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[改稿版] 白黒神の勇者召喚陣  作者: 三価種
2章 アークライン神聖国
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41話 作戦準備

「ひゃっほーい!起きてる?ブルンナが来たよー!」

「あぁ、起きてるよ」

「ですが、ちょっと待ってくださいね」

「りょーかい!」


 返事はしっかりしてるんだよな……。ま、入ってこないだろうけどさ。



 今は1の鐘(6時)をちょっと過ぎたとこ。うん。人を訪ねるには明らかに早い時間。懸念事項を潰せるから嬉しいんだろうけど、もうちょっと配慮してほしい。



 こちとら起きたばっかなのに。もう! 眠い頭を叩き起こして、寝間着から着替える。四季と相互に身だしなみチェック。アイリの身だしなみも同様に。



 うん。大丈夫。蕾は……わかんないけど、まぁ、よし。寝室でお留守番確定だしね。



「おっはよー!ついにこの日が来たねー!」


 ソファに座って背もたれからこっちを見てるブルンナから声が飛んで来る。別に人のモノだからいいけど、凹むよ?



「来たねと言われましても、私達からすれば、確証得た次の日に速攻かけようってだけですので、そんな感慨はないですよ?」

「むー。乗ってくれてもいいと思うんだけど」

「そうだね。すごいすごーい」

「わぁ、棒読み」


 文句が多いな。俺もアイリも四季と同じなんだから諦めて?



「ご飯くらいは食べさせてくれよ?」

「もちもち。てか、ブルンナも食べてないから、ここで食べる!」


 おー。こっちに了承取る素振りも無かったのにそんな発言が出てくるのね。構わないけどさ。



「俺ら余分にご飯作ってとかホテルの人に言ってないぞ?」

「知ってる。でも、昨日のうちに言ってるのだ!」


 ならこっちにも昨日のうちに言って? あ、それより、



「ブルンナって皇族なんでしょ?ちゃんと言ってきた?」

「それは勿論!ご飯を無駄にするのは駄目だからね!」


 ならまぁ、よしとしよう。ま、この子の性格的に「ご飯は外で食べてくるねー!」だけで、肝心のどこに行くとか一言も言ってないんだろうけど。



 ブルンナの身内のストレスが心配になる。



「というわけで、ご飯を食べよー!ドーラ!ご飯!」


 ブルンナの声で奥にあるエレベーターが上昇してくる。…何でこの部屋から1階まで声が通るんだろ。



「おはようございます。皆様。本日は姫の我が儘にお付き合いくださりまして、誠にありがとうございます」


 戸が開き切った途端、美しい所作でお辞儀をするドーラさん。どことなく謝りなれておられるような感じがあるのは気のせいだろうか。



 もしそうだとしたら、ブルンナのせい……。



「なんか三人にくっそ失礼なこと考えられてるような気がする!」

「「正解(正解です)」」

「ふぁっ!?」


 肯定されないとでも思った? 甘いよ。砂糖を煮詰めて作ったシロップより甘い。これまで、なれ合いみたいな付き合いしてんのに何で言わないと思うんだ。



「配膳手伝わせてください」

「いえ、皆様はそのままで。皆様に手伝われてしまいますと、姫が動きかねないので……」


 了解です。メイドさん的に主に動かれるのは嫌ですよね。



「じゃ、ブルンナ。聞き取りの結果はどうだったの?」

「流すの!?」

「うん」


 だって、ブルンナの苦情に興味ないし。



「ブルンナちゃん。習君が聞いてたあいつらの移動経路はどうだったのです?」

「あっはい」


 四季の声に何かを感じたのか、ちょっとだけ怖がるような顔をしたブルンナ。でも、黙っててもいいことないからか、するすると喋りだす。



「普通に見たってさ」


 なんだ。見たのか。



「複数人?」

「うん。ちゃんと教会にまで帰ったって」


 へぇ……。てことは、俺がたまたま会わなかっただけか。一応、道は複数あるわけだし、そういうこともあるといえばあるか。



「これで全てです。では、皆様、返却はいつも通りそのシュートからお願いいたします。……お望みならば、片付けまで我々がしますが」

「いえ。大丈夫です。ありがとうございます」

「「ありがとうございます」」


 俺らが返事するとドーラさんはペコっとお辞儀をして下に戻って行った。やろうか? って言ってくださったのは、俺らが勇者って言ったからだろうね。もとから割とよかった待遇がさらに良くなる気配。



 それはいいか。いただきます。さっさとご飯をお腹に叩き込もう。この後、運動()をすることになるから、ちゃんと噛んで食べないと。出来るだけ時間を置きたいところだが……。



「ブルンナ。騎士団の選抜は終わったのか?」

「もち。夜中に始めたけど、ちゃんと朝までには終わったよ」


 いっぱい連れてきてって言ったのに、よく終わったな…。



「その時に気になることはありませんでした?」

「予想よりかは浸透されてなかったね」


 へぇ。それは……良いことなんだろうか? 一瞬、良いかと思ったけど、これ、普通に何人かやられてるってことだよな?



「てか、予想してたなら対策しておくべきだったんじゃない?」

「仕方ないじゃん!洗脳って言葉を聞いて初めて、「あ。やらなきゃ」ってなったんだよ!?」


 それなら仕方ない……ってなるわけないでしょ。



「洗脳って割と基本的だよ?魔法がある世界ならうち(地球)なんかよりよっぽどやりやすいはず。その辺、気を付けておくべきだったと思うんだけど……」

「それはそうなんだけど、今回の魔法はかなり悪辣なやつで、簡単に検知できるようなのには引っかからなかったの!それに、洗脳されて兵士が失踪したとか、そういうのは一切なかったもん!」


 防御の上をいく兵器か……。それなら仕方ない面もあるか。常に全力なんて出来ないだろうし。そもそもそのレベルの洗脳を明らかにしようとすると手間かかるんだろうし……。いやでも、



「ですが、選定は既に済んだのでしょう?一日も経たずに終わっていますが?」

「うっぐ。でも、それするとお姉ちゃんが1週間くらい使い物にならなくなるから……」


 四季の疑問は尤もだけど、答えもまた納得できる。1週間はキツイ。姉ってことは教皇様。そんな人が1週間駄目です! はねぇ…。



「…洗脳されてた人の傾向分析は?」

「特にそれらしいのはなかったよ」

「本当ですか?明らかに洗脳の主犯はチヌカでしょう?貴族街にとどまっている人と平民街にまで出て行く人。その辺りで差異は出ていると思うのですが?」


 だよね。貴族街だと新興宗教とのかかわりは平民街より下がるはずだから、違いは出るはずだけど。



「騎士クラスなら普通に平民街に行くからねー。そこで区切るってのは無理だね」

「そっか。なら、俺が受け取ってしまったパンフみたいなのは見つかってないの?」

「あったよ。あったけど……。大聖堂の結界に触れた時点で無害化されたのか、それが変ってことはなかったよ」


 ということは、



「大聖堂の結界はあの新興宗教が仕掛けた洗脳にかかると駄目だけど、パンフくらいなら弾けるってこと?」

「そうそう」


 ということは、貴族街にパンフはない? いや、



「ブルンナちゃん。私達が今日、平民街に行ったルートって、誰でも使えますか?」

「その道は無理だよ。でも、見てもらった通り、途中で宿の買い出しの道と合流するよ。そっからは使える」

「その道って、どっかで大聖堂の結界に触れることってある?」

「触れるよ。てか、宿の防衛機構がそれ」


 なら、パンフは全部、無力化されてるかな? 他に平民街に行くルートなんて大聖堂経由しかないだろうから。



「あ。忘れないうちに武器渡しとくね!」

「「唐突(です)ね」」


 昨日、見繕ってくれるとは言ってたけどさ。もう見つかったのね。



「というわけで、これ!どーぞ!」

「待って。まだご飯食べてるから」

「はっ。確かに。食べよー!」


 切り替えが早い。けど、この割とノリで生きてる感じ、心配になってくる。百引(ひゃくび)さんとか有宮(ありみや)さんも似た感じだけど、あの子らはダメな時はダメって判断してくれるからなぁ…。あぁでも、今まで問題になってないってことは、その辺わきまえてるのかな? ならいいんだけど。



「なんか二人がお姉ちゃんみたいな目をしてる!?」

「駄目な時といい時の判断はつけてね?」

「騎士の皆さんも困りますから……」


 ここに来たときにあった騎士さんみたいに、探し回る羽目になるから。



「え。まさか、脱走の話してる?そ、それは訓練も兼ねてるから……。洗脳されてる騎士が追いかけ隊の中に偏ってるとかもなかったし…」


 震え声じゃん。意味ある行動で、お姉ちゃん(教皇さん)とかが了解してるならいい……ん? 追いかけ隊の中に洗脳されてる人が集中してなくてよかった? それって、追いかけてた騎士の中に洗脳されてた人はいるってことだよな?



「ブルンナ。洗脳されてた騎士って俺らが来た日にあった騎士さんか?」

「貴族街に入った時に会った騎士のこと?うん。その人もそうだよ」


 となると、俺らと一緒にいるアイリは目撃されているはず。赤目を見られたわけではないだろうが…。長柄の武器を持ってることはバレてるだろう。うん。マズいかもしれない。



「どったの?二人して怖い顔してるけど…?」

「その人に俺ら全員見られてる。長柄の武器を持っていて、俺らよりも小さいから無力に見えるアイリを誘拐するために強襲しに来るかもしれない」

「考えすぎじゃない?」


 ……だといいんだが。さて、ご馳走様。四季もちょうど食べ終わったみたいだが、年少組がまだか。



「焦らなくていいから」

「ですです。ま、準備はしておきますが」


 といっても、身だしなみは整えてるし、紙も昨日のうちに補充しているから、今やらなきゃ駄目なことってのはそうそうないんだが。



「それなら、武器渡すね!これ、どーぞ!変な祝福かかってる二対の武器だけど、二人なら大丈夫なはず!」


 嫌な予感しかしないんだけど? でも、見た目に嫌な感じはない。むしろおしゃれ。対って言ってるのに、×みたいな形で一体化しているのが違和感しかないが……。それを除けば、煤すらはじきそうな気高い白と、何物にも染められなさそうな深い黒。その二色で鞘と持ち手が作られている。



 豪勢な装飾はついていないが、シンプルなのに気品がある。



「これ、どうやって使うの?」

「二人そろって、柄を掴んで同時に引っこ抜いて」


 ×になってるのに、いけるのか? やれっていうなら大丈夫なんだろうが。ご飯を食べている二人に見守られながら、机の上に置いてある剣の柄に手をやる。



 ……あ。大丈夫そう。四季と目を合わせて、同時に引っこ抜く。



 融合しているように見えたのに、剣は一切の抵抗なくするりと抜けると、鞘も二つに分離した。



「長さ的には片手剣か?」

「片手剣にはちょっと短い気はしますね。私のファイルと合わせて使う分にはちょうどよさげですが」


 ファイルを盾にして振れるものね。俺にも丁度いいか? ペンより長いが、片手で持てる。双剣みたいに扱うことは可能だろう。



「「何で(なぜ)ブルンナ(ブルンナちゃん)は間抜けな顔してる(んですか)?」」

「いや、わかってたけど、本当に抜けるんだなって。仲いいねー」


 何故そういう結論になるの? 



「あ。それはいっか。えっとね、それはシャイツァーの次に硬いってされてる『シャリミネ』って鉱石で出来てるから、欠けるとか折れるとか心配しなくていいよ」


 それは嬉しい。雑な扱いしてもいいってことだな。



「ただ、そのくせたまーにお手入れが必要なの。めんどくはないんだけどね。ただ、二人そろって同時に拭うなり、研ぐなり動作をすればいいだけだし…。あ。同時の基準は悪いけど、知らないよ?そもそも抜けねぇもの」

「手入れをしないとどうなるの?」

「機嫌損ねて、抜けなくなる」


 機嫌て。人間か? ま、たまにしてあげるとしますかね。



「他に注意事項は?」

「えっと、抜けたってことは今、認められたってことだけど、認められなくなったらまた戻る……と思う?」


 何故に疑問形? あぁ。そもそも抜けたことがないからか。



「…認められる条件って?」

「使用者二人の仲が誰から見てもいいって感じでいいこと。名前が『比翼』だったり、別称が『ラブラブに挟まる糞』だったりすることで察して」


 別称ってそれ、蔑称では? そして、そこはかとなく漂う勇者由来感。



「「ご馳走様」」


 お、食べ終わったのか。



「じゃ、早速、騎士団に動いてもらえるように声かけてくるぜぃ!準備よろしく!」


 …返事する前に消えたし。せっかちだな……。



「四季.ちょっと付き合って」

「望むところです」


 部屋が広いから、軽く動くくらいなら動ける。もらったばかりの剣を使って、軽く打ちあう。



 柄を持った時点で、手になじむとは思っていたが、マジで馴染む。滑りそうな予感が全くしない。ガッっとぶつけ合っても全く壊れる気配がない。手に反動はくるが、それはぶつけ方が悪いから。



「…もういいの?2回くらいしかしてないけど」

「うん。後は間合いだけ。それが一番難しいけど、何とかしようと思うとちょっと時間がかかりすぎるしね」

「体力を消費するだけになりかねませんしね」


 四季はどうか知らないが、俺は武術習ってた。その中で、何でかいろんな長さの武器を練習したことはあるから、その辺を掘り起こせばいけるはず。



 さて、待ってる間、外でも見てるか。敵が来たら分かるように。まぁ、見えるのは貴族街だけ……じゃなさげ? あれ? 普通に平民街も見えるんだが。



「アイリ。この宿って平民街も見えるの?」

「…そのはず。ルキィ様が『この国一番の宿の最もよい部屋だけは、平民街が見えるそうです。なんでも、この国では貴族だけでなく、平民もしっかりしているということを見てほしい!ということらしいです』って言ってたし」


 へぇ……。



「何故、この部屋だけなのです?」

「…わたしが聞いて、その時の答えだけど、『その宿の外壁の一部は、貴族街と平民街を隔てる壁と一体化しています。平民街側も大聖堂前だけあって、騎士団が駐屯しているので治安はいいです。しかし、貴族街に比べ、外から何かされない可能性も否定できません。そこで、大聖堂の結界を宿にまで伸ばして守っているのです。しかし、全部守ってもいいですが、それだと特別感がなくなりますよね?特別感を出して、自意識高めな人に満足してもらおう!という魂胆らしいです』…だって」


 コスパとかじゃなくて特別感のためか。それなら納得。



 繋がってると夜にうるさい弊害が生まれるかもだが、大聖堂前だからその辺は大丈夫みたいだしな。



 っと、来たか。



「あっちの方が早かったみたいだな」

「ですね。アイリちゃんは念のため、部屋の奥に。いつでも戦えるように戦う準備をしておいてください」


 黒い服を着た集団がこっちに向かってきてる。あれがこっちに用がないなんてことはないだろう。

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