表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/21

シークエンス1:プロローグ

◆????

 鬱蒼とする暗い森に彼等は居た。

「――最早この世界の終焉も時間の問題でしょう」

 ローブを纏った老人が言う。

「最初っから手段はほとんど無かったんだ。王は最終手段をケチるときやがったが……どうせ死んじまったし、勝手にしてもいいだろ」

 鎧の男が言う。

「幸い、この森はまだ魔物に侵されちゃいない。出来るな?」

 老人は肯いた。

「ええ、それでは始めましょう。我々の救世主、希望の光。異世界の勇者の召喚を」

 老人は何やら図形を書き始めた。いわゆる、魔法陣を。

 三日かかる祈祷。四十二分に及ぶ呪文の詠唱。そこから行う魔法陣を中心とした儀式。

 そして何に捧げるかは不明だが生け贄にはごきぶ――


◆雨宮邸

「長い!そしてそんなものなんかの生け贄で勇者を呼ぶなぁああァァアアァ!」

 少年、雨宮茂は跳ね起きた。

「つーか今の人どっかで見た気がする。ま、ロープレの主人公と魔法使いはあんな感じか」

 もそもそと天上大(高校)の制服に着替えると朝食を摂取すべく階下に向かう。

「おはよー茂。いきなり叫んでたけど、何?」

 茂を迎えるのは今年で二十になる姉、雨宮在処である。

 両親の姿は見えないが死んだわけではない。

 昔起こした事件の所為で家族中では声をかけてくれる人間は姉だけになってしまっている。

「おはよー在処。いや、なんか怪しい儀式の夢見た」

『それは大変やったな。恐かったん?』

 話しかける動物。〇カチュウことスティーブ。違法生物である。

「いや、勇者の召喚の生け贄がゴキブリだったんだ」

『なんで勇者の召喚に生け贄がいるんかな』

「おねーちゃん、ご飯の最中なんだけどな?」

 在処が不満そうな声を上げる。食卓には黒豆。

「ごめんごめん」

 茂は黒豆を『ゴキブリの卵』と言った事がある。

「いいよー。でもおねーちゃんが講義中に倒れたら茂の所為だからね」

「勘弁。おっと、もう出なきゃいけないな」

 茂が時計を確認する。もういい時間だ。

「行ってきまーす」

「行ってらっしゃ〜い」

『行ってらっしゃい』

 在処の登校は遅いのでゆっくりしている。

 外は今日も季節の所為でマイナス三度と寒い。

「寒……」

 外に出るにはコートがいる。

「保温のできる過術とか無いもんかね……懐炉みたいなヤツ」

 熱エネルギーが持続するようなものは過術じゃ長持ちしない。

 過術とは生体電流を使って式通りに化学反応を発動させる特殊技能。

 といっても程度の差あれ誰でも使用できる手軽なものである。

 発動に種は体力仕掛けは式を使うため長続きするものは存在しない。だからこそいまだに企業は生き残れているわけなのだ。

 茂は制服の上からコートを羽織った茂は走って学校へ向かった。



◆教室

 茂が教室に入ると異変に気付いた。

「おはよー茂」

 が、調べる前に友人である風見聖に声をかけられる。

「おはよー聖。あんなとこに扉ってあったっけ?」

 指差す方向には古めかしい扉が見える。

「何も無いけど?」

 しかし聖には見えていないようだ。

「そんな莫迦な。あれは俺の頭が作り出した幻影とかそんな感じか?」

「そんな感じじゃない?」

 茂は扉のノブ(はたから見ると何も無い空間)に手をかけて捻ってみた。

「うぉ!?」

 たちどころ茂の姿は消え去った。

「え?嘘!茂ー!?」

 そのときもう一人の友人の藤沢晶が入ってきた。

「おはよう。どうした聖。妙に落ち着きが無いのはいつもの事か」

「たたた大変だよ晶!茂が消えちゃった!それとアンタをぶっ飛ばす!」

 慌てて聖が言うって殴りかかると

「ああ、そうか」

 聖の拳を回避した晶がとても冷静に返事をした。

「あいつならそこそこ元気に帰った来るだろう。そのうち、な」

 信頼していると言えば聞こえはいいがかなり投げやりな回答である。

「そ、それもそうだね……」

「そんな事より一応備えておけよ」

「え、何を?」

 晶は軽い口調で言った

「あいつが巻き込まれてこっちが無傷だった例は皆無だ。消えた先に俺達が行く事になる可能性はそう低くない」

「うん〜。それなら大丈夫かな?」

 何が大丈夫かさっぱり分からないが取り敢えず大丈夫なのだろう。

 納得した聖は一限目の授業の準備をし始めた。


◆????

 茂はどっかの空を飛んでいた。性格には落下中。

「どんなに高いところからどんな体勢で落ちても300キロ以上は出ないとか。何にせよ死ぬか」

 割と冷静な茂。

「何かデジャビュった。こんな事デジャビュりたくないが、いつぞやの悪の組織の時も入るときは落ちていた気がする」

 今回の登場地点はなんと雲の上。

「そのうち地球から離れたって驚かねえよ」

 雲を抜けるとそこは砂漠地帯。

「国外まで飛んだのか?それともただの砂丘?」

 城まで見える。近くには森があり、そこから向こうは砂漠ではない。

「何だここ。ま、なんにせよこのまま行くとあの世逝き。んな事よか目がいてえ」

 呑気な事を言っている間に地面付近が迫ってきた。

 茂は式を組みこの前の着地と同じように《空気層》をクッションにした。

「げほげほっ!砂埃がひでぇ」

 そして汗も出てたまらない様子の茂。

 直後、地面が揺れた。

「あ?」

 現れたのはハンミョウの幼虫のような生物。

『ギィギィ!』

 ただし全長八メートル越えのなんか声まで出る変なヤツ。

「……新種か、それとも薬かなんかの影響の突然変異種か。ま、どちらにせよ」

 茂は式を組んで後ずさる。

「この前のピラニアと同じ目をしてやがる」

 絶対に肉食の口のつき方をしている。

 分かった事は一つ。

「取り敢えずどうにかして切り抜けないと、死ぬな」

 一対一、援護してくれる仲間はいない。

 巨大ハンミョウの幼虫は襲い掛かってきた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ