表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/59

ゲームフェイズ1:大広間2

 デュオが海斗に声を掛けるという驚くべき事象を前にして、バカは大いに混乱している。そんなこと、前回は起こらなかったのに!

 ……だが、バカは記憶をたどってみて、『あ、もしかしたら前回、孔雀が最初にチーム分けの話、し始めたんだったかも……』とぼんやり思う。記憶は定かではないが、少なくとも、孔雀が場をリードしていたことは、なんとなく覚えている。

 その孔雀が何故か居ない今、デュオが先陣を切った。そういうことなのだろう。

「……何故、僕と?」

 だがそれでも、『何故、海斗?』という疑問は残る。バカもそうだが、海斗自身も、大いに戸惑っている様子であった。

 ……すると。

「え?一番数が小さいから……」

 デュオは、『まさかそこを聞かれるとは』とでもいうかのような表情で、そう答えたのである。

 ……バカは、『数が小さいとなんかあったっけぇ!?』と、頭を抱えた。バカなのである。バカだから、戦略も何もかも、分からないのである!

「数が小さい者同士で組むことにはメリットがある。より多くの人数を確保できる、ということに直結するからね。……それに、まあ、君と組むと樺島君も付いてくる。そういうことだよね?」

「そうだぞ!俺は海斗と一緒だからな!」

 だが、バカは『俺と海斗は仲良し!』というところだけは分かっているし、そこを大いにアピールしていく所存でもあるので、ここは胸を張って答えられる。単純明快なバカなのであった。

「……まあ、構わない。勿論、僕は樺島と一緒に動く。少なくとも、最初はそうしたい。それでいいなら、組もう」

 海斗も、少し迷った様子だったが、OKを出した。となると、バカは次はデュオとも一緒、ということになる。

 デュオ、よろしく!


「俺もそれでいいよ。となると……腕輪を見る限り、俺は『2』だ。海斗君は『1』だったね。それに樺島君の『10』を足して、13、か。……となると、あと1人は入れられるけれど。どうしようか」

 デュオが、ちら、と他の面々を見渡したのを見て……バカは、『確か、最初はできるだけいっぱいの人と組んでチームになった方が、ゲームクリアした後、すぐに次の合計の数を作ってアルカナルームに行けるから、便利……なんだったよな?』と思い出した。バカにしては、非常に頑張った!

 そして。

「でしたら、私が」

 ……七香が、手を挙げた。

 七香が……七香が!前回、1人でいることしか無かった七香が、ここで!手を挙げたのである!

 バカ、重ね重ねびっくり!




「……まあ、それで合計は『20』か。……そういうことなら、それで構わない。となると、僕達のチームは4人で打ち止めだな」

 そうして、バカ達のチームができてしまった。

 ……バカと海斗、そして、デュオと七香、というチームである。

 デュオと七香は、恐らく、なかよしだ。隠してはいるようだが……七香の、あの時のあの表情を……デュオに向けた笑顔を思い出すと、どうにも、バカはそわそわ落ち着かない気分になってきてしまう!

 そんなデュオと七香だから、一緒に組むのはちょっと、緊張する。

 前回、デュオがタヌキを人質に取ったことを、バカは忘れていない。

 前回、七香が恐らく、ヤエを殺した。それも、バカは忘れていない。

 ……だが、これはチャンスでもある。

 孔雀が居ない以上、次に調べる予定だった七香について調べなければならないのだ。危険はあるかもしれないが、それでも、チャンスであることは間違いないのだ。

「えっと……よろしくな、デュオ!七香!」

「ああ。よろしく」

「よろしくお願いします」

 ……そうしてバカは、デュオと七香と、握手した。……七香とも、握手した!前回は無視されたのに!

 バカは、『なんか、前回とは色々違うなあ……』と思いつつ、しかし、『前回とは違うんだから、もしかしたら、前回仲良くなれなかった奴とも仲良くなれるかもしれない……』と希望を胸に抱く。

 前向きなことは、このバカの美点の1つなのだ!




「えー、とぉ……そうなると、残ったアタシ達は、どうする?5人だけど」

 続いて、残る5人のチーム分けが始まる。

「えーと、えーと、私が『3』でぇ……四郎さんが『4』で、五右衛門さんが『5』で、むつさんが『6』でヤエさんが『8』ですから、合計すると26になっちゃいます、ねえ……。2チームに分かれる必要がありそうです!」

 タヌキが一生懸命にそう主張すると、『まあ、足し算の結果、そうなるわよねぇ』と五右衛門も頷き……そして。

「……これ、誰も触れないから、言っちゃうけどさ。絶対に、本来なら『9』の腕輪の人が居た、わよねェ……?」

 ……五右衛門が、そう、緊張気味に切り出してきたのである!


「ゲーム開始前に脱落、ってこと、かしらぁ……?えっ、やだ、あの個室、そういう仕掛け、あったぁ!?」

「あっ!そういえば、個室で待機する時間の間、個室の外からなんだか、誰かの絶叫みたいな、そんな音が微かに聞こえてきていました……!」

 タヌキと五右衛門が怯えているが、それはバカの遠吠えである。

「……俺も聞いた。それで、物音の少し後と、更にそれからしばらく後と、2回ほど外を覗いたんだが……暗いばっかりで、何も見えやしなかった」

 四郎も眉間に皺を寄せているが、それはバカの遠吠えなのである。そして、四郎が実は、バカと海斗が見ていなかった間にもう一回、ドアを開けていたことが判明した!

「エッ!?個室のドアって開けられたんですか!?私、そんなの知りませんでしたよ!?一体どうやって!?」

「あ、私も開けたよ。なんか、ドアとか部屋の中とか色々、ガチャガチャしてたら開いた!」

「ガチャガチャしてたら!?そんなお行儀の悪いことを!?このタヌキはお行儀よく、ちゃんとベッドの上で正座していたというのに!?」

「ちょっとぉー、タヌキあんた、正座、できるのぉ……?その脚でぇ……?」

 むつからは『なんかドアとかガチャガチャしてたら開く!』という情報を得られ、タヌキからは『タヌキはお行儀よく待っていました!』という情報を得た。

 ……前回はバカもお行儀よくベッドの上で正座していたので、タヌキにいよいよ、親近感が湧いてきたバカであった!


「……ま、『9』の奴のことは気になるが。今は組み分けだな。どうする、五右衛門。俺と組むか?」

「えっ、あー、どうしましょ……うーん、女の子が1人になるようなことには、したくないのよねぇ……。ねえ、むつちゃん、ヤエちゃん?あなた達、どうすんの?」

 四郎が五右衛門に話を振ると、五右衛門はちょっと困ったように、むつとヤエとを代わる代わる見つめる。……五右衛門は、いい奴なのだ。多分。バカは、そう思う。前回は、ちょっと、怖かったが……あれもきっと、事情があるのだろう。

「あっ!じゃあヤエちゃん!私と一緒に組もう!ね!私とヤエちゃんとで、えーと……『14』の部屋!」

 そうしている間に、むつがヤエの手を取っていた。

 ヤエは少し困惑した様子だったが、『私で、よければ』と頷いた。むつは、にこーっ!と笑って、『ヤエちゃんよろしく!』と元気に握手していた。バカはむつにもちょっと親近感を覚えた!

「えっ、だったらアタシもそこに入れて!女子会ってことにしましょ!ね!」

 が、そこへ入っていくのが五右衛門である。すごい。バカにはできない所業である!だってバカは……そして五右衛門も多分、女子では、ない!

「……え、えーと……ヤエちゃん、どう?五右衛門さんも一緒でも、いい?」

「あ、うん……」

 むつとヤエは困惑気味ではあったが、一応、五右衛門と一緒でもよし、ということにしたらしい。こうして、五右衛門とむつとヤエのチームが完成した。このチームは、『19』の部屋に入るのだろう。


「……ってこたぁ、俺はこのタヌキと、ってことになんのか……」

「はい!そういうことです!どうぞよろしくお願いします!」

 ……そして、四郎はタヌキと組むことになった。前回、タヌキと四郎は仲良しになっていたので、今回もきっと上手くいくと思われる。バカは大いにニコニコした!

「おい、七香。それでいいか?悪いが、俺とタヌキとで組むことになっちまったら、あんたが1人で入れる『7』を潰すことになる」

 が、ここですぐさま即決しないのが四郎である。バカは、『やっぱり四郎のおっさんって、ちゃんとしてるんだなあ……かっこいいなあ……』と、ますますニコニコ顔になってしまった。

 ……そして、七香は。

「構いません。1人で入るのはリスキーだと、思っていましたから」

 ……なんか、前回と、やってることと言ってることが、違う!




 バカは大いに驚きまくっているが、七香は涼しい顔をしているし、デュオが横で『成程ね』などと頷いている始末だ。

「まあ、2人以上で入れる部屋は、2人以上で入ることを前提にしていると思うよ。……つまり、危険が大きい、っていう風にね。そういう意味では、『7』の部屋はタヌキと四郎さんに入ってもらった方がいいかもね」

 デュオもそんなことを言ったものだから、いよいよ、七香は『7』の部屋は譲る、ということになってしまった。あの七香が、である。

 ……バカは、思った。

『今回、頑張って七香のことよく知らねえと……』と。

 七香は……やっぱり、何かある!バカの勘と、そもそもの今までの出来事がそう告げている!




「じゃあ、皆、無事で。……発表フェイズに、また会おう」

 そう海斗が言う中、皆、それぞれの個室へと入っていく。

『7』に向かう、タヌキと四郎のチームは、タヌキの個室へ。

『19』に向かう、五右衛門とむつとヤエのチームは、本来孔雀の個室だった個室へ。

『20』に向かう、バカと海斗とデュオと七香のチームは、バカの個室へ。

 ……いよいよ、ゲームが始まるのだ。


 今回、バカ達が入る部屋は……『20』。前回のバカが入らなかった部屋である。

 バカは、『何があるのかなぁ……』と緊張しながら個室に入り、エレベーターを起動させる。

 ……そして、全員が無言のまま、エレベーターは到着し、ドアが開く。

「じゃ、いくぞ……?」

 バカが確認すると、海斗が、そしてデュオと七香が、頷く。

 それを見て、バカは決心を固めて、『20』と書かれたドアを開き……。




「……なんもない!?」

 ……そこは、何も無い部屋であった。

 バカは、ぼんやり思い出す。

 そういや前回、むつが『何も無かったのー!』と言っていた部屋があったなあ、それ、『20』だったかもしれねえなあ、と……。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
樺島に9番の部屋にタックルさせないんですかね?もしかしたらそもそも大広間まで降りてきていないとか?
なん…だと…。 審判には何かあると思ってたのにぃー。 いや、きっと樺島たちなら何か見つけてくれる! それにしても、他の人もやり直ししてるというのは、全く発想がなかったですわー。その場合は消去法でデュ…
あー。この主催悪魔、揚げ物悪魔の知り合いでバカくんの存在を既に知っていて記憶持ち越しの異能を誰かに貼り付けた可能性もあるんですね。 バカくんと違って賢い人が記憶持ち越したら((( ;゜Д゜))) でも…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ