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頭脳と異能に筋肉で勝利するデスゲーム<Ⅱ>  作者: もちもち物質
第四章:月に叢雲、花にバカ
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ゲームフェイズ2:『21』世界

 門がある。今、バカ達の目の前には、門があるのだ。

 ……これを見ると、『コングラッチュレーション!』の意味も、分かる。

 ここは、これからこのゲームを脱出して帰還する者が通る、最後の部屋なのだ。


「ここから、帰れる、のかな……?」

 むつが、門をしげしげと見つめて呟く。

「……試してみる?」

 デュオがそんなむつに笑いかけると、むつはちょっとデュオを見て、それから、ふり、と首を横に振った。

「……それは、螺旋階段の上を見てから。そうだよね?」

「そうだね。俺もそう思うよ、むつさん」

 デュオは楽しそうに笑って、それから、さて、と部屋の中を見回した。

「……脱出前にはここの食事、食べてみてもいいかもね」

 そしてそんなことを言うので、バカは、ぱっ!と表情を明るくしてしまった!

「うん!食べる!やったー!」

「毒だったらどうするんだ……。僕は食べないぞ」

 が、海斗は食べないらしい!悲しい!ご飯は皆で食べてこそ美味しいのに!

「うーん、俺は、ここにあるものは全て安全だと思うけれどな。まあ、新たに毒を仕込める可能性は十分にあるだろうけれど……『毒』は、特に見てないしなあ。そういう異能があれば別だっただろうけれど……」

 デュオは、ちら、とむつを見てみたが、むつは『このケーキ美味しそう……』とケーキを見つめているばかりである。尚、バカとしてはローストチキンが気になる。こんがり焼けていて、てりてりしていて、とてもいい匂いで、美味しそうなのだ!


「まあ、今は一旦、大広間に戻ろうか。その方が良さそうだ」

「食わねえの!?」

 しかし、デュオが苦笑いしながらそう言ったものだから、バカは非常にがっかりした!バカは、目の前のローストチキンにすっかり心奪われているというのに!

「えーと、後でもいいと思うよ。……一応、大広間に持ち帰れそうなものだけ、持っていってみる?タヌキや七香さんにも見てもらったらいいと思うし……」

 デュオは、『そんなに樺島君が悲しむとは思ってなかったな……』などと言いつつ、サンドイッチが入ったバスケットを、ひょい、と持ち上げた。

 ……すると。

「うわっ」

 ぽんっ。

 ……なんと!デュオがバスケットを取った位置に、美味しそうな焼き菓子が沢山載ったトレイが出現したのである!


「……このテーブル、無限に料理が出てくる、のかな……?うーん、珍しいな」

 デュオは面白がって、次にスパークリングワインの瓶を取った。すると、その数秒後、ぽんっ、と……ちょっとお高いのであろう、瓶の桃ジュースが出現していた!すごい!

「すげえー!」

「うわー!すごいねえ!」

 バカはローストチキンの大皿を持ち上げてみた。むつは苺のショートケーキのお皿を持ち上げてみた。するとそれぞれ、ぽんぽんっ、と、そこに、ローストビーフの大皿と、オペラケーキのお皿が出てきたのである!すごい!

「樺島。食べ物を増やすんじゃない。そんなにどうするんだ」

「食べる!うおおおおお!うまそぉおおおお!」

「……せめて、僕が食べてからにしてくれ」

 バカは、目をキラキラさせてローストチキンの大皿とローストビーフの大皿を見つめる。肉!大好き!

 だが、肉が大好きなバカであっても、肉以上に……この、不思議なテーブルが気になってきた。

 食べ物が沢山出てくる魔法のテーブル、となると、やっぱり気になる!当然、気になる!

「俺、このテーブル持って帰りたい……!」

 バカは、『今回のお土産はこれ!』と、にこにこ顔である。テーブルは大きいが、バカのバカ力を使えば運べるだろう。多分、門も通る大きさだ。いける!


 ……だが。

「やめておけ、樺島」

「なんでぇ!?」

 海斗に止められて、バカは『そんなぁ!』と嘆く!……しかし海斗は黙って首を横に振るのだ。

「……そんなテーブルが無くとも、僕達には社員食堂がある!」

「……そうだった!」

 バカは、海斗の言葉を聞いて、はっとした。

 そうだった。バカ達キューティーラブリーエンジェル建設フローラルムキムキ支部の社員らには、社員食堂があるのだ!そして、そこで元気に働く、お料理大好きな先輩や悪魔、そしてミナが居るのである!

 ……お料理が無限に出てくるテーブルは、確かに、とっても便利だろう。だが、これがあったら、ミナや先輩は、ちょっとしょんぼりしてしまうのではないだろうか。『ああ、お料理を作らなくてもよくなってしまった……』と。

 バカとしては、敬愛する先輩や大切な仲間であるミナに、そんなしょんぼりとした顔はさせられない。よって、テーブルをお持ち帰りするのはナシ、ということに決定した!




 ……ということで。

「大荷物になっちゃったね……ははは……」

「概ね、樺島のせいだな」

「ごめぇん……」

 バカ達は、スパークリングワインの瓶一本、サンドイッチがつまったバスケット一つ、ローストチキンとローストビーフの大皿、そして苺のショートケーキのお皿を持って大広間へ戻ることになった。

 ……むつも、食い意地が張っている!バカはにっこにこの満面の笑みである!仲間だ!

「あっ、ボタンが増えてる!『大広間』行きがあるぞ!」

 そして、エレベーターの中に入ったバカは、そこで操作盤に『大広間』のボタンが増えていることに気付いて『便利!』とにこにこした。また天井裏に戻って、そこから大広間へ戻って……とやるのは面倒だったので、助かる!

「成程ね。まあ、状況によっては、これを押さない方がいいこともあるんだろうけれど」

「今回は押さない理由が無いな。押してくれ。……いや、僕しか手が空いていないのか……。押すぞ?いいな?」

 そうして海斗が呆れながらボタンを押して、無事、エレベーターが動き出す。

 バカは、『なんか、エレベーターの中、いい匂いになってきたなあ……』とまたにこにこした。食べ物がいっぱいだと、幸せである!




 ……ということで。

「ただいまー!七香ー!」

「……上へ行かれたのに、下から戻ってくるとは」

 バカ達は無事、大広間へ戻ってきて、七香と合流した!ただいま!ただいま!

「その上、食べ物……どこから持ってきたんですか?」

「『21』の部屋かな。……うん、そんな顔しないで。どうも、天井裏にあった『ダァト』の個室は、エレベーターとして起動すると『21』のアルカナルームに行けるようになるみたいで……」

 七香は『意味が分からない……』というような顔をしていたのだが、デュオが色々と説明していくと、ちょっとずつ分かってきたらしい。やっぱり七香も頭がいいのだ。

 ……そしてその間、バカはきょろきょろ、とやって、ヤエとタヌキを探す。

 バカ達が天井裏に行く前、ヤエとタヌキはヤエの個室のベッドの上に居たのだが……今、そこにヤエとタヌキは居ない。

「ああ、ヤエさんとタヌキさんなら、『17』の部屋へ行きました」

 ……が、七香がそう言ったので、バカは『えっ!?』とびっくりした!


「17……え?どうやって……?あの、俺、バカだけどよぉ……3+8って、17じゃなかったと思うんだけど……」

「そうだな。3+8は17じゃないぞ、樺島……」

 バカはバカだが、足し算を間違えなかったらしい!バカは『だよなあ!よかった!』と胸を張った!胸を張るところではない!

「ええ。デュオさんが置いていった『2』の腕輪と、四郎さんの腕輪を使いました」

 ……そしてバカは、『8+3+2+4は……17!』と指折り数えて計算した。ちゃんと計算できたので、海斗が『よし』と頷いてくれた。バカはまた嬉しくなった!

「桜を見に行かれたそうですよ」

「ああ……そう、だな。ヤエさんは、桜が好き、なんだったか……」

 ……海斗はちょっと、しょんぼりした様子であった。やっぱり、ヤエのことが気になるのだろう。バカとしても、ヤエのことは非常に心配である。やり直してしまうにしても……やっぱり心配なのだ。




 そうして、ヤエとタヌキが戻ってくるのを待つ傍ら、七香は、ちら、とこっちを見て、それから、『むつさん。少しいいかしら』と、むつを呼んだ。むつは、こっちが少し気になる様子ではあったが……七香に呼ばれてしまったので仕方がない。そっちへ向かっていった。

 なので。

「さて。七香さんが気を利かせてくれている間に、ちょっと『次』の相談をしようか」

 デュオが早速、そう切り出して……。

「まあ、まだ四郎さんについて詳しく調べていないけれど……俺は、むつさんが悪魔、だと思う」


 ……そんなことを、言い出したのである!


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― 新着の感想 ―
悪魔が用意した料理だから危ないかも、と言われていたら、普段から悪魔の揚げ物食べてるぞ、と言えたのに残念。
馬鹿が要らないならタヌキの袋にテーブル入れよう。
むつが怪しいのは確かだけど悪魔かなぁ……?いや他に怪しい人上げろっても出てこないけど (一般的な推理小説なら海斗ポジが犯人になりがちだけど流石に違うだろ) 死亡率の高いヤエとタヌキが二人きりでクリア…
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