第4話 生と死の狭間で
気分が乗ってたんで一気に書き上げてしまいました。まだ4話目ですが一気に展開が進みます(笑)
まぁなにはともあれお楽しみください。では第4話、どうぞ!
『人生とは何が起こるかわからない』確か誰かがそんなこと言ってたような気がする………………でもこんなのってアリかよ?
薄れゆく意識のなかで和樹はふとそう思った。
(さすがに…………ヤバイわ…………)
重たい体を動かそうとしたのを最後に、重い闇が和樹の視界を閉ざした。
………………目の前でコロンが吠えていた。
ーーーーワンッ!ーーーー
(コロン…………)
ーーーーワンッ!ーーーー
コロンは呼びかけるように吠えると何処かに向かって走り去って行った。
(わかったよ、今行くよ。)
和樹はそれを必死に追いかけるがいつまでたっても追いつかない。
(待てよ!おい………………)
どんどん距離が離されていく。とうとう姿が見えなくなった。それでも必死に追いかける。すると一点の光が見えた。
(そこか!……)
その光に向かっていくと光はどんどんどんどん大きくなった。徐々に増える光はやがて和樹の視界を多い……………………
和樹はゆっくりと目を覚ました。視界がぼやける中でまず始めに見えたのは白い天井だった。
「ここ………………は?」
口には酸素マスクが付けられていた。頭は上手く働かないし体には力が入らない。事態がはっきりと読み込めない状況で、和樹はとりあえず今自分は入院しているんだという事だけは把握できた。
(なんで入院したんだっけ?………………あぁ、そうだ、確か車に轢かれて………………)
普通の外出だった。スーパーまでおやつと昼食を買いに行くだけのはずだった。最後に見えたのは急に視界に現れた車だった。気がついたときには和樹の体は宙に浮いており、その直後に思いっきりコンクリートに叩きつけられていた。
(そうか…………助かったんだ…………)
まだ生きてる。その事実に和樹は深く感動し、目頭が熱くなるのを感じた。生まれて初めての死の恐怖、そして生きていることの喜び。全てが和樹の中で一斉に駆け巡っていた。頬を伝う涙はいつまでたっても止まらず、枕元は涙でグッショリと濡れていた。
「まだ………………生きてる……………………」
途切れ途切れ、だが確実に和樹は自分に今ここにある現実を言い聞かせていた。しばらくして、病室のカーテンを開けて見舞いにきた両親は和樹が目を覚ましたのを見て泣き崩れていた。その光景を見るだけで和樹は涙腺が崩壊するのを止めることができなかった。
その後わずか3日で和樹は退院した。後で話を聞くとなんと1ヶ月近くも眠っていたらしい。まともに車と直撃したにも関わらず目立った外傷はなく、軽い打撲で済んでいたのにいつまでも目を覚まさないので植物人間になったのではないかと皆疑っていたらしい。医師はとにかく奇跡だ、と驚いてばかりだった。もしあのままコロンの夢を見ずに目を覚ませなかったら…………そう考えただけで和樹は悪寒が止まらなかった。
「まさか3日とはなぁ…………」
「本当によかった。ちっとも目を覚まさんかったけんな。」
と家族からの祝福を受けながら自宅に戻ると、ワンッ!ワンッ!とリビングの方から声が聴こえてきた。
「コロンただいま!」
そう言うや否やコロンは真っ直ぐに和樹目掛けて突進し、体をすり寄せてきた。
「痛ッ!わかったただいまただいま!」
そう応じながら和樹はまたコロンと触れ合える喜びに全身を震わせていた。
「そういえば眠ってるときにコロンが呼んでくれたんだよ。」
ふとあの夢を思い出した和樹は家族に向かって夢の内容を話すと、
「じゃあコロンがあんたを助けたとかもね。」
母は呆れたように答えた。
「本当だって!マジで聴こえたとって!」
しかし、両親は全く相手にしてくれない。
「本当なのに……………………なぁ?コロン?お前が助けてくれたんだよな?」
そう問いかけると、コロンはそんなの知ったことではないと言いたげにそっぽを向いて和樹から離れてしまった。まぁいいか、と和樹は自分に言い聞かせ自室に戻りクラスの皆、野本に無事であることを報告した。とにかく、またこれからはクラスの皆とも家族とも、そしてコロンともずっと一緒にいられる。そう和樹は思っていた。
これから流転の運命が和樹を待ち受けているとも知らないで………………
どうでしたか?あまりにも急過ぎると思われたかもしれませんが、やはりこの手の話はグダグダと長ったらしく書くのはよくないと思うんです。
ですからこの作品はなるべく短話完結を目標にしていこうと思います。
どうかこれからも応援よろしくお願いします。では次回をお楽しみに♬