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頭脳と異能に筋肉で勝利するデスゲーム<Ⅱ>  作者: もちもち物質
第一章:あのバカが帰ってきた!
19/60

ゲームフェイズ2:大広間4

 7枚のカードが揃った。

 ……つまり、1人分の脱出の材料が揃った、ということになる。


「……が、特に何も起きねえな」

 ……しかし!四郎が何とも言えない顔をしている通り!8枚のカードが1つのエレベーターの中に集まっている今この状況でも!特に何も起きないのであった!




「俺は、7枚以上集めてエレベーターに乗れば、『大広間』か『アルカナルーム』以外への行き先が表示されるんじゃねえかと思ったんだがよ」

「ああ……成程。もしかしたら、その先でようやく『ダァト』が見つかるかもしれない、と……」

 海斗が頷く。タヌキも、『なるほどなるほど!』とやっている。バカもとりあえず『よく分かんないけど分かった!』と頷いておいた。よく分かってないのに!

「だが今、こうして何も起きねえ、ってところを見ると、見当が外れたか?」

 四郎は呟きながら、ぐるり、とエレベーターの中を見回す。

 だが、室内には特に変化が無い。海斗が最初に寝かされていたのであろうベッドがあって、小さな机があって、アンティークなカンテラがある。カンテラの中の蝋燭は燃え尽きてしまっているのだが、まあ、つまるところ、特に変化が無いのだ!

「……あっ!」

 だが、そんな中、タヌキが何かに気づいたように声を上げる。バカが『おお、タヌキが何かに気づいた!』と期待を込めてタヌキを見つめると……。

「そりゃそうですよ!だって今、『4人で』7枚を持っています!……もしかしたら、単に『1人が7枚同時に持っている』という状況にならないといけないのかも!」

 タヌキは、尻尾をぴこん!と立てつつ、そう言ったのだった!


「あー……カード持ってる奴がバラけてるから、ってことか?」

「はい!そういうことです!いかがです!?」

 四郎は『まあ、そりゃそうか……』と納得したらしい。海斗も、『まあ、それはそうだろうが……』と言いながら、ちら、とタヌキや四郎を見ていて……そして。

「あ、じゃあ樺島さんに集めましょう。はい」

「持っとけ」

「え!?え!?俺ェ!?」

 何故か、四郎とタヌキのカードが、バカに差し出されたのであった!

 更にそこに海斗も差し出してきたので、バカは『あわわわわわ』とカードを受け取る。

 元々バカが持っていたカードもポッケから出して、8枚揃えて、手に持ってみる。

 ……そのまま、沈黙が室内を満たした。

 何も!起きない!


「……何も起きないよぉ」

「だな。ってことは、エレベーターがどうこう、ってんじゃねえらしい、ってことか」

 四郎が『じゃあ返せ』と言ってきたので、バカは『あい』とカードを返した。タヌキも『では私のも』と手を出してきたので、こちらも『ほい』と返した。そして海斗にも魔術師のカードを返そうとしたら、海斗には『いや、お前が持っていてくれ』と言われてしまったので、『うん!』と自分のポッケにしまうことにした。

 ……すると。

「……なんかよ、樺島ぁ」

「うん?」

「お前……これで素直に返しちまうあたり、人が好すぎるんじゃねえか……?」

 四郎が、少し揶揄うような、それでいて笑みが隠しきれていない顔でそう言ってくるので……バカは、『えっ!?』とびっくりした!

「……今の、返しちゃいけないやつだったのかぁ!?」

「いや、そういうわけじゃ……」

 バカは『じゃあどういうことォ!?』と混乱する!バカには色々難しい!色々難しいのだ!

「わかんねえよぉ!そういうの俺、わかんねえよぉ!ちゃんと言ってよぉ!」

「あー、樺島さん、『平服でお越しください』って書いてあったらTシャツで行っちゃう人ですか?」

「へーふくって何ぃ!?」

「平らな服、と書きます!」

「なるほどなぁ!確かにTシャツ、平らな服だよなあ!」

「物理的な話じゃないぞ樺島!」

 ……バカにはとても難しい話なので、バカは、『というかよく考えたら立体的な服って何ぃ!?アッ!?ヘルメット!?』と気づきを得ていた。




「……ま、お前がお人好し、ってことは分かった」

 そうしてバカが『ヘルメットは平服じゃない服……』と、三回転半したことを考えていると、四郎がそんなことを言いつつ、『大広間』のボタンを押した。

「となると、後は……ま、デュオか」

「デュオさんですね!緊張しますね!うわー!緊張します!緊張!うわー!」

 エレベーターが動き出し、その中でタヌキは『緊張する!緊張する!』とそわそわしている。

 ……この後は、大広間で皆と合流して、そして……デュオに話を聞く、ということになる。

 デュオは、悪魔なのだろうか。タヌキの体を使っている以上、何も知らないということは無いだろうが……。

 ……バカは、タヌキと一緒に『俺も緊張してきた!』とそわそわすることになった。緊張とは、感染するものなのである。




 そうしてエレベーターが大広間に到着し、ドアが開く。すると……。

「ああ、『1』のチームも戻ってきたか」

 そこには既に、孔雀が居た。その横には、むつと五右衛門も居る。つまり、『5』のチームが一番乗りだったらしい。バカはちょっぴり悔しく思った!


「そっちどうだったー!?こっちはなー、なんか、頭良さそうな部屋だったから海斗がやってくれたぞぉー!」

「こっちは教皇を殺してきたわよぉー!」

「えええええええええええ!?なんかよくわかんねえけどすげえブッソウだなあ!」

 バカは『誰かを殺しちゃったのか!』とびっくりしていたが、海斗がそっと『樺島。これはな、弱肉強食だ』と教えてくれたので、『そっかぁ……』と納得した。そして、見たことのない『教皇』に対して、『成仏しろよ……』と、天使らしからぬことを思うのであった。南無。


「さて。残るは『8』のチームだけど……遅いな」

「ヤエちゃん、大丈夫かしら……」

 そうして、バカ達は全員揃って、『8』のアルカナルームに挑んだデュオと七香とヤエのチームを待つことになる。

 バカは、ひょいひょいひょこひょい、とそわそわステップを踏みながら、特に意味もなく、ヤエ達が入っていった個室があったあたりをうろうろしている。

「おい、樺島。うろつくならもう少し離れたところにしろ。僕が居るあたりまで下がってこい」

「ん?分かった!」

「個室が出てくるところに居たら、個室が出てきた時、天井で潰されるぞ」

 海斗からストップをかけられたバカは、『潰されちゃったら大変!』と、慌てて海斗の所へ戻ってきた。

 ……のだが。

「……そういやそうだな」

 それを聞いていた四郎が、はた、と気づいたような顔をする。


「エレベーターが上がってきた時、エレベーターの屋根の上に乗れる。……で、その時、エレベーターの屋根の上に居たら……天井裏に、行けるんじゃねえか?」




 ということで、『どういうことぉ!?俺、わかんねえよぉ!』と騒いだバカに、海斗からちゃんと説明があった。

「樺島。今、ここにある個室は全部、床から天井までしっかりくっついている状態だな?」

「うん!」

「だが、今、五右衛門さんの個室はこの通り、完全に床に引っ込んだ状態だ」

 バカは床を確認した。『8』のアルカナルームへ向かうためにヤエ達が使用中の個室は、しっかり床に引っ込んでいる状態だ。バカはその床の上をゴロゴロゴロ、と転がって、『引っ込んでる!』と更に確認した。

「それで、ヤエさん達が戻ってきた時、ここの床はどうなる?持ち上がって、天井にくっつくだろう?」

 ……更に、海斗の話を聞いて、バカはようやく事態を理解した!

「つまり!個室が出てくる時、個室の上に居たら!」

「そう。天井裏に繋がるんじゃないか、ということだな」

 バカはようやく事態を理解して、『おおおおー!』と歓声を上げたのだった!




「天井裏、となると……僕達が最初に居たのは恐らく、天井裏だろうな」

 海斗は天井を見上げながら、ふむ、と考える様子を見せる。

「となると、『ダァト』もそこに在るんじゃないか、と僕は思う」

「すげえ……!」

 バカは目を輝かせ、海斗に拍手を送った。ついでに、『最初に思いついたのは四郎のおっさん!』と、四郎にも拍手を送った。四郎は何とも言えない顔をしていた!


「よ、よし!んじゃあ早速、試してみようぜ!出口もそっちにあるかもしれねえもんな!」

 そしてバカは、喜び勇んでソワソワし始めた。

 もし出口が見つかったら、ひとまずタックルするつもりである。出口にバカ1人で勝てるのならば、カードの奪い合いなんてしなくて済むのだ!

「ま、待て。だったらヤエさん達に影響が無いようにしろ!他の個室でやれ!」

「だったら俺の個室、使えば?繋がってるアルカナルームは4つしか無いし、全部クリア済みだし。『破壊した腕輪も数字扱いになるのか』っていう証明もできるし」

「な、なんかよくわかんねえけどいいぜ!やろうぜ!」

 ……と、やる気のバカに、サポートの頭脳役が2人やってきてくれたので、バカは元気に準備運動を始めた。そのせいで床は凹んだ。海斗に『凹ませるな!』と怒られたので、バカはしゅんとして、それ以降は大人しい準備運動にした。


 更に、準備運動を終えたバカは、孔雀が腕輪の準備をしているのを横目に、天井を見上げて……。

「天井……エレベーターがぶつかる前に穴とか開けといた方が、スムーズかなあ……」

 ……余計なことをまた思いついた!


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― 新着の感想 ―
親方来る前に壊れそう。
エレベーターの天井に乗る話が出た時、穴開けとかないと潰されるかもと思った瞬間バカくんが同じこと言い始めたので私は少し賢いと思ってましたが違ってたかもしれません。
平服の逆なんで……ヘルメットは立服ということでよろしいでしょうか!親方はご立腹になられると思いますが……!
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