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tears (涙)

――――


 モートは少女が裏路地を駆け抜けて、ノブレス・オブリージュ美術館方面へ走って行った後、即座に正面の二体のゾンビの首を狩り、その後ろのゾンビの胴を返す大鎌で斜めに狩った。


 そして、右側にくるりと身体を一回転させてから、銀の大鎌で大振りに裏路地の奥のゾンビの群れを斜めに狩り込んだ。


 地中から更に這い出したゾンビの群れへ、銀の大鎌で全て首を円を描くように狩ると、雪の積もる地面には不死者の汚れた血の海と首の山ができていた。


 裏路地の奥からドタドタと複数の男の走る音が聞こえてくる。武装した男たちだった。モートの姿を見つけると、手に持った銃やトンプソンマシンガンを撃ってきた。銃弾の雨あられがモートの身体を通り抜けていく。


 モートは男たちに向かって右腕をヒュッと真横に振った。


 全員の男たちの首が瞬時にふっ飛んだ。飛んだ首が至る所の壁に音を立ててぶち当たっていく。男たちの首を失った胴体からおびただしい鮮血が巻き上がった。

 

「今日の収穫も凄いな」


 モートはそう呟き。ノブレス・オブリージュ美術館の方へと走って行った少女が、無事に美術館へ辿り着いていることを祈った。モートはその少女には聖痕があると確信していた。


――――


 アンリー・サルギスは、ノブレス・オブリージュ美術館まで命からがら走っていた。呼吸がとても苦しかったが、アンリーは内心これでもう安心だと思いたかった。


 何故なら。あの、喉から手が出るほど欲しかった一枚の絵画から本当に死神がでてきたのだと思ったからだ。


 ドタドタと大きな足音を鳴らして、後ろから銃を持った非常にガラの悪い男たちが追ってきても、アンリーは息を切らせて全速力でノブレス・オブリージュ美術館へと一直線に突っ走た。突然、アンリーの通った歩道にさっきの銀髪の男が現れた。


「な、なんだてめえはー!」

「ひっこんで……うげっ!」

「ひっ!!」


 ザンッ!

 鈍い音と共に、ガラの悪い男たちの首が次々とあらぬ方向へ飛んでいく。


 シンシンと雪の降る街は通行人の悲鳴や、辺りに飛び散る血液で溢れ返った。ガラの悪い男たちは狂気の目で目標を変えざるを得ず。銀髪の男を囲んで各々の銃を向ける。だが、銀髪の男が銀の大鎌を構えて男たちに飛び込むと、首と胴体が繋がっているものは一人もいなくなった。


 アンリー・サルギスは、ガラの悪い男たちの血液で赤くなった雪の積もる歩道で、何度も足を滑らせては転んだ。突然、激しい銃声が後ろからした。そして、銃弾は、近くの店のショーウインドーをバラバラに砕いた。振り向くと、銀髪の男が狩り損ねた一人の男がトンプソンマシンガンを撃っていたのだ。


 歩道の脇の電信柱で新聞を読んでいた一人の金髪の男がアンリー・サルギスの傍へ寄って来た。その男が、アンリーの傍に微笑みながら寄ると。すると、不思議とけたたましいトンプソンマシンガンの発砲音はするのに、アンリー・サルギスには一発も弾が当たらなくなった。


「もう大丈夫ですよ。探しましたよ。あなたがアンリー・サルギスさんですね。決して銃弾はあなたには当たりません。あ、これは失礼しました。私はオーゼム・バーマインタムという者です。それと、ノブレス・オブリージュ美術館でヘレンさんがお待ちですよ」


 礼儀正しいその男は、何故か神々しい雰囲気を醸し出している。さっきの銀髪の男は後ろで、こちらに手を振っていた。


 掠ることすらもない嵐のような銃弾が飛ぶ中。真っ白な雪の積もる歩道をしばらく駆けていると、アンリー・サルギスの目の前にやっとノブレス・オブリージュ美術館の正門が見えてきた。


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