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[改稿版] 白黒神の勇者召喚陣  作者: 三価種
2章 アークライン神聖国
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40話 依頼

「四季、今、あいつらを潰さないとって言った?」

「はい。間違いなく、あいつらは潰さないといけません」


 誤解の余地がないよう、はっきりと意志のこもった目で断言する四季。



「俺も同意。でも、その理由は?」

「では、借りてた部屋に戻りましょう」


 あっ……だね。これ以上の深い話をこんなとこで出来ない。



「了解。ブルンナ、人払いを頼む」

「もっちろん!」


 ありがと。さっさと戻って座る。



「飲み物とかいる?」

「習君が帰ってきた時に飲めるようにと用意してあるので、結構です」

「じゃあ、ブルンナの分だけ」

「も、ありますよ?」

「お。ひゃっほーい!ありがと!」


 一切疑わずに四季の差し出したお茶を飲むブルンナ。毒殺とかされても知らないぞ? …こんな状況じゃしないだろうと思ってるのだろうが。



「習君も飲んでくださいね?」

「うん、ありがとう。で、どっちから話す?」


 四季から話す流れになっていたけれど、俺の話も気になるだろうし…。



「流れ的に私ですし、端的に言うと秒で終わりますので、私から。白いのの教祖はチヌカってことです」

「やっぱり?それは潰さないと駄目だ。俺の方も、教会は両方ともチヌカが関わってるって確信した」


 重要なことの共有は終わった。ここからは細部を詰めていかないと。



「四季が白いのがチヌカって分かった理由は?」

「待っている間にですね、黒と白の信者が近くで言い争いをしていたんですよ」


 ギルドのそばでか……。目を付けられてるの分かってるはずなのに、何考えてんだろうな。うん?



「それを見るために近づいたとかないよね!?」

「まさか。習君が敵地に行ってるのに、私まで敵に等しい奴らの前に身を曝してどうするんですか」


 ちょっと呆れたように言う四季。



「確かに。話の腰を折ってごめん」

「いえ、心配してくださっているのはわかっていますから。ありがとうございます」


 少しだけ頬を赤くして言う四季。こういう時でなければ、見とれていられるのに。



「私が待っている時、外から口論する声が聞こえてきまして、内容的にあいつらだと悟ったので、屋上に行ったんです。アイリちゃんと一緒に」


 アイリと一緒かー。護衛としては最良だが、あいつらにあんま見せたくはないんだが…。



「…隠れてたから安心して」


 表情からバレたか。アイリがそう言うなら大丈夫なはず。



「そうして、上から眺めていたんです。結構、下にも野次馬がいたので、こちらはバレていないとは思います。言い争いとしてはまぁ、低レベルでしたね。いえ、一応、黒い方は相手側の神……チヌリトリカを侮辱することはしなかったのですが、白い方は駄目ですね。思いっきり『出来損ない』だの『役立たず』だの言ってましたよ」

「それは確かに黒い方の神……『エルモンツィ』への言葉?」

「はい。後ろに神とついていましたので」


 宗教戦争で相手の神を罵倒すると決着がつかなくなるんだがなぁ……。その点、黒い方がまだ理知的ってどうなってんだ。



「一応、『死にたがり共が』とかの信者に対する罵倒もありましたよ?」

「四季、フォローになってない」

「ですよねー」


 そもそもフォローする意味すらないが。



「黒い方の罵倒は?」

「『自分の意志を持てない腰抜け』だの『間抜け』だの『馬鹿』でしたね」


 小学生か? 罵倒の語彙がなさすぎる……。



 だが、白も黒も気になる罵倒がある。白いのは自分の意志を持てない腰抜け……か。



 なんとなく白い教会で見たシスターもそういう感じがなかったとも言えない。…これは後で言おうか。



「そうやって、罵倒をしあっていたらですね、白い方の教祖がやってきて、白い方を鎮めて帰って行ったんです。相手のいなくなった黒い方も自然解散でしたね。……同じ方に帰って行ったのにはさすがにちょっと笑いましたが」


 それは気まずそうだ。……うん?



「帰ったのって教会の方?」

「ですよ?最短経路です」


 それは変な気がする。



「どうしました?」

「俺、会ってないよ。その集団に。四季の言ってる教祖が帰ったタイミングが分からないけど、いずれのタイミングであれ俺と鉢合わせしないってのはまずありえない。見えなくなるまでのルートが最短経路ならなおさらに」


 だって、このギルドからはどこかで1回でも曲がれば、すぐに教会に行けるもの。



「偶然という可能性もありますが……、一応、最悪は考えておきましょうか」

「だね」


 他に隠れ家みたいなものを持ってるとか、瞬間移動できるとか、そういう可能性を。あ、でも、ちゃんと歩いて教会まで帰ったかの聞き取り調査は出来るな。後で頼んどこう。それくらいの時間はあるはずだ。



「今ので私の方は以上ですね。習君のほうは?」

「教会の白黒にいつもの汚いのが混じってるのと、このパンフ」


 机の上に置くと、四季は触れようともせずに口を開いた。



「これは安全なやつですか?」

「今はね。貰った時は明らかにやばいのがついてた。ブルンナも視認してないから、見たのは俺だけだが……」

「そんなやばいの受け取ったんですか!?」


 四季はちょっと怒ったような、それでいて心配そうな顔で叫ぶ。



「ほぼ押し付けられたから……。だが、ちょっと軽率だった。ごめん」

「っ、いえ。私こそ叫んでごめんなさい。ですが……いえ、これ以上は流れ的にどうしようもなかったとしかなりませんね。ですが、ほんと、無茶しないでくださいよ?心配するので……」

「うん。わかってる。ごめん」


 四季の申し訳なさそうな、それでいて本当に心配してくれているような、そんな気持ちがごちゃ混ぜになった顔を見るのが辛い。



 だから、引きずらない。四季の言うように今度から気を付けることにしよう。そうじゃないと進まない。



「そのいかにもヤバそうなやつをブルンナが調べられるって言ってくれたから調べてもらった。そしたら、なんかそのヤバそうなのが消えた。そんなところ。やばそうなのってのはいつものね」

「なるほどです」


 だから、潰さないと駄目だと思う。まぁ、四季もさっきからそう言ってるから異論はないはず。



「アイリはどう思う?」

「…任せる」


 だよねー。もうちょっと意見を言ってくれてもいいのだけど……。



「では、潰すのは確定としまして……、アイリちゃん。今までの流れで何か気になるところはありますか?」


 気になるところがあるなら、そこを明らかにしておかないとな。何かで躓いても困る。遠慮なく言って欲しい。



「…んー。特にない?」


 なるほど。これは遠慮してるとかじゃなくて、本当に特になさそうだな。



「待って!アイリがなくてもブルンナがあるよ!潰す潰すって言ってるけど、どうやって潰すのさ!?確かに潰してってブルンナ達が言ってるけど、誰にでもわかる証拠はないんだよ!?何でもない(・・・・・)二人の言葉だけじゃ証拠にならないんだからね!」


 そんなビシッと指までさして言ってくれなくても、知ってるよブルンナ。でも、それを言ってくれたおかげで、わざわざ口に出さなくても3人の思いが揃う。



 四季……はOK。アイリも……だね。やっぱり。俺らがいいならどうぞというところ。であれば、



「ブルンナ。勇者(・・)である俺と四季が証言しよう。あれはチヌカと関りがある。潰しても構わないか?」


 カッコつけて問うと、ブルンナも即座に口を開く。



「勿論です。というより、お願いいたします。現教皇カチェプスの妹ブルンナの名において、行動の正当性を保証いたします。何でしたら、騎士団も出しますよ?」


 似合わない……。急にそんなおしとやかそうな雰囲気を纏わなくてもいいのに。



「ちょっ、そんな顔しなくてもいいじゃん!まともに振ってくれたからまともに返したのに!?いや、逆に二人にちょっとまともさが足りてないんだよ!だからブルンナが浮くの!」


 そうか? 



「そうだよ!てか、二人仲いいね!」


 俺も四季も同時に首を傾げたからか、ご立腹だ。



「だとしても、私達が嘘をついているかもしれないのに、教皇の妹とまで言ってもよかったのですか?」

「黒髪黒目の時点で大丈夫。それに、そもそもブルンナ、黒髪黒目の夫婦やら黒髪の三人家族がどっかほっつき歩いてるなんて情報は聞いてない」

「え。そういう情報ってあるの?」


 そんなどこに誰がいるかなんて……。



「黒髪黒目は特別だよ?だって、勇者かもしれないんだよ?そんなのちゃんと把握しておくでしょ。勇者です!って適当言われて暴れられても困るもん」


 それはそう。それはそうなんだが……。



「そんなのルキィ様から聞いていませんよ?」

「その辺はアークラインだからとしか言えないね?だってそもそもさっき言ったみたいな「俺、勇者!跪けぇ!」って言いだすようなやつはまずいないもん。今までの勇者様はまともでそんなん言わないし、子孫も教育でまともで同じく言わない。それをほざいたら消されるし。可能性あるとしたら、いつの間にか知らないところで子供出来てたとかだけど、そんなことしたら、そいつ殺されるし」


 え。



「あ。勿論、殺されるのは産ませた側だからね!子供はちゃんと黒髪貴族が引き取って養育するから。たまーに親が黒髪や黒目じゃなくても、黒髪や黒目が生まれるけど、その場合は報告義務があるので…」


 申し訳ないけど、奪っていくね! とかになっちゃうのか…。



「だいたい察しているとおりです……」


 なるほど。この世界で勇者信仰が根強いのはこういう側面もあるからか。徹底的に勇者……黒髪黒目が変なことをしないように出来てる。そして、勇者もまともな人しか来ていない。だから、信仰が保たれるんだ。



 裏社会にまで行くとどうなるか怪しいが……。「希少価値があるぜ、ぐへへ」みたいなやつはいるはずだしな。ただ、このレベルだと裏社会にも信者はいるだろうから、バレたら叩き潰されるんだろうなぁ。



「って、話逸れてる!ブルンナも何で頑なに言ってくれなかったのかとか聞「そりゃ、バレたらめんどくさいからだよ」「ですです」うわー!聞いてもないのに答えられたー!」


 聞いたでしょ。明らかに後ろに「聞きたいけど」とか付きそうだったが。聞いたでしょ。



「ぐぬぬぬぬー。あ、まともな話に戻すけど、いつ行く?」

「さすがに今日は無理だけど、出来れば明日」


 同じ意見なのは確定だし、聞かなくてもいいでしょ。…一応、ブルンナが目線で確認してくれてるが、頷いてくれてるし。



「戦力は?」

「出せるだけ……あー、でもなぁ、あいつら、洗脳とか出来る可能性があるからな…」

「根拠は?」

「白い方の信者の行動。特に教会のシスターは行動がおかしかった」


 超絶鈍感な可能性はあるが、「してくるな鬱陶しい」って言ってる行動をすぐとってくるのがヤバイ。



「むー。でも、大規模に洗脳は出来ないんじゃない?」

「見た感じ、地下室があった。そこに怪しげなものを全部押し込んでる可能性が否定できない」

「何より、敵の本拠地ですからね……。外では出来なくとも、中なら大規模に洗脳可能な可能性はありますよ」

「うっぐ。確かにそうだった」


 えぇ……。何でガチ凹みしてるの、この子。



「…何してるの?」

「姉様に絞られる……。勇者様は大体、こういう戦略的な思考に弱いって聞いてたのに!負けたなんて!」

「俺は割とそういうこと考える方だぞ」

「私もですね」


 さすがに全部の影響を考えるのは無理だが…。どこまでやっても大丈夫かとか考えとかないと、後が大変だからな。ていうか、大体って言ってんじゃん。普通に考える人もいたろ。(本職には及ばないけど)って注釈ついてただけかもしれないし。



「ということで、先入観に縛られてるってのも追加しましょう?」

「かはっ」


 お。立ち上がろうとしてたのに倒れ伏した。……先入観は俺らも人のこと言えないけどな。



「…寝っ転がるのは良いの?」

「しょっちゅうやっ「ぎゃー!」えぇ……」


 怒られる案件なのか。寝転がりはしていなかったのか……。ということは、ブルンナは浮くとか出来そうだな。



「うぅ……。綺麗にできたりしない?」

「予備の服ないので無理ですね…。それに出来てもちょっと今は使いたくないですね」

「何でかは説明できないけど」


 後一回で、紙が消えるからな。紙を書き直せばいいだけだが、生活関係に割く余裕はあまりない。



「うぅ……。大人しく絞られる。えーと、人数は多い方がいいけど、多すぎるとやばいかもしんないんだよね?」


 その認識で間違いない。だから、頷く。



「なら、洗脳に対応できる魔法使える人を一杯引っ張ってこれば大丈夫?」

「戦えない人を引っ張ってこられると、戦闘中にそっちに抜けられるかもですが?」

「その辺は大丈夫」


 であれば、その人らを護る必要はないと。



「なら、連れてきてもらおうか。「…待って。洗脳からの回復をさせる人材がたくさんいても、その人が洗脳を防げる人じゃないと、どうしようもなくなるかも」あ。確かに。ありがと」

「ですね。ありがとうです。アイリちゃん。では、ブルンナちゃん、その辺はどうなのです?騎士達自体の洗脳耐性も含めて」

「対応できる人はいる」


 お。いるんだ。だが、顔が微妙……。



「数が少ないとかか?」

「そう。解除よりも耐性の方が難しいから…。解除ならその時に一回、効力があればいいけど、耐性だと効果中ずっとだから…。そうなると、防御が確実に出来る数に抑えた方がいい?」


 難しいところではある。あるが……、



「突入するなら、どうせ数は限られるよな?」

「ですね。そうしますと、その間、外で待機になるわけで……うん、一杯連れてきてもらいましょうか」

「だね。多い方が避難誘導とか出来るだろうから」


 申し訳ないが、周辺住民に今から攻めますなんて言えない。敵に逃げられるから。チヌカはここで潰しておかなければ。



「あ。さすがにわかってるだろうが、治安維持に支障出るとかやめてくれよ?」

「そこは勿論!で、他に何かある?」

「連れてくる騎士の洗脳確認はよろしく」

「後ろから撃たれるとか洒落になりませんから」

「それも当然!じゃあ、打ち合わせはこんなもんで良い?」


 ……かな。四季もアイリも特に何もなさそうだし。あ。



「さっき俺が教祖たちとすれ違わなかったのが偶然かどうか調べておいて」

「了解。ほんとにもうない?」


 ない……な。うん。ない。



「なさげね。じゃあ、ブルンナは……あ。そうだ」


 ブルンナがなんかあるのか。



「どうした?」

「二人のシャイツァーって何?能力は要らないから、形だけ」


 ブルンナの、教えてもらってないんだが…。まぁいいか。召喚して差し出す。



「これで攻撃することある?」

「「あるな(りますね)」」

「というか何なら、包丁引っ張り出すこともある」


 「えぇ…」みたいな顔しないでよ。買う機会なかったんだから。



「武器、適当に見繕おうか?」

「使わないかも知らないけど、それでもいいなら」

「そこは勿論。持ってきたから使えとは言わないよー」

「「なら、お願い(お願いします)」」


 俺らが頭を下げると、ブルンナは嬉しそうに頷いた。



「今度こそ、終わり。じゃ、ブルンナは帰るけど、みんなはどうするの?」

「そりゃ、俺らも帰るさ」

「本当にあいつら(新興宗教)を潰していいか確認したかっただけですし」

「それもそっか、いざ、帰還!」


 何でブルンナが音頭取ってるかわかんないが…、帰るか。帰って、明日のために魔法を作らねば。

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