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ユージンの問いに俺はすぐに返答できなかった。
おじさんを見捨てた後ろ暗い部分もあるからだ。
その上、うまく街に入れたおじさんの跡を使おうとしている。
「…同じ同郷は同郷です。道中で仲違いをしてしまって…彼だけ先に街へ向かってしまったんです。」
「…フーン。 検査は全員問題ないな。次は板に1人ずつ情報を記入してもらう。」
ユージンは全然納得していない感じだな。
これはヤバイぞ。
しかも打ち合わせもなく1人ずつ情報を書かされるなんて…
俺はユカリにアイコンタクトを取り、チカとリュウイチに目線を送って再びユカリを見る。
ユカリはそれで分かってくれたようで、チカとリュウイチに小声で話し始めた。
「ユージンさん、このメンバーで字は俺ぐらいしか書けません。皆の代筆をしても構いませんか?」
「…いいでしょう。ただし、偽りの情報の記入は犯罪になりますから、お気をつけて。板に1人分ずつ名前、年齢、性別、出身地を書いて。」
「わかりました。」
危なかった。
出身地まで書かされるとは…
チカとリュウイチだったら素直に日本と書いていたかもしれない。
嘘ではないが目立つ事この上ない。
しかしこの国の街や村の名前なんておじさんも知らないはずだし…
どうやってここを乗り切ったんだ?
4人分の名前、年齢、性別を書きながら高速で考える。
代筆が簡単に認められるとなると、この国の識字率はそこまで高くないということだ。
となると、国が把握できていない村とかもあるのではないか?
ただ、おじさんと違う名前の村名を書いて同郷設定が崩れてもマズイ。
ここは一か八かで[村]とだけ書いてみよう。
4人分の情報を記入してユージンに板を手渡す。
「……ホントに同郷だったんだな。アイツと同じだわ。」
「えぇ。」
「疑って悪かったな。」
「いえ、疑うのがユージンさんの仕事ですし。」
「ようこそ。 サニーフェルへ」
ユージンが笑顔で右手を俺に差し出した。
俺も笑顔で右手を差し出し握手をする。
……無事、通過できて良かった。
ユージンにおじさんが宿泊しそうな宿と冒険者ギルドの場所を聞き、早速冒険者ギルドへ向かった。
「このモンスターいくらぐらいで売れるかな〜?」
「ここまで持ってくるの結構大変だったし、良い値段で売れるんじゃないか?肉も皮も取れるしな。」
「少なくても今日の飯代と宿代ぐらいにはなるだろう。」
「冒険者ギルドの登録が終わったら少し休憩をしたいですわ。」
「私もー! 歩き疲れちゃったぁ。」
「そうだな。色々あったから、冒険者ギルドが終わったら少し休憩しよう。」
「賛成賛成!」
皆、初めてのことだらけで疲労感があるようだな。
俺も正直少し休憩したい。




