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お題シリーズ6

だって悲しかった

作者: リィズ・ブランディシュカ



 涙を流す機能なんて、


 自分には、そんなものがなくなったから。


 だから余計に、まぶしく見えるんだろう。






 放課になったから、隣の席の女の子に慣れた手つきでハンカチをわたす。


「ずびっ、あっありがとう」


 この子、よく泣くな。


 涙もろい性格なんだろう。


 昔の戦争の事、歴史の授業の中で、先生が横道にそれた。


 悲恋の話に及んで、そこから隣の席の女の子が涙し始めた。


 最初はおどろいたけど、もうなれたもの。


 今日ハンカチ持ってたっけ?


 二、三枚あったよな。


 なんてこの後のことを考え始めた。


 彼女は、ほんとうによく泣くんだ。


 国語の授業で、教科書の話でなく。


 友達のことを耳にしてなく。


 ニュースや新聞のちょっとした出来事でなく。


 どうしてそんなに素直に感情を表せるのだろう。


 なく姿なんて弱い姿を見せているようなものなのに。






 脳裏によみがえるのは、転校前の日常。

 不良の先輩にからまれてる自分の日常。


「ははっ、こいつまた泣いてやがる! だっせ」


 あの出来事が僕から涙を奪った。


 忘れられそうにないな。






「ううっ、悲しいよ。なんてかわいそうな女優さん」


 だから、僕は今日も隣の席の女の子にハンカチを差し出す。


 ニュースに出てくる有名人なんて赤の他人なのにさ。


 ほんと不思議だな。


 いつか「なんで人前でそんなに泣くことができるの?」って聞いてみたいよ。



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