不思議な少女
主人公の男の名前は木村玄斗といいます
これは自分に酔ったあるテロリストの話。
自分に酔ってないとやってられなくなったんだ。
中学の頃、いや高校生ぐらいまでは思ってたかもしれない。自分は全部うまく行ってまるでラノベの主人公みたいなそんな人生を歩むと思っていたんだ。
でも現実はそんなに甘くなかった。高校では問題なかったが、社会人になって、舐めて生きてきた俺にはサラリーマンの仕事なんてできるはずがなかった。
ミスをしては上司に怒鳴られ、同期との昇格争いにも負け、案の定すぐやめて他の仕事を転々としたあと、俺は無職になった。
まるで自分が悲劇のヒロインになったかのような気分だったね。
そして、そんな状況に追い込まれた人間の思考はいつの時代だって常軌を逸するものになる。
そう、俺は俺をこんな状況になるまで追い込んだこの世の中に、苛立ちを感じるようになったんだ。要はね俺はこの世界を、ぶっ壊してやろうと思ったのさ。
イカれてるだろ?本当笑えるよな。
そして、俺は着実と世界をぶっ壊す計画を立てている中である少女と出会うことになるんだ。
そして、これから話すのはちょっと前の話になる。
家のチャイムの音で目が覚める。
頭痛がひどい、昨日飲みすぎたのだろうか。
気分は最悪だが玄関に向かった。
宅急便だろうかと思いながら開けた扉の先にいたのは緑の服を着た配達員ではなくボロボロな制服を着た中学生ぐらいの女子だった。
部屋でも間違えたのだろうか?そんな事を考えている俺に少女は口を開く。
「ここに住まわせてくれませんか」
口にしたのはたった一言だった。
動揺する俺に少女は下を向き、手を握りしめていた。
「すいません」
しばらく言葉も発せれずにいると少女はそういって去っていった。
何がなんだか理解できなかったがとりあえずドアを閉めて、リビングに戻った。
洗面所に行って顔を洗い、歯を磨いて、着替える。
再びリビングに戻ってベットに横たわる。
今起きたことを整理すると見ず知らずのボロボロな服を着た未成年の女子がテロリストになろうとしてる俺の部屋に住まわせて欲しいと願ってきた…。
俺は頭を抱えた。今度は酒じゃない。
しばらくして、考えるのをやめて外の空気を吸いに行くことにした。
やはりと言うか、外に出ると見た顔があった。さっきの少女だ。アパートの階段の近くで体育座りしてうずくまっていた。
「一体どうしたんだ?」
俺の問いかけに少女は顔を上げる。
「さっきは…すいませんでした」
「いや、それは別にいいんだが…」
「近所の人じゃないだろ?」
「…はい」
「家は?」
彼女はまた下を向く。
俺は再び彼女をよく観察してから口を開いた。
「部屋、住まわせてやってもいいぞ」
何を思ったのか、そう口にした。
彼女はまた顔を上げた。
「いいんですか…?」
「そっちが言ったことだろ?」
「それは…そうなんですが…」
「私、汚いですし…」
俺は少し笑って
「大丈夫だよ俺もだ」
そう言った。
こうしてテロリストの俺とホームレスの少女との不思議な生活が始まるのだった。
最近は一体世の中の小説家さんの頭の中はどうなっているのか頭をかち割って見てみたいとずっと思っています。