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66話 その2

 だいぶ頑張ってくれているみたいなので、私はアヴィさんの頭を撫でたりしながらごはんを食べていきます。そんなことをしていると、足をぱたぱたさせて喜ぶオルさんのことを撫でながら、レンさんが今日のことをお話してきました。……因みに、夜空さんとルアさんは美味しいごはんを夢中で食べています。


「ユノ、放課後のことだけど、今日は学長と面談があるから一緒には帰れないと思う」

「……そうですか。なら私はアヴィさんと一緒に帰ってみますね」

「ああ、悪いな」

「いえ、大丈夫です。アヴィさんと一緒でも嬉しいです」

「――なんですかそれ! 可愛すぎます!!」


 そう言い、アヴィさんがたくさんギュッとしてくるのです。ホントはレンさんも一緒が良かったのですけど、アヴィさんがいてくれるだけでもいい感じなので、私はそのまま頷いておきました。




 それからまったりもちもちなパンのお話をしたあとは、ごはんを食べ終えてみんなで後片付けなどを済ませました。


「レンさん、行ってらっしゃい」

「ああ、行ってくる」


 レンさんはそう言いつつ、私の体を抱き寄せてきます。


「ユノ、今日も無理しちゃダメだぞ?」

「えと、大丈夫です。……あの、キスしたいです」

「……俺もだ」


 そう言うと、レンさんは少し私のことを見つめてから、優しく唇を重ねてきました。

 ……ふふっ、……レンさん。……大好きです。

 私もレンさんのことをムギュっとしながらキスをしていたのですけど、そんな幸せな時間はまたあっという間に終わってしまいます。

 レンさんは私から口を離すと、私の頭をぽんぽんっとして言ってくるのです。


「またあとでな、ユノ」

「……はい、レンさん。またねです」


 そう言って見つめていると、レンさんは私に「愛してる」と言ってくれたあとに、もう一度ギュッとしてきてから、寮の廊下に出てしまいました。なんだか名残惜しいのですけど、レンさんは優しいので私も仕方なく寝室に戻ってみます。


「オルさん、夜空さん、ルアさん。まだ眠くありませんか?」

「はい、眠くないです」

「……ふかふかで遊んでた」

「……我もです」

「そうですか。なら今日は一緒に登校しましょうね。ノエルさんたちが待ってます」

「分かりました」

「……頑張る」

「すごいです」


 三人とも元気みたいなので、私はそのままベッドに腰を下ろすと優しく撫でてあげるのです。


「主様! 我が制服を着させてあげますね!」


 アヴィさんはそんなことを言うと、昨日私に羽織らせてくれた服を軽く剥がし、床から制服を拾って着替えさせてくれました。それを見てオルさんが制服姿に変わると、夜空さんとルアさんも頑張って着替えてくれます。


「マスター、見てください」

「着替えられて偉いですね」

「……私も着替えた」

「はい、夜空さんもすごいです。ルアさんも似合ってます」


 可愛いオルさんたちにそうお話してみると、三人とも満足してくれたのか微笑んでくれました。

 そしてアヴィさんと一緒に三人のことを抱き締めたりして過ごしていると、ちょうどいい感じの時間になってきたのでみんなで玄関に行きます。


「……靴を履く」

「私も履きます」


 いい子なお二人がそう言いながら靴を作って履くと、ルアさんも私のことを見てきたあとに自分で作ってみるのです。


「……我もできました」

「そうですね。いい感じです」

「――主様ぁ! 天使です!! 可愛すぎます!!」

「はい、とってもいい子です」


 アヴィさんと私もそんな三人のことを見守りながら靴を履いて、手を繋いでから玄関を出てみました。夜空さんとルアさんが私と手を繋いでいて、オルさんがアヴィさんと手を繋いでいます。

 廊下では今日もロッドさんが丁寧に頭を下げてくるので、私は「おはようございます」と言ってお話を続けます。


「あの、ロッドさん。聞いてください。……実は、『集い』と『教団』の方が学院からいなくなったんです。なので、もうそんなに護衛を頑張ってもらう必要はありません」

「左様でございますか。姫様の身の安全が一層高まったようで嬉しく存じます。ですが、『神徒』含め危険因子はまだ存在しておりますので、今後ともこれまで同様にお守りさせていただきます」


 そう言うロッドさんは、相変わらず澄ました表情をしています。私もそのまま見つめていたのですけど、なんとなくなにも言ってくれなさそうなので、諦めて肩を落としてみました。……ただ、ロッドさんの言うように『神徒』の危険はまだ残っています。これまでの三回とも全てが大会期間中だったので、今この瞬間にやって来るようなことはきっとないと思いますけど、それでも……もし来られてしまったら私ではどうしようもありません。……アムネシアさんやメルティアさんに言葉を送ったりして助けを呼ぶくらいしかできることがありませんからね……。

 そんなことを考えていると、夜空さんとルアさんが私のことをじっと見つめてきていました。とってもいい子なので少し微笑んでみると、お二人は「……お散歩楽しい」「……お外です」と言って嬉しそうにします。まだ寮の中ですけど、かなりご機嫌みたいです。


「夜空さんとルアさんはいい子です」

「そうですね。オルさんもとってもいい子です」

「……マスターは優しいです」


 オルさんもそう言って微笑んでくれると、アヴィさんから手を離して私にギュッと抱き付いてきました。アヴィさんは「えーん! 我は悲しいです! 主様に慰めてもらいます!」と言って激しい感じだったので、私は「手が塞がってるので無理です」と言っておいたのです。

 そしてしゅんとしてしまったアヴィさんのことをオルさんたちが撫でたりしていると、ノエルさんたちが見えてきました。


「ユノちゃん! ……あれ? 今日はオルちゃんたちも一緒です!」

「ホントじゃない。昨日言ったから連れてきてくれたのね」

「三人ともユノさんに懐いて可愛いわ」

「ホントですね……!」


 早速喜んでくれる三人の元に行くと、ノエルさんとシエラさんがすぐにオルさんたちのことをギュッとしたり撫でたりし始めます。そんな中、とりあえず私はユッカさんのことを見てみました。

 ……えと、ユッカさんも大丈夫そうですね。いつも通りの優しい感じです。


「ユノさん、どうかしたの?」

「……いえ、なんでもありません。ユッカさんも一緒に課外学習に行くんです」


 そう言ってみると、ユッカさんは私に微笑んでくれます。そのあとはノエルさんたちと同じですぐにオルさんたちに引き寄せられてしまったのですけど、たくさん撫でて満足してくれているみたいなので良かったです。

 ……そういえば、ユッカさんは昨日の『集い』との戦いの時も、幹部のグレイスさんが気付けないくらいに気配を消すことができていましたね。そんなことができるくらいに強いので、ユッカさんがいてくれればノエルさんとシエラさんも安全ですね。

 そんなことを思っていると、アヴィさんが私のほっぺをつついてきました。


「……主様? ユッカは学院にいる『教団』の幹部の中では最弱ですよ……!」


 小さな声でそんなことを言ってきたので、私は少し首を傾げてみます。

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