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098.ケルベディウロスの行動

クォルツを追い払い、エクエウが勝利したと?

『真なる世界』にエクエウのみが残ったのか? だから影響を受け、『小さき世界』の住人に変化が出たのか?


いや、違う。


エクエウもまた、『戻れない』状態になっているのではないだろうか。自分がそのようになってしまっているのと同じに。


エクエウたちも、『戻れない』・・・いや、『真なる世界』にいることができない・・・?

居場所を失ったエネルギーが、『小さき世界』に流れ出て、影響を与えたのではないだろうか。

もしそうなら、自分の種族、クォルツの影響を出す場所もあるはずだ。


『小さき世界』が見せる変化をより効率よく知りたい、と、ケルベディウロスは思った。

そして、ケルベディウロスは、 ローヌの住人を利用する事を思いつく。


この者たちは、使える。

エクエウのエネルギーをも持つこの者たちは、『小さき世界』のみならず、自分が今避難しているこの曖昧な場所をも使うことができる可能性がある。そして、もしかして、純粋なエクエウでもクォルツでも無い分、『真なる世界』にさえ手が届くかもしれない。


ケルベディウロスは、知識を与えた。あちこちで情報交換できる道具を作ると良いと、ローヌの住人に様々な手法で語りかけた。


その道具は実は、ケルベディウロスが避難している曖昧な空間、上手くいけば『真なる世界』へ繋がることができる。そして、曖昧な空間や、『真なる世界』をまるで橋渡しのように入れることで、『小さき世界』では遠く離れた場所同士であっても、会話や音が届くようになるのだ。

それは、『小さき世界』にとっても大変便利なものとなるだろう。


ローヌ人は、ケルベディウロスを『神』と感じた。その太古から、人々に語りかけ、また、人々の語り掛けに耳を済ませてきた大いなる存在。


だからその道具は、『神の道具』と呼ばれた。その後広く広まるにつれ、それらは教皇・司祭が管理するものとなり、一時期、神への感謝を表す祭壇と同化した結果、道具は『祭壇』と呼ばれるようになった。


そして、発達していく情報網。


ケルベディウロスはその情報網が『小さき世界』にはびこることを心底喜んだ。『祭壇』で繋がる場所が多くなればなるほど、ケルベディウロスが顔を出せるポイントが増えたのだ。これは大きな幸だった。


ケルベディウロスの意識は、分裂し、様々な場所に同時に居ることができる。

クォルツという種族は元々、体そのものも変化させる事ができるし、分裂することさえできる。そのような事が自然にできる種族なのだ。


その能力を活かし、『小さき世界』の情報網の中、ケルベディウロスは、たくさんの情報に触れることができた。同じ時刻にたくさんの場所が情報をやり取りしていても、全てに出向いて入手してくる事が出来るのだから。


情報網が発達を極める中、ローヌ人も思考能力を成長させていた。様々な情報を収集し、提供する組織を創り出そうとしていたのだ。


その頃には、ローヌ人は、ケルベディウロスの存在は認識してはいたものの、ケルベディウロスが、そもそも自分たちの祖先に『祭壇』という知恵をさずけた存在で、祖先が『神』とさえ呼んだ存在だとは分かっていなかった。神と、ケルベディウロスは別のものに思われていたのだ。


だからローヌ人は、気軽にケルベディウロスに連携を持ちかけた。

『このような情報機関を作り上げる予定だ、一緒に働いてみないか』


ケルベディウロスは内心おかしかった。持ちかけられた計画は、自分が入らないことには、完成しないものだった。

子どもが、目上の者を、利用しようとしている。そして、子どもの方が、自分の方が優位だと思っている。


だが、小さきものたちが成長しているのを見るのは愉快だった。利用されてやるのも悪くない。


こうして、ケルベディウロスは、ローヌの情報機関と深く付き合ってやることにした。どうせ自分が与えた知識なのだ。使われ、進化する様子を見るのも一興だ。


だが意外なことに、この組織はケルベディウロスにとっても非常に有益であった。

『記録・管理』。得た情報が、全て、蓄えられる。ケルベディウロス自身が得る情報以外にも、『祭壇』以外の方法で入手された情報も記録されたのだ。


例えば書物についてのデータも全て入力されたし、影響力が強いと思われる人物の手紙や、会議の発言まで、入手可能なものは記録された。

―もっとも、そのうち、それらも全て『祭壇』を通して集めるようになったため、結果的にほぼ全ての情報をケルベディウロスが入手、関わる事になるのだが。

とにかく、情報の幅が増え、『記憶・管理』されることで、どんなに昔の情報であっても、掘り出してくることが可能になった。


こうして、ケルベディウロスの扱う事のできる情報はどんどん増える。


そして、結果、その地を知る。自分の種族、クォルツの影響が色濃く現れている場所を。


ローヌの隣の大陸にある、小さな場所。

池の周りに、不可思議なほどに霧が濃く出る。その周辺には、そこでしか見られない生き物が住むという。

『小さき世界』においても奇異とされる。

教皇の命令で、その土地を見極めるために観察者が集められ、そこに町を造って暮らしている。


クォルツの影響を色濃く受けた土地。イシュデン。

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