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ソウルウェポン -心の勇者の奮闘記-  作者: 智風
第一章「異世界召喚」
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第ニ話「勇者召喚」

 

「うわああ!」


 し、死ぬ!

 腕を前に突き出し、頭をガードする。

 ……だが、何時までたっても痛みがこない。

 あれ?まさか、もう死んだ?

 閉じていた目をゆっくり開き、自分と周りを確認する。

 

「ここは、広場?」


 目を開けた瞬間、さっきまで立っていた場所ではなくっていた。目線も少し高い、高台の様な場所にいる様だ。

 一体、どうなっているんだ。


「正樹……正樹は!?」


 そうだ、正樹は無事なのだろうか!?

 無事なら正樹と一緒に考えよう。正樹がいれば大丈夫だ。

 そう思い、後ろを振り向いた。


「あれ?君たち、だれ?」


 そこには、三人の少年がいた。みんな、僕の事をジロジロと見てる。

 なんか……品定めをしている様な、そんな感じの目だ。

 見知らぬ人たちに見つめられるというのも、余り気分の良いものではない。

 というか……正樹はどこ?


「おお!四人目も成功だ!」


 その声に続き、おお!と周りから沢山の声が聞こえてくた。

 な、なんだ!?

 高台の下、沢山の人々が僕らを見て歓声を上げていた。

 どうなっているんだ……

 驚いたのはそれだけではない。


「えぇ!」

 

 反対側を向いた先にはなんと、王様が立っていた!


 ……なにを言っているんだ?と言われてもおかしくないのは分かってる。僕だって混乱しているのだ。

 でも、アニメやゲーム、漫画などの世界でよく目にする【王様】をそのまま持ってきた様な存在が目の前にいるのだから、そうとしか表現できない。


「それで、王様。俺らは一体何をすればいいんだ?」


 と、横から声あがる。

 言葉を発したのは、ガッチリとした体型の少年で、さっき僕の事を見ていた内の一人だ。

 この少年も【王様】と言っているし、やっぱり王様なんだ。

 じゃあ、下にいる人々は国民ってことなのかな……?

 意味がわからない!


「うむ。そう慌てるな勇者よ、まだ私は其方らの名前も聞いておらんのでな。教えてはくれぬか?」


 そう言って、僕ら四人を順に見ていく王様。

 勇者?それって、僕らの事?


「俺の名前は蔵元大貴だ、高校一年生で歳は十六。よろしくな!」


 僕が困惑している間にも、事はどんどん進んでいく。

 今自己紹介したのは、さっき王様に話しかけたガッチリした体型の少年だ。

 身体は大きいが、顔はまだ少年っぽさが滲み出ている。


「私の名前は坂井正弘です。高校三年生で歳は十八です。この国の人たちの為にも頑張ります」


 そういって、自己紹介したのは、スラッとした体型の少年だ。いや、十八歳って言っているから青年って言ったほうがいいのかな?

 一人目の少年程ではないけど、そこそこに鍛えあげられた身体つきをしている。


「ボクの名前は赤坂信司です。高校二年生で歳は十七歳です。よろしくお願いします」


 そう言って頭を下げる少年は、僕と同じ十七歳。細身の身体に僕より少し背が低い。

 だが、とても優しそうな顔をした少年だ。


 そして、視線は僕に集まる。

 流れ的に次は僕が自己紹介をする番だよね……。


「えっと、僕の名前は間宮透です。高校二年生で歳は十七歳です。えっと、よろしくお願いします……」


 なんとか自己紹介を乗り切った。

 王様は全員が名乗った事に満足したのか、話しを進めようとする。


「あ、あの!」


 しかし、それでは話しについて行けなく一方だ。

 僕は手を挙げて質問させてもらう。


「ん?どうしたのだ、勇者トオルよ」


 勇者透って……。


「あのぉ、状況がイマイチ理解できてないんですけど、ここはどこなんですか?」

「はぁ!?お前馬鹿かよ!」

「え?」


 声あげたのは体格の良い少年……たしか、蔵元大貴くんだったかな。

 初対面なのに酷い言い草だ。


「普通に考えろよ、この状況的によぉ!」

「いや、普通に考えてもよくわからないよ……」


 大貴くんは、ダメだこりゃ……という顔をする。

 ていうか、この人僕より歳下の筈なんだけどなぁ……。

 困った僕は、周りを見渡して助けを求める。


「仕方ないよ、大貴くん。彼は最後に来たんだから、私たちより状況を理解できていないのは、しょうがない事なんだ」

「正弘さんの言う通りですよ、透さんは最後に来たんです。逆に大貴さん、貴方は最初にここに来たんですから、そんな態度を取らないで教えてあげたら良いじゃないですか」


 そこに救いの手が差し伸べられた。

 えっと、最初にフォローしてくれたのが、正弘さん。それを信司くんが更にフォローしてくれた形になる。


「ったく、しょうがねえなぁ!」


 何様だ!

 渋々といった態度で大貴くんは、僕に説明してくれる。


「ここはよぉ、日本じゃねぇんだ」


 うん。


「俺らは、この異世界に召喚されたんだ」


 ……うん。


「つまり簡単に言うと、俺たち四人は異世界召喚された、勇者なんだよ!」


 掻い摘んで説明すると、こんな感じだった。

 彼は余り、説明が得意なほうではないのか、無駄な説明も多分にあった。

 チートだとか、無双だとか、ハーレムだとか。


 ……僕だって、そういう小説を読んだ事はある。

 異世界に召喚された主人公は、その世界で神にも匹敵するであろう力を振るい、邪悪な魔物たちを討ち滅ぼして、世界を救った。


 理解してないわけではない、むしろ薄々と勘付いてはいた。

 ……でも、それを認めたくなかっただけだ。


「俺たちは、選ばれた人間なんだよ!」


 選ばれた、人間……。

 その言葉に正弘さんと信司くんは力強く頷く。

 ……でも、僕は異世界召喚なんて真っ平御免だった。


 さっきの話しには、続きがある。

 異世界に召喚された主人公は、魔王を倒した英雄として、その世界で知り合った仲間たちと共に生涯幸せに暮らしました。

 ……異世界で。


 僕はそれを読んで思った。なぜ、主人公は元の世界に戻らなかったんだろう……と。


「勇者になって、この世界を救った英雄になるんだ!」


 意気揚々と、大貴くんは英雄宣言をする。彼の瞳は希望に満ち溢れていた。きっと、これから自分に訪れる大冒険を想像して興奮が治らないのだろう。

 


 僕は後に知った。英雄は、元の世界に帰らなかったんじゃない。

 帰れなかったんだ……。



――――



「この世界は今、魔王軍の魔の手によって滅ぼされかけている。そこで、異世界から召喚された勇者たちにその魔王軍を倒して貰おうと思い、ワシたちは其方らを召喚したのじゃ」


 王様が召喚した経緯を説明している。

 一応耳を傾けてはいるけど、あまり説明が頭に入ってこない。

 僕の心は陰鬱だ。


「過去に何度か、この様な事態は起こった。その度にワシたちは異世界の勇者を召喚して、危機を乗り越えてきたんじゃ」


 過去に何度も、あったのか……。

 だが……と王様は話しを続ける。


「最初の頃は、今と比べ魔王軍の力も弱かった。召喚する勇者も一人だけだったのじゃ」


 それって……


「しかし、魔王軍は負ける度に強くなっていった。だから、こちらも召喚する勇者の数を増やしていったのじゃ。一人が二人になり、二人が三人になった」


 どんどん強くなるって、それじゃあ……


「そして、遂に今回の勇者召喚で四人目になってしまった。其方らには本当に申し訳ない気持ちで一杯じゃ……しかし、こうでもしないとこの世界は滅びてしまうのじゃ!」


 勇者を召喚しないと、滅びてしまう世界……か。

 王様の気持ちも理解できなくはないけど……


「俺らが魔王でもなんでもぶっ倒してやるから、王様は気にすんなっ」

「私たちに任せてください、王様!」

「ボクたちがこの世界を平和にしてみせます!」


 大貴くんに続き、正弘さんと信司くんも王様に自身のやる気を見せている。

 僕だって、この世界の人々を救いたいとは思っている。だけど、どうしても元の世界の事を考えてしまう。

 

「そうだよなっ!透!」


 え!?

 ボーっと考え事をしていたら、大貴くんに話しを振られてしまった。


「う、うん!そうだね!」


 しかし、ここで弱音を吐いちゃ駄目だ。考えを切り替えよう。

 僕は勇者なんだ!この世界を救って元の世界に帰ってみせるさ……!


「おぉ!ありがとう……勇者たちよ!」


 涙ぐむ王様。

 これは、もう腹を括ってやるしかない……!


「それで、王様。俺らの武器は?」


 先程からずっと大貴くんはワクワクしていたが……これが本命!?


「うむ!無論、既に用意してあるぞ」


 王様がそう言うと、僕らの前に丸い球体を持った人たちが歩いてきた。


「王様、これはっ?」


 大貴くんは、待ちきれない!と言った感じで王様を催促する。

 それに対して、王様もノリノリだ。


「それは魂を具現化させる武器。ソウルウェポンじゃ!」

「「「ソウルウェポン…?」」」


 ……とはなんだろう。

 他の人たちもポカンと口を開けて、王様を見ている。


「うむ。これは歴代の勇者たちが使っていた武器でな」


 いわゆる、勇者の専用武器ってやつかな。少しワクワクするよね。


「主と認めた者の魂を読み取る事で、その秘めたる思いに適した形の武器となり。そして、主が死ぬその時までその身一つで主を守り続ける……古代魔法の結晶じゃ!」


 それはまた……凄いのが出てきた。

 サラッと魔法という単語が出てきたけど、この世界にはそういうのもあるのか。


「勇者殿の前にあるのは、それぞれ、<力の魂武器(ソウルウェポン )>、<守りの魂武器(ソウルウェポン)>、<知恵の魂武器(ソウルウェポン)>、<心の魂武器(ソウルウェポン)>じゃ」

「力のとか、守りのとかって何か違いがあるのか?」


 大貴くんが質問する。僕も同じ事が気になっていた。


「うむ。初代勇者は<力の魂武器(ソウルウェポン )>を扱う、力の勇者だったそうじゃ」


 ふむふむ。


「そして五百年が経ち、魔王軍が力を付けていった時に漸く完成したのが、<守りの魂武器(ソウルウェポン )>じゃ」

「どうして、両方とも<力の魂武器(ソウルウェポン )>じゃ駄目なんですか?」


 今度は信司くんが質問した。

 確かに……力と守りに分ける必要はあったのだろうか。


「いい質問じゃ、当初は二つ目の<力の魂武器(ソウルウェポン )>を作ろうとしていたそうじゃ。しかし、その過程で一つ目の<力の魂武器(ソウルウェポン )>と反発し始めてしまったのじゃ」


 ……反発?


「つまり、同じ属性のソウルウェポンは反発してしまい、作れないって事ですか?」


 正弘さんが、王様の言葉に捕捉で質問をする。


「うむ、そういう事じゃ。そして、更に五百年後に、<知恵の魂武器(ソウルウェポン )>、そして更に更に五百年の今回、ようやく<心の魂武器(ソウルウェポン )>が完成したのじゃ」


 五百年周期でしか作られない訳でもあるのだろうか。

 他にも、性能差なども気になったが、大貴くんがもう待ちきれない雰囲気を出しているので聞くのはやめた。


「それで、それで!?王様、誰がどのソウルウェポンなんだよ?」


 それはとても重要な事だ。武器の選択によって、今後の命運が決まると言っても過言ではないかも知れない。

 言っちゃ悪いが、<心の魂武器(ソウルウェポン )>なんて、とても弱そうだし。

 僕としては、<守りの魂武器(ソウルウェポン )>が良いかなーっと思っている。


「それはもう、既にこちらで選定しておる。そもそも、それぞれのソウルウェポンに導かれた者がこの世界に召喚されるシステムになっておるのじゃ」


 えぇ!自分たちで選べないの!?

 ヤバいヤバい……どうか、<守りの魂武器(ソウルウェポン )>でありますように……!


 十中八九、<力の魂武器(ソウルウェポン )>は大貴くんを選ぶだろう……と予想してみる。

 問題は、<心の魂武器>だ。あれだけは引きたくない。

 信司くんを見るんだ!あの優しそうな顔!あれは絶対<心の魂武器(ソウルウェポン )>に選ばれる顔をしているよ!


「それでは発表するぞ」


 ドキドキ……

 王様の言葉に全員が耳を傾けている……。


「勇者ダイキ、<力の魂武器(ソウルウェポン )>!」

「っしゃあ!」


 大貴くんは<力の魂武器(ソウルウェポン )>か、まあ予想通りというか、妥当な感じである。

 大貴くんも喜んでいるようだし、……あれ?信司くんが少し悔しそうな顔をしているような……。


「次、勇者マサヒロ!」

「はい!」


 正弘さんも優しそうな雰囲気があるし、ここで<心の魂武器(ソウルウェポン )>を引いてくれれば、後に残る僕的には嬉しいんだけど……


「……<守りの魂武器(ソウルウェポン )>!」

「ありがとうございます!」


 うわああぁぁ!<守りの魂武器(ソウルウェポン )>は正弘さんに取られてしまったあぁ!

 正弘さんは、当然だよ……という感じでキメ顔をしているし……。

 これはヤバい……あと残っているのは、『知恵』と『心』のみ……。


 心は嫌だ、知恵が欲しいぃぃ!

 僕にありったけの知恵をくださいぃ!


「次、勇者シンジ……」

「はい……」


 心!心!心!

 <心の魂武器(ソウルウェポン )>を引いてくれ……!


「……<知恵の魂武器>!」

「……はい」


 ぎゃあああぁぁ!<知恵の魂武器(ソウルウェポン )>がああぁぁ!

 もっと勉強しておけば良かったぁ!

 信司くんは余り嬉しそうな顔をしていないようだし!

 いらないなら頂戴だよぉ!


「最後に、勇者トオル!<心の魂武器(ソウルウェポン )>!」

「はい……」


 知ってるよ……。最後なんだから……。

 あ、大貴くんがこっちを見てニヤニヤと笑ってる!

 くっそー!


「さあ、勇者たちよ。 目の前にある魂武器(ソウルウェポン )を手に、魔王討伐へ旅立つのじゃ!!」


 <心の魂武器(ソウルウェポン )>で上手くやれるかなぁ……?

 王様の言葉を耳に、僕たちはそれぞれが己のソウルウェポンをその手に取った。




説明会で、話しが進みませんね。

すみません。

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