第2話 変化
更新遅くなりました(汗)2話目です\(//∇//)やっぱり方言って難しいですよね……でもこの方言はどういう意味なんだろ?って考えながら読むのも楽しみの1つだと思うんでこれからも入れていこうと思います。この機会に福岡に興味を持っていただけると嬉しいです!それでは第2話どうぞ(^-^)/
午前6時いつもの通り和樹は目を覚ましリビングに向かった。いつもの通り父と母は仕事に向かい、家には1人………………のはずだった。しかし、和樹の目の前には一匹の子犬がリビングを走り回るという光景が写っていた。
「おはよう。昨日は眠れたか?」
返事がくるわけないとわかりつつも和樹は目の前の子犬=コロンに話しかけると、コロンはパッと和樹の方を振り向き、和樹目掛けて一気に走ってきた。
「うぉ!…………本当に飼ってるんだな…………犬。」
和樹は未だに自分が目の前にいる子犬の飼い主なったという実感がわかなかった。どうやら餌は母が置いていってくれたらしい。父がゲージやオモチャなど様々なものを買ってきたおかげで、コロンの生活用品は完備されていた。
「あぁ~そろそろ準備しないと野本がくるな。」
和樹が登校の準備に取り掛かろうと立ち上がると、それについて行くようにコロンも後ろ歩く。
「本当なら散歩とか連れて行ってやりたいんだけどな。」
母が言うにはコロンは子犬が受けなければならないワクチンを摂取したばかりで2週間ほどは外出禁止らしい。しかし、部屋中を走り回る姿を見るだけで和樹は何か胸がじんわりとほぐれる。そんな気持ちになっていた。
一通りの準備が終わると、
ーピンポーンー
とチャイムがなるのが聞こえた。
「はーい、はいはいはい………………。」
そう言いながら玄関を開けるとそこにはやはり野本の姿があった。
「おっす!」
そして定番の挨拶である。
「おう!さぁ、早く行こうぜ!」
それに対して和樹が返事をすると、
「?…………どうしたん?なんかあったと?」
野本は不思議でたまらないといった様子で和樹に尋ねた。
「え?なにが?」
「いや、いつもの辻ならもっとサラッと受け流すとに珍しくちゃんと応えるからさ。」
言われてみれば、今日はなんだか気分がいい。
「まぁな。ちょっと色々あってな。」
と和樹はニヤけながら応じる。
「なんだよぉ?」
野本は気になってしょうがないといった様子だ。
「実はな……犬飼ってるんだな、これが。」
「マジで⁈見してよ。」
「まだ無理だから今度な。」
「えー。じゃあ今度な、絶対ばい。」
「わかった、わかった。」
そう応えながら2人はバス停へと歩きだした。
大堀中学校
和樹の頭の中はコロンのことでいっぱいだった。手には昨日の温もりが未だに残っている。あの温もりがいつも近くにいる。そう思えるだけで和樹はとても幸せな気分になっていた。
(今日は帰ってからどうしよう…………とりあえずナデナデして…………それから…………)
「ーみ。ーじがみ!辻神!」
「は、はいぃ!!!!!!!」
宮本の呼びかけに気づいて、ハッと周囲を見渡すとクラスメートの嘲笑の視線が和樹に突き刺さっていた。その中に長伊雄一郎の姿があり、和樹は少し苛立ちを覚えた。
長伊雄一郎、『長伊』とつく割には身長は158cmしかなく、また顔がインテルの長友に似ていることから周囲からインテルと呼ばれていた。常にヘラヘラしており、和樹に言わせればただのアホであった。そんな長伊に笑われるというのはなんとも屈辱的だった。
その後、宮本に質問に答えられなかった和樹は自分の迂闊さにガックリし、その後の授業も身が入らなくなってしまった。
(あーイライラする。あー気持ち悪。まぁいいや、部活で発散するか。)
放課後、まだ誰もきていない体育館で和樹は1人ネットを張っていた。和樹はバトミントン部に所属しており、終齢が終わるといつも誰よりも早く準備を始めていた。
「あぁー先輩達遅いなぁ……。」
「本当やな~。」
「うわっ!」
和樹の隣には何時の間に来たのか野本がいた。ちなみに野本もバトミントン部である。
「急にでてくんなよ、気色悪い。」
「ごめん、ごめん。そんなこと言うなよ。」
野本は苦笑いを浮かべながら謝罪を入れる。
「にしても本当に遅いなぁ。」
そう言いながら2人がウォーミングアップを始めようとすると。
「あぁ~めんごめんご、遅くなったわ~。」
声の聞こえる方を見ると、そこにはバトミントン部最強の男、清麻呂芳樹がいた。
「芳樹先輩何してたんすか?」
「いやぁ~カロリーメイト食っとった。」
「でもお菓子の持ち込みは禁止じゃ……………。」
「小さいことを気にしてたらいつまでたっても強くはなれんぞ?」
「…………………………。」
あまりにも素早い切り返しに和樹は言葉を失ってしまった。そんな調子で練習が終わると、
「あ、そういえばGODは犬飼ったとよね?」
芳樹は辻神の神をとってGODと呼ぶが和樹はそれを嫌がっていた。
「先輩、GODはやめてください。てか、なんで知ってるんすか?」
「野本から聞いた。」
何故かどや顔で応じる芳樹。
(またあいつはペラペラと話しやがって………………。)
「GOD、愛犬との時間は大切にしろよ。」
「?」
「俺も昔飼っとったよ、犬。」
「マジっすか?」
「大マジたい。なかなか時間なくて一緒にいてやれなかったっちゃんね。そうなると後々本当に後悔するからな。今を大事にするんが1番よ。」
「でも、まだ産まれたばかりですよ?」
と和樹は笑いながら応じる。
「馬鹿だなぁ…………産まれたばかりだからこそ大事になってくるとよ。」
芳樹はまるでわかってないと言いたそうに和樹を見ていた。
午後8時・辻神宅
「ただいまぁ。」
和樹が帰宅すると、リビングの方からクゥ~ンと鳴き声が聞こえてきた。
「ただいま、コロン。」
そう言ってコロンをゲージから出すと、一気に和樹に飛びかかってきた。
「うぉ!わかった、わかったから落ち着きなさい。」
となだめようとするがコロンにそれがわかるわけでもなく、和樹はひたすらコロンになされるがままとなっていた。
「ふぅ~びっくりした。それにしても犬なのに『ワン』って泣かないんだな。」
そう。産まれたばかりの子犬は声帯が発達しておらず我々が聞き慣れているような鳴き声を出せないのだ。
「でもこっちの方が可愛いよな…………。」
まだ2日しか経っていないにも関わらず、既にコロンは和樹に慣れきっていた。和樹がソファに座るとヨチヨチと側まで寄ってきて、まるで乗せろと言わんばかりに鳴くのである。そっと抱き上げると、そのままコロンは和樹の脚の上でクルッと丸まり寝るのである。
(可愛かぁ………………いつまでもこうしていたいな………………。)
そう思っていると、芳樹に言われた言葉が脳裏を駆け巡った。
「今を大事に………………か。別れる日なんて本当にくるんかな?」
あり得ないとは思いつつも、もしそうなったら…………と考え始めそうになった和樹は、コロンをひたすら撫でまくり気にしないように努力した。
「そういえば家に1人でいないなんて初めてだな…………。」
コロンの頭を撫でながら和樹はそう呟いた。両親共働きの辻神家はどちらとも帰宅時間が遅く、基本的に家には和樹1人だった。そのため1人でTVを見るのが当たり前だった和樹にとって、両親以外の何かと家で過ごすというのは大変珍しいことだった。
「よし!今日は宿題早めに終わらせて一緒に寝るばい!」
和樹が今のコロンとやりたいこと。それは一緒に寝ることだった。
風呂から上がり、コロンを抱えてベッドに半身になって寝転ぶとコロンはまるでわかっていたかのように毛布の中に潜り込み、和樹のお腹の当たりでクルッと丸くなり毛布から顔を少し出した状態でこちらを見た。その光景に癒された和樹はゆっくりと眠りに落ちた。
こうして和樹とコロンの新たな生活が始まった。
2話目終了です。今回は少し短めになってしまいました。しばらくは和樹の学校生活を中心とした話になってしまうと思いますが、ちゃんとコロンはでてきます!また学校生活ででてくる色んなキャラのことも楽しんで読んでもらえると嬉しいです。
次回はコロンが内にきてから初めての休日。和樹はどう過ごすのでしょうか?それでは次回もお楽しみに(^-^)/