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2.どんぐり池の神さま

 ♪逆さ虹の森は不思議の森 

  ねっこ広場で嘘つかず

  どんぐり池にどんぐり投げて、

  ねがいをかければ 奇跡がおこるよ♪


 クマとキツネは、コマドリの歌を歌っているうちにとても楽しくなってしまいました。そして、ねっこ広場の怖さなどすっかり忘れて、どんぐり池に向かうのでした。

 けれども、二人がねっこ広場を通りすぎようとした時、

「あっ、冷たいっ!」

 木の上にたまっていた雨のしずくが、一斉に落ちてきたのです。驚いて上を見てみると、顔なじみのリスが木の枝をゆさゆさと揺らしていました。

「馬っ鹿じゃないの? どんぐり池の迷信を信じて、こんな森のはずれまでやってくるなんてさっ!」

 それは、逆さ虹の森に住んでいるリスでした。このリスは、いたずらばかりしていて、いつも、こんな風に悪さをしてくるのです。

「こらっ、また、リスくんか! いたずらは止めろっていってるのに」

 舌を出しながら、木の上をぴょんぴょん逃げてゆくリス。その後を追いかけようとしたキツネをクマが止めました。キツネは口をとがらせていいました。

「ちぇっ、あいつ、おいらとクマくんが仲良しなもんで、やっかんでるんだ」


* * 


「わぁ、きれいっ」

 ねっこ広場を抜けて、どんぐり池が見えてきた時、キツネとクマは歓声をあげました。

 空は晴れわたり、お日さまの光を受けた木々の緑が、澄んだ池の水面みなもに映し出されて、宝石のようにきらきらと輝いています。逆さ虹は見えなくなっていましたが、どんぐり池は噂どうりの美しい場所でした。ただ、どんぐり池には、こちらの岸からあちらの岸まで、今にも壊れそうなオンボロな橋がかかっていました。

「クマくん、ここには絶対に神さまが住んでいるよ。だから、早く、お願いごとをして」

 クマはキツネにさかされて、どんぐりを1つ池に投げ込むと、お願い事を口にしました。


「池の神さま、どうか、どうか、ぼくをもっと強くしてください」


 すると、


 ぐるるるるっ


 池の中からそんな音が聞こえてきたのです。

「あれっ、なんか、おかしな声が聞こえるぞ」

 キツネとクマは首をかしげました。


 ぐるるるるっ


「池の神さまはもっと、どんぐりが欲しいんじゃないかな。クマくん、もう1つ、どんぐりを池に投げてみたら」

「うん、そうだね」

「お願い事も忘れないでね」

「うん」

 クマはどんぐりをもう1つ池に投げて、お願い事をくりかえしました。


「池の神さま、どうか、どうか、ぼくをもっと強くしてください」

 

 ところが、その時です。キツネが持っていた、どんぐりの籠を後ろからうばいとった者がいたのです。

 それは、あのいたずら好きのリスでした。

「だめだよ、リスくん!籠を返して!」

「やなこった」

 リスはぺろりと舌を出すと、どんぐりの籠をかかえたまま、オンボロ橋をぴょんぴょんと渡っていってしまいました。

「待って、リスくん!」

 ところが、キツネがリスを追いかけようと、オンボロ橋に足をかけたとたんに、橋が壊れてしまったのです。

「うわぁ、たすけてぇ!」

 キツネとリスは、どんぐりの籠もろとも、池の中に落ちてしまいました。

「おぼれちゃう!」

「二人とも、あわてないで!」

 ふだんは怖がりでも、仲間を助けねばなりません。クマは夢中で池に飛びこみました。泳ぎはけっこう上手なのです。クマはあっという間に、キツネとリスの元にたどりつき、二人を背中にのせました。

「ああ、たすかった。クマくん、ありがとう」

 キツネはお礼をいいましたが、リスはぷいと顔をそむけてしまいました。

「ふんっ、余計なことしやがって。俺はクマくんに助けてもらう義理はないからな!」

「リスくんったら、強がりいってるよ。おいらより、あわててたくせに」

 キツネは笑いましたが、クマはまじめな顔でいいました。

「助けるのは、当たり前だろ。だって、リスくんは、ぼくらの大切な仲間なんだから」

 その言葉に、リスは顔を真っ赤にして黙り込んでしまいました。


 しばらくして、キツネがいいました。

「ともかく、岸にあがろうよ。でも、どんぐりは全部、池の中に落ちてしまったね」

 ……と、その時、また、おかしな声が池の中から聞こえてきたのです。


 ぐるるるるっ、ぐるるるるっぐぅうっ、うう~ん、たべすぎたぁ

 

「ひゃぁっ、どんぐり池の中からまた、変な声がした」

 クマはキツネとリスを背中に乗せたまま、こわごわ、池の中をのぞいてみました。池の水はとても澄んでいましたので、上から見ても池の底がよく見えました。すると、

「えっ、ヘビくん!?」

 池の底にいたのは、逆さ虹の森の住民のへビだったのです。クマたちが、おどろくのも無理はありません。ここ何年もクマたちはヘビの姿を目にしていなかったのですから。おまけに、ヘビは前に見た時とちがって、森の大木と同じくらいの大きさになっていました。それに、お腹がはち切れそうに膨らんでいたのです。

 キツネがいいました。

「おいら、分かったぞ! あのヘビは、前からすごい食いしん坊だった。あいつ、自分のことを"池の神さま"だなんていって、この池で、みんなが投げるどんぐりをずっと食べ続けていたんだ」

 


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