第1P でこぼこコンビ
「レイ〜、起きてってば〜!!」
狭い家に響く声。なかなか起きないレイに腹を立てているらしい。ドアを叩く音も聞こえてきた。申し遅れたが、ドアを叩いているのは第二の主人公、山下咲である。何度叩いても、まるで応答なし。もう怒りが頂点に達しそうになった頃、ドアの向こうから眠そうな声が聞こえてきた。
「ふわぁぁ…。んー…」 サクはため息をつき、ついにドアを開けた。―ドカッ。
「?」
と首を傾げ、中を見ると、そこには伸びている月中鈴が。どうやら、サクがドアを開ける前に、レイがドアを開けようとしたのだろう。サクはレイに駆け寄る。
「わわっ、ゴメン、レイ。大丈夫?」
呼びかけてみても、返事はない。あまりの展開にサクはおろおろしだす。どーしよう、どーしようとレイの周りをうろうろしていると、背後から声が聞こえてきた。
「…オメー、何しやがる…(怒)」
かなり怒っているようだ。サクはおそるおそる顔を後ろに向ける。案の定、怒ったレイが本を持って立っていた。サクは身震いする。
「れ、レイ、ゴメン、ゴメン!ゴメンってば〜!!」
必死に謝罪の言葉を述べるが、レイは無言で本をサクの頭に振り下ろした。サクの頭に激痛が走る。
「つ………」
痛みにたえ、レイに用件を言う。
「朝ご飯できたから呼びに来たんだけど…」
レイは本をしまい、サクの前に立つ。まだ、怒っているようだ。怒っているレイは、サクにとって正直怖い。
「…まったく、朝から腹の立つ…」
ぶつぶつ言っているレイを、サクはうながす。それも、手首をギュッと握りながら。
「はっ、早く食べよっ。」
レイは引きずられながら、文句を言う。
「…オイ、離せ。1人で行く。」
レイの言葉に、サクは
「え〜…」
と口を尖らせるが、また怒られるのも嫌なので従う。レイがふらつく足取りで歩き出したその時、玄関のチャイムが鳴った。
「!」
「!依頼かな!?」
サクは依頼=仕事が来たと目を輝かせるが、レイは
「めんどくせェナ…」
とつまらなそうに言った。その時、レイのお腹がぐう、と鳴った。
「…オレは飯を食ってくる。客の対応、ちゃんとしろヨ。」
サクはもう…と呟きながらも、玄関の方へ向かって行った。
サクが対応している間に、ご飯を食べ、着替えなければならない。
さっそく、キッチン(キッチンに置いてあるテーブルと椅子を使って食べるのである)へ向かう。
今日、テーブルの上に上がっていたのは、"ご飯、夕べの残りのエビフライ、サクが作ったのだろう、ポテトサラダ、味噌汁"の4点だった。レイはドカッと椅子に座り、食べ始める。最初はご飯を、ものすごい速さで平らげ、次はエビフライ、味噌汁、ポテトサラダの順で食べていった。