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90/394

090.突然の

※後半に、地震のような表現、崩壊があります。なお、本作は過去の作品を手入れし再投稿しています。どうぞご注意ください。

◇2016年4月14日以降で熊本県などで発生している地震につきまして、心よりお見舞い申し上げます。一日でも早く平穏を取り戻されますように心よりお祈り申し上げます。

夢を見ている

私の体はふんわり浮かんで

周りの景色が くるくると変わる


夢を見ている

ほんのり明るくて 誰もいなくて

ほんわり暖かくて ゆっくりできて


リィン と 遠くで 鈴の音

リィンと 遠くで 鳴っている


夢を見ている

ここは好き

私を抑える人は無い


『おじょうちゃん』


え・・・


『迷子かい?』


・・・ううん・・・私は・・・


とても優しそうな・・・おばあさん

私を抑える人はここには来ない・・・


おばあさんは 私にゆっくりとにっこりと、歯を見せず笑った。


おばあさんは 私の手をそっと取った

私の両手を そっと取り上げた

『あなたは とても大切な人さ。あなただって、とっても大切なんだよ』


・・・うん・・・私もそう思う・・・


『ほら。あっちにお行き。親切なばあちゃんが一人いるよ。あなたの手をとってくれる。そばにいてくれる』


あっち・・・?


『そうさ。そして、良かったら、そのおばあちゃんに伝えておくれ。わたしは幸せだったよって。あなたは、あなたの幸せを掴めるよって』


幸せを掴める・・・


『おじょうちゃん、人生は悲しいだけじゃないよ。大丈夫、どこにだって、幸せは隠れて傍にあるのさ。見てごらん』


周りの景色が、緑色の丘を眺めるものに変わる。

とても高いところからの・・・

まるで、鳥になったみたい・・・


おばあさんはふんわりと風のように私を抱きしめた

『ほうら、見てごらん。それから伝えておこうかね。おにいちゃんが、いつも助けるからねと言っているよ。見えていなくても傍にいるんだよと、言っているよ』


ホルディスお兄ちゃん・・・?


『そうさ』


あなたは、どなた?


おばあさんはにっこりと優しく笑う。


『わたしはね。老婆様さ。イシュデンの、老婆様さ。おじょうちゃん、あなたは今、有名なばあちゃんと会っているのよ』


え・・・


おばあさんはクスクスと笑った


『あぁ・・・幸せな人生だったよ・・・』

おばあさんは手を離した。そうして、目の前を横切っていこうとした。

そうして、見送る私をふと振り返る。

『おじょうちゃん・・・そっちに、いってごらん・・・』


指し示した方向と、真逆の方向に向かいながら。ほほえんだ顔は、若く美しいお姉さん。


お姉さんの向かう先に、たくさんのキラリキラリと光る光景。


『おじょうちゃんは、そっちだからね・・・』


私はその後ろ姿を見送った。


『ママ!! トランセジュー!! イオン!!』


小さく若く 姿が変わって

たくさんの 人たちが 姿を見せて

ちっちゃな女の子になった おばあさんが

ふっくら小さなお母さんに 抱き上げられて・・・


小さな子の 喜びの声

キャァ ママー!!!

幸せな姿



私の


私の向かう ところ


あの人が 教えてくれた あっち


***


ツォルセティーナはどこに居ますか? 連れて帰ります!


異世界の者のその言葉に答えようとした時・・・瞬間、トートセンクは異変を感じた。それは、一瞬の火花のような、違和感。

何だ。

そう思った瞬間、異世界からの黒い者が、何かを手で払うような、ふと、反応するような仕草をした。


パ・・・

瞬間、黒い者の傍にあった、白い大きな小山・・・敵対するクォルツの一人の「体」に亀裂が入る。


「何・・・!?」

「え?」

オ・・ゥ・・・ゥ


ピキキキキキ・・・


「えっ、何、この音!?」

崖の上、セフィリアオンデスが驚いている。


「待て! 何を・・・!!」

トートセンクは、黒い方の『何か』を止めようと、怒鳴った。


いや、しかし何もしていない。あの黒い者は、何もしていないはず!

・・・いや、ただ、払った。その手が、クォルツの体に触れただけのはず・・・!!


「わっ・・・! えっ、何!?」

異世界からの小さい者が、状況に驚き、黒い者を振り返る。

オ・・ゥ・・・

黒い者は、ただ、立って・・・いる。


トートセンクは慌てて二人の元に急降下した。

細かく亀裂の入るクォルツの傍、自分の先達・・・自分たちエクエウのリーダー、ナナキーナの体がそこにある。

トートセンクは、ナナキーナの「体」―敵であるクォルツのリーダー、キュオザロンと対峙し、その槍で今まさに貫こうとしている姿―を抑えるように、庇うように、崩さないように、しがみつくようにその両肩を掴んだ。


固い体! 固い体のはずだ! 過去、敵のクォルツを槍で破壊しようと何度も試みたのに、キズ一つつかなかった!

何だ!? 異世界の住人は、我々エクエウよりも、その槍よりも、大きな力を持っているというのか!?


チリッ

トートセンクは、また何かの異変を感じた。一瞬の、火花のような違和感。


何!? 一体何だ!?


ドゥ・・・

黒い方が、尻もちを、ついた。


バキィ・・・・・・!!

ザ!!!!


まるで、「風の波」とでもいうようなものが、起こった。

黒い方を起点に、敵味方関係なく、「体」から、悲鳴のような亀裂音が次々と上がる。

まるで底からの突風で吹きあげられたかのように、白い破片が舞い上がっていく。広がっていく。


「えっ、何!? 」

異世界の小さな者が驚いている。


「トートセンク!」

背後から、セフィリアオンデスの駆けつける気配。


キィ キ


キィ ピ 


キィ キィイ ィ


トートセンクは、ナナキーナの体を上からおさえながら、ただ、見詰めているだけしかできなかった。


どうすれば

何を

どうすれば

せめて この「体」だけは

どうしても

だめだ

馬鹿な

こんな事が こんな事に


「トートセンク!」

自分の元に、辿り着いたセフィリアオンデスが、足元から、ナナキーナの「体」を同じように抑えつけようとし、瞬間、バっと手を放した。

「うわっ!!」


何事か、とトートセンクがナナキーナの足元を、見る。

セフィリアオンデスが身を引き、おそらく彼女が抑えようとした足の部分を凝視している。ナナキーナの足元、おそらく、セフィリアオンデスが触れた部分に、大きな衝撃をうけたかのような、亀裂!


「何を・・・! 何をする!」

「いやっ違・・・ えっ、ごめ・・・!!」


パキィイイイイイ・・・

ゴ・・・


音にまたトートセンクが、顔を上げる。


ゴ・・・

大地が、揺れる


「わ・・・」

小さな者が、尻もちをつく。

風が、起こる。


「やめてくれ・・・」

トートセンクは、呟いた。

「やめてくれ・・・」



両手の下、ナナキーナの体が、細かく砕け、崩れて落ちた。


***


先達たち・・・敵味方関係なく半分を残して、半分が砂丘と化した。


空になった両手。


崩壊した己の聖域。


一番、守り続けたかった全て。

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