表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ソウルウェポン -心の勇者の奮闘記-  作者: 智風
第一章「異世界召喚」
3/52

第三話「ソウルウェポン」

 

 ドキドキ……ソウルウェポンかぁ。一体どういう武器になるんだろう……。

 目の前にある丸い球体を手に取る。


「……あれ?」


 おかしいな、手に取ってもみても特に変化は起こらない。

 他の人を見てもそれは同じだ。


「なぁ王様、どうやったら武器になるんだ?」


 大貴くんが王様に質問する。

 他の勇者たちも自分たちの手にある球体を不思議そうな顔で見つめていた。


「ソウルウェポンと言ったじゃろ?つまり、魂じゃ。 ソウルウェポンは強い思いに応じて、その形を作り変えるのじゃ」

「なるほど!」


 なるほどなぁ。

 手の上の球体を強く見つめて、意識を高めていく……


「よっしゃあ!先ずは俺からやってやるぜぇ!」


 しかし、大貴くんが先に挑戦するらしいので、僕は意識を高めるのを中断して、大貴くんを観察する事にした。

 他の二人を見ると、二人は自分の球体に集中しているようだ。


「うううぅぅぉぉおおお!!」


 大貴くんが凄い形相で球体を睨み付けている!

 と、とてつもない気迫だ……。


 その隣にいる正弘さんは、目を瞑ってブツブツと何か呟いている。

 そしてその隣、信司くんは無言で球体を見つめていた。


「はあああぁぁぁッッ!!!」


 ピカッ!!


 な、なんだ!?

 大貴くんの叫び声と同時に周囲が光に包まれた。



 ……段々と光が収まり、大貴くんの姿が見えてくる。

 そこには、先程まで握り締めていた球体の代わりに、どデカイ大剣をその手に持った大貴くんが立っていた。更に、先ほどまでは何もなかった手首に腕輪の様な物まで嵌っている。


「こ、これは……?」


 大貴くんは自分の持つ大剣を見て、とても驚いている。

 それにしても、デカイ……!


「すげぇ……!なんだこれ! しかも、なんか見えるぞ!ステータス?」


 想像以上の代物だったようだ。大貴くんは大剣を見て、はしゃいでいる。


「ねえ、大貴くん。球体に向けて、どういう意志を注ぎ込んだの?」

「ん?」


 水を差すようで悪いが、どうしても聞きたいことが僕にはあった。


「そんなの、『全てを薙ぎ倒す力が欲しい』に決まってんだろ?」


 何を当たり前の事を?という顔をしている……。

 全てを薙ぎ倒す力……か。


「流石じゃ!勇者ダイキ!」


 王様が、大貴くんの持つ大剣を見ると、こちらに近づいてきた。


「その腕輪と武器がソウルウェポンの証じゃ。いやはや、まさか大剣を発現させるとは思ってもみなかったのじゃが……」

「大剣を使う奴は今までに居なかったのか?」


 どうなんだろう。

 大貴くんは、歴代の力の勇者がどういう武器で戦っていたのか気になるみたいだ。


「……一人だけ、大剣を武器に戦う『力の勇者』がいたのじゃ」

「そいつは強かったのか?」

「うむ。大剣を使っていたのは、二代目『力の勇者』じゃな。彼は歴代最強の力を持っていたと言われていて、なんでも、その時代の魔王軍最高の守護神【ゴスペル】を一刀両断したとか……」

「おぉっ!」


 大貴くん、嬉しそうだなぁ。

 それにしても、一刀両断って……勇者の武器はそんな事もできるのか。


「その二代目と同じ大剣を発現させるとは……やはり、<力の魂武器>に選ばれただけはある……!」

「……それは、どういう意味ですか?」


 王様が気になる事を呟いた。

 ソウルウェポンに選ばれる……?


「召喚される人物は誰でも良いわけではない。その心にある、強い意志……それを、ソウルウェポンに認められた者だけが、勇者に選ばれる資格を持っているのじゃ」


 わかったか?……と王様が聞いてくる。

 しかし、僕はそれどころではない。


「強い意志を認められた者……」


 僕はある事に気付いてしまった。

 大貴くんを例に挙げるならば、彼は<力の魂武器>に選ばれた存在だ。

 つまりそれは、逆を言えば<力の魂武器>に認められる程に、力を欲する意志を持っていた……という事に他ならない。


 なら、正弘さんは?

 きっと彼は、<守りの魂武器>に認められる程に、誰かを守りたい……そう、強く望んでいたのだろう。


 そして、信司くん。

 彼は、<知恵の魂武器>に認められる程に、貪欲に知識を蓄え、渇望し続けていたのだろう。


 ……なら、僕は?

 僕は<心の魂武器>に認められた勇者だ。

 しかし、考えても見て欲しい。

 今までの法則に則るのなら、<心の魂武器>に認められる人物というのそれ程までに心が豊かで、優しくて、気遣いができて、そして何より……人に感謝される存在でなければならない筈だ。


 僕は本当にそんな人間だろうか?

 その答えは否だ。

 それなら、何故僕は此処にいるんだ?

 ……もしかして僕はーー


 ピカッ!!


「――!!」


 この光は!?

 バッと、光が発生した方向に振り向く。

 大きな盾に、長い剣……たしか、騎士剣と呼ばれる物だったと思う。その二つを両手に持ち、静かに佇む正弘さんがそこにはいた。


「ふぅ……おや、大貴も成功したようだね」


 少し汗をかいているが、余裕そうな笑みを浮かべて正弘さんが歩いてくる。よく見ると、正弘さんにも大貴くんと同じ様な腕輪が手首に嵌っていた。違う所はその色だろうか、大貴くんのは燃える様な赤、正弘さんのは海の様に深い青だ。



「おめでとうございます、正弘さん。……あの、正弘さんは、何を……考えていたんですか……?」


 失礼な質問かもしれない、でも僕は聞かずにはいられなかった。

 彼が何を思って、その武器を創り出したのかを……。

 正弘さんは、真剣な顔付きになった。


「私は、『この世界の人々を守りたい』ただ、そう願っただけだよ」


 やっぱり……。


「へっ!お前の武器も結構カッコいいじゃねぇの! だけどな、俺の方はもっと特別――」

「マサヒロ殿!?」


 大貴くんが自分の大剣を自慢しようと思ったようだが、王様のあげた大声によって邪魔された。


「はい?」


 王様の大声に正弘さんも驚いている。

 だが、王様はそれ以上に驚いているようだ。


「そ、そ、それは……?」

「いったいなんなんだよ、王様?」


 大剣自慢を邪魔された事にムッとしながら大貴くんは王様に話しかけるが、王様はそれどころではない様子。

 王様の視線は正弘さんが持つ大盾……ではなく、そこに収納された騎士剣に向いていた。


「これが何か?」


 そう言って、正弘さんは大盾から騎士剣を抜いた。


「な、何故……剣が?」

「……?」


 なんか、凄い動揺してる……。

 質問の意図がわからず、正弘さんは首を傾げている。

 僕と大貴くんも同様だ。

 少し待つと、ようやく落ち着いたのか、王様が喋り出した。


「歴代の『守りの勇者』の武器は、大盾、盾、小盾、そのどれかのみじゃった……」


 そうなんだ。


「私も大盾ですが……?」

「違うのじゃ」


 あれ?

 正弘さんの最もな指摘を、王様は否定する。


「大盾、盾、小盾、そのどれかのみ。つまり……勇者の武器は盾だけだったのじゃ……!」

「……!」


 それってつまり。

 今までの勇者は盾だけしか発現していなかったのに、正弘さんは剣までも発現してしまった……という事になるんじゃ……。


「じ、じゃあ!正弘が歴代で初めて剣を持った『守りの勇者』って事かよぉ!?」


 大貴くんも理解したようだ。


「うむ。そういう事になるの……」

「なんだよぉ〜!俺だけが特別かと思ったら、正弘のほうがもっと特別だったのかよぉ〜!」


 王様は正弘さんの剣を見て、嬉しそうな顔をしている。

 反対に、大貴くんは落ち込んでいるけど。

 そんなに落ち込むような事かなー?


「勇者として選ばれた時点で既にみんな特別さ。そう落ち込むことはないよ」

「……そう言われてみれば、そうだな」


 苦笑しながら励ます正弘さんの言葉で、大貴くんは復活した。

 彼は結構、切り替えが早い。

 さて、そろそろ僕も……


 ピカッ!!


「この光は!?」


 大貴くんが光を見て叫ぶ。

 ここに居ないのは一人だけだ。信司くん……やったのか?

 光が晴れていき、全員がそこに立つ人物に注目する。

 そして現れたのは、細長い刀身の剣……レイピアを片手に辛そうな表情をした、信司くんの姿だった。勿論、信司くんの手首にも腕輪が嵌っていた。ちなみに、色は緑色だ。

 それにしても、信司くんの武器はレイピアか……少し以外だなぁ。


「思ったより時間が掛かってしまいました……」

「全くだ、どんだけ時間かけてんだよ!」


 大貴くんの皮肉に、信司くんは苦笑で返す。


「それで、王様?信司の武器はレアなのかよ?」


 さっきの事が尾を引いているのかな?

 大貴くんは、信司くんの武器の事まで聞き出そうとしているみたいだ。

 彼は珍しい武器ならそれでいいのだろう。


「うむ。特別じゃ」

「カァーッ!やっぱりぃー!」

「なぜなら、<知恵の魂武器>は全て特別だからのぉ」


 項垂れる大貴くん。

 しかし、続く王様の言葉に彼の動きはピタリと止まった。


「それって、どういう事だよ……?」


 全て特別とは、どう意味なのだろう。

 大貴くんの質問は、みんなの総意だった。その中でも、信司くんは特に気になっている様子。


「そもそも考えても見るのじゃ、『知恵』とはなんじゃ?」

「……」


 随分、具体性のない質問だと思った。

 大貴くんは答えられない。

 そういうの苦手そうだしね……。


「……生き抜くための、武器……ですか?」


 答えたのは、信司くんだ。


「……正解じゃ。しかし……」


 王様の言葉は続く。


「答えはそれだけではない。 知恵とは、人によって形の変わるものなのじゃよ。人によっては、武器となり、盾となり、薬となる。 だから、<知恵の魂武器>は人によって形が異なるのじゃ」


 なるほど……だから全て特別なのか。

 信司くんと正弘さんも納得したみたいだ。……大貴くんだけはよく分かっていない顔をしているけど。


「さて、残るは勇者トオルだけとなったな」


 ついに、来てしまった……。

 王様の言葉に、全員の視線が僕に集まる。


「早くやれよ、透!」

「君の思う通りにやりたまえ、透くん」

「透さん、頑張ってください」

「……うん」


 それぞれの勇者が僕に激励を飛ばす。

 頑張らなくちゃ……!


「勇者透の持つ<心の魂武器>が使われるのは、今回の召喚が初めてなんじゃが。 <心の魂武器>は他でもないワシの発案で作られたソウルウェポンなのじゃ……」


 えぇ……!?

 こ、これは失敗できない……。


「期待しとるぞ!勇者トオル!」

「はい……!」


 僕は腹を括って、球体に意識を集中し始める。

 上手くいってくれ……!


 そう、強く願いながら……。






魂武器と書いて、ソウルウェポンと読みます。

基本的にルビは苦手なので、あまり使えません。誰か教えて!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ