5、世界はどのように存在するか
世界はどのように存在しているのであろうか。これも哲学である。世界がどのように存在するのかを書いた書物はたくさんあれど、古代においてこれとされたのはアリストテレスの「形而上学」である。本を読んでまわりの人に自分の知性を主張するというようなことは、あまり褒められた行為ではないが、これをするのに最も最適な本はアリストテレスの「形而上学」である。スタバでドヤ顔して読むにはアリストテレスの「形而上学」がいちばんである。題名がすごい。題名だけでいける。岩波文庫の上下巻の片方をもって読んで、うんうんうなっていれば、この人は熱心に本を読んでいるのだとまあけっこう褒められるだろう。しかし、注意することがある。この本は古代科学について書かれた書物であり、現代科学ではまったく相手にされない書物なのである。アリストテレスはどの哲学者がどういったといちいち几帳面に引用して解説してくれるので、とてもためになるが。書かれているのは古代科学の四元素説についてであることには注意してもらいたい。ある程度、哲学や社会常識に精通した人には、アリストテレスの「形而上学」なんて読んでいても何もすごいと思われない。
だが、さまざまな哲学書で引用されることも多いので、読んでも損ではないし、四元素説はファンタジーゲームなどに影響を与えることが大きいので、ファンタジー好きな人も原典を読んでみたいなら読んでみるといい。四元素説が書いてあるのは、アリストテレスの「形而上学」である。
で、これが古代インドに伝わり、四元素説は五元素説に形を変え、仏典として空海によって日本に伝えられた。その書を「秘密曼荼羅十住心論」という。ちくま学芸文庫の書き下し文は名文なので読んでほしい。
で、空海がいうには、この世界にいちばん大きな土台は風輪なのだそうである。あとなんとか輪がいっぱい重ねられて、この大地ができる。古代科学なので、ヒマラヤ山脈を中心としたインド方面の地図をもって世界地図としているのが空海の「秘密曼荼羅十住心論」で、日本はどこにあるんだと不思議に思うが、インドの仏典に日本は書いてなかったようである。
そんなわけで、古代科学はそれなりに面白いのだが、これは哲学者が好んで読んでるけど、実用的にはファンタジーの資料にしかならないであろう。
西洋の四元素説が古代科学なら、東洋の古代科学はどうなんだというと、「易経」に書いてある陰陽説がそれにあたる。「易経」は中国の古代科学として日本でも占いに取り入れられ、大人気である。根拠は「易経」だし、「易経」にはなぜ王朝が交替するのかも書いてあるらしい。実はぼくはまだ「易経」を読んでいない。実際に読んでない本について語るとひどい目にあうことがたいていなので、今回の「易経」の話でひどい目に会いたくない。
話が長くなってしまったが、次回も、世界はどのように存在するのかである。