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恋愛短編集  作者: 夕顔
2/3

11/11

今日は11/11。ポッキーアンドプリッツの日。

私、霜河紗菜シモカワサナには、好きな人がいます。

お相手は、新川海聖シンカワカイセイくん。クラスの人気者で、明るくて、お調子者。そんな彼が私は好きなんです。

そして今日は、11/11。告白ラッシュで、ほとんどの女子が、新川くんを狙っています。

そんな中でも、新川くんと一番仲がいいのが、染井夏夜(ソメイカヨ)さん。美人で明るいこれまた人気者の、女の子。私の憧れですが、染井さんは、私のことをあまりよく思ってくれていません。そんな私たち3人の、11/11




「海聖!ポッキーあげる。」

「おっ、センキュー」

「ヒューヒューおふたりさん、今日もお熱いですな!」

染井さんは、新川くんをファーストネームで呼びます。いいな。

「なんもねーよ!あ、じゃあみんなにポッキー配るよ。みんなで乾杯しよう。」

「乾杯ってなんだよ!」

あはは。やっぱり好きだな、新川くんのこと。

「じゃあ、配りまーす。」

みんながチョコ色の棒を持つ。なんか不思議な光景だなーと思ってみていると、

「みんなまわった?」

えっ、私……無い⁉︎

「あのー私……」

「えっ!うそ!ごめん、もう無い!」

「ねー、まだー?」

染井さんがめんどくさいといった顔で私を睨んでくる。

「あ、私持ってるよ!」

と、隣の席の子がポッキーをくれた。

「揃った?霜河さん、ほんとごめんね。」

「あ、うん。大丈夫だよ。」

「じゃあ、いきまーす。ハッピーポッキー‼︎」

「ハッピーポッキー‼︎」

パキン。チョコでコーティングされた棒は、ほろ苦い恋の味がした。


放課後ー。

「紗菜、一緒に帰ろ。」

「うん。」

友人と帰ろうとした時、

「霜河さん、ちょっといい?」

と呼び止められた。振り返ると、染井さんがいた。

「あ、うん。」

連れていかれたのは、女子トイレ。よく、物語のヒロインが、いじめられる場所だ。

憂鬱な気持ちでいると。

「今日は災難だったね。」

「え?」

てっきり、水でもかけられるのかと思っていたから、びっくりした。

「海聖に意識されてないって分かっちゃったもんね」

「えっ…」

最初は何を言われているか分からなかった。だが、私に浴びせられていたのは、水ではなく、罵倒だった。

「クラスの人数にカウントされてないんだよ。だから、これから海聖に色目使うのやめて。」

「私、そんなことしてない…」

「何被害者ぶってんの?いいから、これから海聖に近づかないで。」

「…」

「それだけだから。」

バタン!

染井さんが乱暴にドアを閉めながら出て行った。

はあ。これからどうしよう…

「とりあえず教室帰るか。」

と、1人で呟いた。


「だから帰ろうって!誰を待ってんの?」

教室に戻ると、染井さんのヒステリックな声が聞こえてきた。

刺激しないよう、ゆっくりと自分の机へ向かっていく。

「あ、霜河さん。」

「待ってたのって、霜河さん⁉︎」

「うん、そうだよ」

「何の用なの⁉︎」

「染井には関係ない。だからどっかいっててくれないかな?」

「あのー、私に用って…」

「あ、そうそう。これ。」

そう言って手渡してくれたのは、ポッキーの箱だった。

「これ…わざわざ…」

「ううん。僕が忘れていたんだし、それに…裏…」

「…え?…あっ!」

涙が溢れる。箱の裏には、

『好き』

と、たった一言。

「あの…、これ」

「霜河さん。好きです。僕と付き合ってください。」

「えっ、海聖⁉︎何で」

「僕と君の間には、何の恋愛感情もなかったはずだよ。」

「それでも私は…海聖のことが好きだった!」

「でも僕は、霜河さんが好きなんだ。」

「……もういい!知ってたよ。海聖が私のことを好きじゃないってことぐらい。」

「染井…」

「霜河さん!」

「はい!」

突然呼ばれて、びっくりしたせいか変な声が出た。

「海聖と仲良くね。あなたには負けた。これから仲良くしてくれる?」

「うん。これからよろしく。」

「じゃ、お邪魔っぽいから行くね。」

そう言った染井さんの瞳には、涙が光っていた。

「霜河さん、返事は?」

「…はい。よろしくお願いします。」

「よっしゃぁ!!、じゃあ、はい。」

新川くんが、一本ポッキーを手渡してくれる。

「2人で乾杯しよう」

「乾杯って」

と、私が笑っていると、

「いいから、いいから。それじゃ、行くよ!」

「うん。」

「ハッピーポッキー‼︎」

2人並んで食べたポッキーは甘い恋の味がした。

ポッキーアンドプリッツの日で思いつきました!

チョコのように、甘く、ほろ苦い恋を楽しんでいただけましたか?

アイディアも募集中です!

これからもよろしくお願いします!

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