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頭脳と異能に筋肉で勝利するデスゲーム<Ⅱ>  作者: もちもち物質
第一章:あのバカが帰ってきた!
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ゲームフェイズ2:大広間5

 ……ということで、まずは孔雀がエレベーターを下ろした。

 そしてここで、バカ達は大変なことを知る。

「……外した腕輪がありゃ、個室は動かせるのかよ」

「人じゃなくて腕輪が重要なんですねえ……」

 四郎もタヌキも、『うわあ』という顔をしているが……実際、そうなのだ。

 今、孔雀はむつと一緒に、孔雀の個室を床下に格納してくれている。……つまりこれがどういうことか、というと、腕輪を既に破壊済みの2人が、やはり破壊済みの『9』『7』『3』の腕輪を両腕に装着して個室に入り、『19』のアルカナルームを選択できるかどうか試した、ということである。

 ……そして、その目論見は見事、成功したのである!見事、エレベーターは動き出し、バカ達は拍手でこれを見送った。

 同時に、海斗は『いいか?樺島。これで、腕輪を破壊しても大丈夫ということが証明された。次にやり直す時、腕輪は破壊してもいいぞ』と教えてくれた。バカはしっかりこれを覚えた!




 さて。そうして、孔雀とむつのエレベーターが下がったところで……さっきまで、孔雀の個室がくっついていた部分の天井を見上げて、バカ達は唸る。

「一応、開閉するような仕組みにはなっていそうだな」

「あー、確かになんとなく、穴が開きそうなかんじになってますよねえ……」

 下から見上げて海斗とタヌキが相談している通り、天井には円形に、溝が見える。つまり、あの円形の部分が、パカッ、と開くようになっているのであろう。

「となるといよいよ、四郎さんが言っていた通りの可能性が高いな」

「本当に天井裏があって、そこに『ダァト』がある可能性ですね!?うわー、すごいなあ!私、なんかワクワクしてきましたよ!」

 海斗は『いや、しかしどういう風に天井が開くのか分からないし、ただ少しくぼむだけかもしれないし、危険であることに変わりはない……』とぶつぶつ呟き、タヌキは『すごい!すごい!秘密基地みたいです!』とぴょんぴょこ跳ねた。

「……ま、穴開けとけるっつうんなら、開けといた方がいいだろうな。……おい樺島。お前、開けられるのか?」

「うん!でっかい剣使ったら届くんじゃねえかなあ、って思う!」

 そして四郎と会話して、バカは『やれる!』と意気込んだ。もし、この会話を天井が聞いていたら、きっと青ざめていたことであろう。だが生憎、天井に意思は無い。ただ天井はそこにあり……破滅の時を待っているのみである!


 バカは『正義』の部屋から持ち出してきたでっかい剣を『よっこらしょ』と抱えた。

 そして天井を見上げて……。

「よいしょォッ!」

 ぶん、と振りかぶり……剣を天井へぶん投げた!




「……刺さっちゃった!貫通しなかった!」

「あっ!私、この光景知ってます!ホウキ振り回して遊んでた中学生が、うっかり天井にホウキ刺しちゃった時のやつですよこれ!」

「おお……大したもんだな、おい」

 天井に刺さってしまった巨大な剣を見上げて、バカとタヌキと四郎が口々に騒ぐ。

 それを見て海斗は頭を抱え、五右衛門は『あらぁー』と呆れた顔だ。

「じゃあちょっと剣、もいでくる……よいしょっと」

 バカはしゃがむと、そのまま脚をバネのようにして、ばしゅ、と跳躍する。そして天井に突き刺さった剣の柄に『よっこいしょ』と捕まると、鉄棒で逆上がりをする時のように、剣の柄を軸にしてくるりと体を回し……そのまま天井を蹴って、剣を引っこ抜きつつ落ちてきた!

 ころん、と一回転して床に着地を決めたバカが、まるで器械体操でそうであるようにポーズを決めると、タヌキが拍手してくれたのだった!




 ……さて。

「天井が破壊できると分かったのは大きいな」

「だな!前回みたいに、滅茶苦茶硬い壁だったらどうしようって思ってた!」

「或いは、この剣が特殊なのか?まあ、使い勝手は良さそうだな」

「うん!この剣、デカくて長くて丁度いい!」

 バカと海斗は話しながら、バカが剣をぶっ刺し、そして引っこ抜いて生じた穴を見上げる。

「穴の先、何か見えるか……?」

「んー……?いや、なんも見えねえなあ……」

 バカの視力は10.0を超えるものなのだが、そんなバカの目にも、穴の先の様子は分からない。海斗も揃って見上げてみるが、何も見えないのであった!

「……まあ、もう少ししたら、むつさんと孔雀がエレベーターを上げてくれるだろうから。そうしたら天井裏を見に行こう」

「うん!」

 バカは、孔雀の個室が沈んでいる地点の床の上に、お行儀よく体育座りしておくことにした。背筋を伸ばしたバカの体育座りは『とても元気が良さそう』『とてもお行儀がよろしい』と評判なのである!

 ……だが。

「その前に……『リプレイ』だな。先に見ておきたいものがある」

 そんなバカの横にそっと体育座りしながら、バカだけに聞こえるように、海斗がこそこそ、と囁いた。

「四郎さんの記憶がどうも、おかしくなっていることについて、だ」




「……四郎の?」

 バカは、きょとん、とした。海斗の『リプレイ』が勿体ないから使っておこう、というのは分かるのだが……『四郎の記憶がおかしいところ』は分からないのだ!バカはバカなので、さっき聞いた話もすぐに忘れがちなのである!

「樺島。発表フェイズで発表された、デュオのカードの枚数を覚えているか?」

「ん?……何枚だっけ?」

「2枚だ。だが、これはおかしい」

 バカが何も覚えていなくても、海斗は覚えているので話が進む。バカは体育座りを正座に切り替えて、ふむふむ、と頷きながら聞く。

「最初、デュオはむつさんと孔雀と一緒に『17』のアルカナルームに入ってる。その後、『2』を攻略したことは間違いない。彼が1人で挑む以外に、『2』を攻略する手段は無いからな」

 バカも、そこまでは分かる。『1+1=2』だが、海斗は2人も居ないので、実質、『2』の部屋に挑戦する方法は、デュオ1人で挑むことだけなのである!

「……だが、孔雀は発表フェイズ時点で、カードを3枚持っていたんだ。孔雀は『17』の他に、むつさんと一緒に『15』に入って、その後、むつさんを置いて『9』に入った。これで3枚だ」

「つ、つまりどういうことだ!?」

「……デュオと孔雀とむつさんが入った『17』の部屋のカードは、孔雀のものになっているはずなんだ。だから、デュオがもし、『17』と『2』のアルカナルームしか攻略していなかったなら、彼がカードを2枚持っているのはおかしいだろう?」

 バカはちょっと考えた。考えて……愕然とした!

「……カードが増えたってことか!?」

「素直に考えてくれ。恐らくデュオは、四郎さんと一緒に『6』のアルカナルームに入って、そこのカードを手にしているんだ」

「えっ、でも、四郎のおっさん、『6』には入ってないって言ってた……」

 バカが頭の上に『?』マークをいっぱい浮かべて首を傾げていると、海斗は少し笑って……じっ、と、タヌキの個室を見つめた。

「だから、それを確かめるんだ。……さて。じゃあ『リプレイ』の本領発揮、といこうか」




「デュオと四郎さんが『6』のアルカナルームに入ったとしたら、使ったのはタヌキの個室だ。『6』に繋がる個室は、タヌキの個室『ビナー』と、むつさんの個室『ティファレト』の2つだけ。そして、むつさんの個室は僕達が『14』『11』のアルカナルームを攻略するために使っていたから、少なくともその間は使えなかったはず」

 海斗はそう言うと、少し考えて……よし、と頷いた。

「この場に居るのは、僕とお前と、タヌキと四郎さんと五右衛門さん、か。まあ、問題無い、か……いや、タヌキに五右衛門さんの相手を頼んでおくか。樺島は四郎さんを連れてきてくれ」

「わ、分かった!」

 バカは、『海斗のリプレイ、あんま他の人に見せない方がいいもんなあ……』と分かっているので、そそくさ、と四郎のところに行って、『ちょっと来て……』と四郎をひっぱって、そそくさ、と戻ってきた。非常に不審である。四郎自身にさえ、『なんだおめぇ……』と不審がられた!

 そして、そうしている間に海斗とタヌキの話もついたらしく、タヌキが五右衛門と何か話して、五右衛門の顔面に、『もふんっ!』と乗っかったのが見えた。

 ……五右衛門の顔面に、タヌキが、乗っている!

 バカ達が『あれ、いいんだろうか』と見ていると、タヌキはその状態で、『ささ!どうぞどうぞやっちゃってください!』とばかりに親指を立てて見せてくれた。とはいえ、タヌキボディのちっちゃな手のサムズアップはほぼ、誤差である。バカの視力でやっと見えるレベルである。

 が、バカはそれにサムズアップと笑顔で返し、海斗は、『じゃ、じゃあ、早速……』と準備を始め……。

「『リプレイ』だ。場所は、タヌキの個室を中心に設定。時間は……『この個室が6番アルカナルームから出てきた時』だ!」




 ……そして、そこに『リプレイ』によって生まれた海色の光が、人の形を生み出していく。それを見て海斗は、『少なくともこの個室が『6』のアルカナルームに入ったことがあるのは間違いない』と緊張気味に呟いて……そして。




「……こいつはどういうこった?俺は、一体……?」

 四郎が、愕然として呟く。

 バカも、ぽかんとしていた。唯一、海斗だけは、少しだけこうなることが分かっていたような、そんな苦い顔をしていた。

 ……『6』のアルカナルームから出てきたのは、デュオと……デュオに担がれた、動かない四郎であった。


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― 新着の感想 ―
くっ……初手で全員帰還エンドいけそうな流れだったのに……っ! 本格的に不穏がチラついてきた……。 でも、やり直し使ったとて、この複雑なシステムをバカはちゃんと海斗に伝言ゲームできるのか!?!?
むう、どうしても前回がチラついてしまいますね。 でも魂と異能が紐ついてるならここにはいない陽くんと同じ異能が出てくるのはおかしいし……。 そもそも無敵時間だったら発動するのに触らなきゃいけないよね?だ…
ああ、やっとか?というか数話前に?巻き戻し系で完全プレイって難易度高いなぁ。
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