出て少し横にずれてから、今後の相談することにする。
「銅貨50枚では1人分の宿泊にしかならないようだ。もう少し宿のランクを落として宿泊できるところを探そう。せめてチカとユカリだけでも泊まらせてあげたい。」
「…そうだな。街の治安がわかんねーし、女が野宿するのは危ないだろうしな。」
「2人ともありがとう…でも、食事とかも考えると野宿でも仕方ないと思うわ。それに冒険者になれば野営もするでしょうし、少しは慣れないとね。」
「私とユカリだけだったら怖くて仕方ないけど、リューイチとタクヤが居てくれるからそこまで怖くないよ!」
「全員で野宿は最終手段だな。まずは他の宿を探そう。」
俺たちは街を歩きながら冒険者風の人を見つけるたびに話しかけて、他の宿について聞いた。
何人かから格安の大部屋の宿泊所があると教えて貰えたが、女性だけでも泊まれそうか尋ねると全員に辞めておけと言われた。
その宿泊所では男でも盗難や暴力を受けることがあるらしい。
さすがにそんなところにチカとユカリを泊めることはできない。
俺たちは相談の上、野宿を選択することにした。




